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第5話 罠が全部仕事しない


迷宮の通路は、

思った以上に入り組んでいた。


左右に分かれる道。

上り坂。

下り坂。


湿った空気が、

肌にまとわりつく。


少年は、

マークの少し後ろ。


ギレンは、

さらに後方。


三人一組で、

慎重に進む。


「床、見るな」


マークが言う。


「怪しい石は

踏むな」


少年は、

必死に頷く。


だが。


床の石は、

全部怪しく見える。


「……ここ、

全部怪しくないですか」


マークは、

無言だった。


数歩進んだとき。


カチ。


小さな音。


マークが、

瞬時に少年を引き寄せる。


「伏せろ!」


天井の穴から、

無数の矢が放たれる。


だが。


矢は、

少年の左右をすり抜け、

一本も当たらない。


後ろの壁に、

ずらりと刺さる。


少年は、

地面に伏せたまま、

ぽつりと言う。


「……外れました?」


マークは、

額に汗を浮かべる。


「外れたんじゃねぇ」


ギレンが、

矢の軌道を見る。


「避けている」


少年は、

首を傾げた。


「矢が?」


進む。


今度は、

床の一部が沈む。


マークが、

叫ぶ。


「跳べ!」


少年は、

転ぶ。


その瞬間。


少年の足元だけ、

床が残る。


周囲だけが、

大きく抜け落ちる。


底の見えない穴。


少年は、

うつ伏せのまま、

震える。


「……死んだと

思いました」


マークは、

声が出なかった。


ギレンが、

静かに言う。


「本人の意思とは

関係ないな」


通路の先に、

宝箱があった。


木製。

だが、

魔力の反応あり。


「罠付きだ」


マークが言う。


少年は、

後ろに下がる。


マークが、

慎重に開ける。


中には、

銀貨袋。


そして、

赤い宝石のついた指輪。


ギレンが、

目を細める。


「魔力増幅の指輪だ」


少年は、

首を振る。


「いらないです」


マークが、

思わず叫ぶ。


「普通、

欲しがるだろ!」


少年は、

本気で困っていた。


「落としたら

怖いので……」


さらに進む。


今度は、

魔法陣が床に刻まれていた。


ギレンが、

杖で調べる。


「爆発系だ」


少年は、

後退しようとして、

石につまずく。


前に倒れる。


その拍子に、

手が床につく。


魔法陣が、

ふっと消える。


沈黙。


マークが、

ゆっくり言う。


「……解除したな」


少年は、

慌てて首を振る。


「触っただけです!」


ギレンは、

深く息を吐いた。


「それが、

問題だ」


通路の奥から、

低い唸り声。


現れたのは、

巨大なオオカミ。


牙が長く、

目が赤い。


「戦闘準備!」


マークが前に出る。


少年は、

後ろでしゃがむ。


オオカミが、

飛びかかる。


だが。


足を滑らせ、

壁に激突。


首を強打。


そのまま、

動かなくなる。


少年は、

小さく言う。


「……転びすぎでは」


ギレンは、

目を閉じた。


「もう、

偶然とは言わん」


少年だけが、

意味を理解できていなかった。


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