第7話 王国騎士団が動く
迷宮からの帰還後。
ギルドの空気は、
明らかに変わっていた。
誰も大声で笑わない。
酒も進まない。
視線は、
ひとりの少年へ。
当人は、
カウンターで水を飲んでいる。
「……美味しい」
その背後。
重たい足音。
鎧がぶつかる音。
振り返ると、
赤い外套を纏った
二人の少年が立っていた。
一人は、
凛とした眼差し。
もう一人は、
少し柔らかい表情。
「王国騎士団長、
バルトだ」
名乗ったのは、
凛としたほう。
「副団長の
ダニエルです」
ギルド内が、
ざわつく。
少年は、
コップを落とした。
「え、
俺ですか?」
バルトは、
真っ直ぐに言う。
「話がある」
ギルド長室。
少年は、
また椅子に座っている。
最近、
この部屋に
呼ばれすぎだと思った。
バルトが言う。
「君の行動を
報告書で読んだ」
少年は、
小さく頷く。
「全部、
偶然です」
ダニエルが、
首を振る。
「偶然は、
続かない」
バルトは、
しばらく黙った後、
静かに言った。
「君は、
危険だ」
少年の顔が、
青ざめる。
「ご、ごめんなさい!」
「違う」
バルトは、
すぐに否定した。
「存在が、だ」
沈黙。
ダニエルが続ける。
「君が敵なら、
国は滅ぶ」
少年は、
泣きそうだった。
「俺、
悪いこと
してません……」
バルトは、
少年をまっすぐ見る。
「だからこそ、
守りたい」
少年は、
意味が分からない。
バルトは言う。
「黒鉄の迷宮、
最深部の調査に
同行してほしい」
少年は、
即答した。
「無理です」
ダニエルが、
苦笑する。
「予想通り」
ギルド長が言う。
「拒否権はある。
だが、
行けば王国が動く」
少年は、
頭を抱えた。
「俺、
薬草取りたいだけ
なんですけど……」
誰も、
笑わなかった。
数日後。
王国の馬車。
護衛付き。
少年は、
真ん中に座っている。
「なんで
こうなるんだろう……」
誰も、
答えられなかった。




