学校へ行く!?
明くる日の朝、俺は朝飯をもって二階に上がった。太郎は二度寝していた。
「お前の飯持ってきてやったのに何寝てんだよ」
「僕、こんなに早起きしたことないんだよ」
寝起きで言葉がしっかりしないまま太郎は言った。それでも俺は寝ぼけている太郎を無理矢理起こし、飯を食わせ、歯磨きをさせ、顔を洗わせた。何てったって今日は太郎が学校に行ってくれる。俺はは今日、休日となったのである。
「じゃあ、しっかりやってこいよ!」
「そんなに期待してないでよ」
こうして太郎は学校へと向かったのである。
俺は誰かに見つからないように部屋にいなければならない。そして、暇つぶしにパソコンで花札でもやっているのである。帰ってきて太郎と花札でもしてやるかと思ったりした。ずっとやっていると眠くなってきて俺はまた布団についた。これからはこのような生活の毎日だ。なんてことを思いながら俺は眠った。
二時間ぐらいは経っただろうか。俺は目を覚ました。この時間だと両親は仕事に行っていて、この家は誰もいない。ひどく喉が乾いていた俺は、何か飲みに一階へ向かった。冷蔵庫を開け、飲み物を探した。いい具合に1.5ℓのジュースを見つけ、キャップをあけてそれを飲んだ。俺はなぜか飲み物を飲んでいる最中に大事なことを思い出した。今日は5校時目に単元テストを控えていた。太郎なんかにテストはまかせておけない。なんせ俺はクラスで一番の成績だったのだ。それが原因でみんなに嫌われていたのかもしれないが、とりあえず太郎がテストを受けるのを防ぐため、俺はちょっとした変装をして学校へと向かった。
道行く人の目線が気になったけれど、俺は帽子にサングラスで気づかれるはずもない。しかも俺はかなりの時間を部屋で過ごしていて外の人たちは俺の事を見た事もないはず。ただの気のせいだろう。
そして、俺は学校に着き、誰にも気づかれないように太郎の元へと向かった。
「おい!もう代わっていいぞ」
「なんで?楽しかったのに・・・」
「今日、テストあんだよ」
「テスト、もう終わったよ」
「へ?」
あまりの不意打ちに俺は抜けた声が出た。何でテストがもう終わっている?今日の5校時のはずだが・・・。
「今日は5校時に台風直撃についての緊急会議があるから、テストが2校時目に早まったんだよ」
「で?どうだったの?ちゃんとできたのか?」
俺はこのことばかりが気にかかっていた。
「数学で助かったよ。僕、日本語読めないから」
「は?何言ってんだ。今、日本語しゃべっているだろ」
「今、僕が話しているのは向こうの世界の言葉。それが話すときに訳されているだけだよ。このアクセサリーで」
俺はアクセサリーを外したり、かけたりした。
「$%&#¥*何するん*+%&$?やめてよ!&$%*」
納得した。意味不明な言葉の中に日本語が聞こえた。アクセサリーをかけたときだけ。
「とりあえず今は代われ!」
俺は太郎に帽子とサングラスをつけた。そして太郎は用心して帰っていった。
「最悪だな〜太郎がテストやったなんて」
俺が一人で愚痴をこぼしていると、遠くの方から声が聞こえてきた。
「お〜い!準太郎!」
田中敦だった。俺はこいつに声をかけられる筋合いはないのだが。
「あれ?あのきれいなアクセサリーは?あれ、おもしろかったのにな〜」
すると、クラスの男子が集まってきた。
「おい!なんでアクセサリーないのに普通に話せるんだ?」
「あのアクセサリー、結局なんだったんだよ」
「どこやったの?俺にもかけさして」
どうやら太郎はアクセサリーでいじられていたらしい。
「俺はもう、かけてねぇーーーー!」
俺が怒鳴ると、周りの奴らはゾロゾロといなくなっていった。
「今日の準太郎、面白いと思ったんだけどな」
そんなひそひそ声が聞こえてきた。
(太郎か?・・・・・)
俺は、何だかモヤモヤした気持ちになりながらも、学校を終えて、家に帰っていった。
帰ってくると太郎は俺が開いたままで行ったパソコンで花札をしていた。勝手にやるなと怒鳴ろうとしたけどやめた。
「こっちでやらないか?」
俺は紙の花札をさしだした。
「そんなことよりさ、準太郎、明日も学校行かせて!」
太郎はとても楽しそうに言った。
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