二人の俺!?
俺は、山田準太郎。今、中学二年生。
日々変わり映えのない生活を送っている。
今日も学校へ向かった。
こうしてまた、同じような日が始まった。
———————でも、今日はどこか違った。
「お〜〜〜〜〜〜〜い!準太郎!」
こいつが来たってのもある。
同じクラスの田中敦。
別に家が近いって訳でもないけれど、今日はたまたま会ってしまった。
何かとうるさいんだよな〜。
「今日はなんとなんと数学の授業があるぜ!!」
「いや!ほぼ毎日あるだろ」
「どうした!!!今日のツッコミ冷たいぞ」
「え?そ、そう?」
まぁいろいろと他愛もない話をして学校に着いたのであった。
1校時目、2校時目とこなしていき、3校時目の理科の時間となった。
俺は理科の教科委員で授業後に一人、実験道具を置きにいった。
何か落ちていた。光っていてうまく見えないが触ってみる事にした。
—―――――その時、よく覚えていないが俺は足を滑らしたらしい。
しばらくして目がさめると保健室のベッドの上にいた。
俺が倒れているのを発見したのは、同じクラスの宮城優香だった。
理科室からなかなか帰って来ないので、心配して見に来たらしい。
悪い気はしない。
宮城は学校でも1位、2位を争う人気ぶりだった。
俺だって嫌いといえば嘘になる。
「先生、俺もう大丈夫なんで帰っていいですか?」
「あぁ。早くクラスに戻りな」
俺は重い体を起こしてクラスに向かった。
(あの、光ってたの何だったんだろう)
俺は疑問に思いながらも残りの授業を受けた。
そして帰る時間になり、一人準備をしていた。
すると後ろからきれいに澄んだ声が聞こえた。
「準太郎君大丈夫だった?倒れてるの見てびっくりしちゃったよ」
「あぁ、もう大丈夫。心配かけて悪い」
宮城だった。
俺は少し照れくさくなって、冷たくあしらった。
「でも、今日はまだ心配だから優香が一緒に帰る!」
思ってもみない一言だった。
「い、いいよ!一人で帰れるから」
やってしまったと思った。
あまりにもいきなりだったから断ってしまった。
だけど、宮城はあきらめてなかった。
「なんと言っても一緒に帰るから!」
そんなところで俺と宮城は一緒に帰ることになった。
他の男子にみつかったら間違いなく恨まれるだろう。
俺は照れくさいのもあったが、顔を少し下にさげて歩いた。
「準太郎君ってさ〜ドジなところあるよね」
そんな事を言われ、照れるどころではなかった。
ねらってんのかと思った。
「いや、昨日寝不足でさ〜」
この言葉に宮城はクスっと笑った。
俺はすごく嬉しかった。
宮城が俺の言葉に対して笑っている。
それだけでとても幸せだった。
たまにこんな日があれば、人生も楽しいものだと思った。
そんな話をしているとあっという間に家に着いた。
楽しい時間はすぐに終わってしまった。
「じゃあね!」
宮城は明るく別れを告げた。
宮城の家はもう少し先だ。
俺は、家路を進む宮城の背中をいつまでも見つめていた。
玄関に入り、真っ先に自分の部屋への階段を駆け上がった。
扉を閉めた。
「よっしゃーーーーーー!!」
俺は叫んだ。
「準太郎〜うるさいよ〜!」
下のリビングから母の声がした。
「ごめ〜ん」
俺は陽気に返事をした。
しかしとても気分が上がっていた。
あの憧れの宮城と一緒に帰れるなんて!!
「本当によかったね」
「うん!すっげー嬉しい」
俺いつの間にかベランダの方から聞こえる声に応対していた。
「って、え!?」
俺は即座にベランダの方へ顔を向けた。
俺は、全身から血の気が引いていくのが分かった。
———————そこには俺が立っていた。
これから連載やります。感想などあったら書いてください。
二話目も見てくれたら光栄です。お願いします。