一つの人生!?
帰り道の道端に宮城が立っていた。
「ど、どうした?宮城」
「準太郎君に話があるの」
俺はまた太郎が何かやらかしたのかと思った。
「昨日の準太郎君さ・・・・・」
ほら、来た。やっぱり太郎だった。テストの他にも何かやりやがったのか!?やっぱり太郎に学校に行かせるのは間違いだったんだ。場合によっては宮城に嫌われている。そうすれば俺は学校に行く楽しみだって意味だってない。
「何かやっちゃったっけ?俺」
「昨日の準太郎君、すごく優しかった」
「へ?」
意外な言葉に声が出なかった。嫌われてないのか?俺。
「数学のテストの時に消しゴム貸してくれたり」
(待てよ!それは俺じゃないよ宮城!)
俺はやってもない事を宮城にお礼されて、とても嫌な気分になった。宮城は太郎の話をしている。宮城は太郎に対して感謝している。
俺じゃない。俺じゃない!!
「いろいろ面白い話とかしてくれたり」
(それは太郎に直接言えよ!)
「私が次期学級委員長になりそうだったの反対してくれた」
(俺じゃない)
「準太郎君が!」
(やめろ!)
「私に!」
(やめろ!)
「それでね、話は、私、準太郎君の事が・・・」
もう俺の耳に宮城の声は聞こえていなかった。
「俺に言うんじゃねぇ!!!」
思っていた事が声に出てしまった。これ以上ない声で、俺は宮城を怒鳴りつけていた。しばらく呆気にとられた宮城は気がつくと泣き目になっていた。
ごめん、宮城!! 言葉は喉に詰まって出て来なかった。
「ひどいよ!準太郎君・・・」
そう言って宮城は泣きながら走り去っていった。
俺は馬鹿だ。これ以上に自分の言動を後悔した事はない。宮城に嫌われた。完璧に——————。
俺は何も考えず、ただ家に向かっていた。
(ひどいよ!準太郎君・・・)
その言葉が脳裏を離れなかった。結局自分は宮城に何もしてやれてない。全ては太郎の言葉、行動、気持ち。俺は・・・生きている価値のない最低な人間だっ!!
部屋に着くと太郎が座っていた。俺は太郎を力ない目で見つめ、ベッドに横たわった。太郎は何かあった事を感じ取ったのか、何も話しかけてはこなかった。気がつくと俺の目は涙で溢れていた。悔しかった。
「太郎・・・」
俺は泣きながら太郎に話しかけた。
「俺、もう学校には行けねぇ!!」
「・・・・・分かった」
太郎は何かを悟ったらしかった。ぽつりとうなずいて、それからはもう何も言わなかった。太郎と会ってからどのくらい経つだろうか。俺はもう限界に近づいていた。俺は今、二人いる。みんなに嫌われているのが一人、みんなに好かれているのが一人。俺がとるべき道は自分でもよく分かっていた。そして俺は深い眠りについた。
目を開けると太郎が学校に行く準備をしていた。俺は薄目を開けて、太郎が学校に行くのを待った。太郎は部屋を出て玄関を開け、誰かと話している。俺の声と混じって話しているのは・・・敦だ。俺は窓を覗くと太郎と敦が仲良く登校しているのが見えた。とても親しそうに、まるで親友のような。
(なんだよ!俺の方が付き合いなげーのに)
そんな事を考えながら俺はパソコンに向き合った。パソコンで書くのが俺らしいだろう。
どうしようか、見るのは太郎だけだが・・・・・
遺書の始めの言葉は何にしよう。
何か怖い話っぽくなってきましたけど大丈夫です!これからが「二つの人生」盛り上がってきます。衝撃の結末期待しててください。次回投稿は19日です。