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第12話 測定不能


朝の鐘が鳴る。


王立育成学園の

一日は早い。


少年は、

鐘より少し前に

目を覚ました。


「……ここ、

どこでしたっけ」


天井が違う。


数秒後、

思い出す。


「……学校」


布団に潜る。


「帰りたいです」


だが、

戻る場所はない。


身支度をして、

寮の廊下へ。


貴族服。

高そうな装飾。


少年は、

場違い感で

いっぱいだった。


教室。


昨日よりも

視線が多い。


席に着くと、

前の席の少女が

振り返った。


淡い金髪。

青い瞳。


「あなたが

新入生?」


少年は、

小さく頷く。


「はい」


少女は、

じっと見る。


「変わってる」


「……よく

言われます」


少女は、

満足そうに頷いた。


「私は

リリア・フェルシア」


「よろしく」


少年は、

慌てて頭を下げる。


「よろしく

お願いします」


最初の授業は、

適性測定。


魔力測定器が

教室中央に

運ばれる。


水晶球。


教師が言う。


「順番に

触れ」


生徒が次々と

数値を出す。


「魔力42」


「65」


歓声。


少年の番。


水晶に触れる。


沈黙。


光らない。


「……?」


次の瞬間。


パキン。


ひび割れ。


そして、

粉砕。


教室が凍る。


教師も、

固まる。


少年は、

水晶の欠片を

見下ろす。


「……ごめんなさい」


教師が叫ぶ。


「触るだけだと

言っただろう!」


「は、はい」


リリアが、

床に散らばった

欠片を見る。


「……壊れ方が

おかしい」


教師は、

予備を出す。


「もう一度」


少年は、

恐る恐る触れる。


沈黙。


ボン。


二つ目も、

粉砕。


完全に、

異常。


教師は、

頭を抱えた。


「測定不能だ……」


少年は、

震える。


「……弁償、

します?」


リリアが、

小声で言う。


「……式が

存在しない」


少年は、

聞こえていない。


教師は、

記録用紙に

書く。


【測定不能】


教室が、

ざわつく。


「なんだあいつ」


「人間か?」


少年は、

縮こまる。


昼休み。


食堂。


少年は、

端の席。


パンを

かじる。


「……味は

普通です」


向かいに、

リリアが座る。


「ねえ」


少年は、

びくっとする。


「は、はい」


「あなた、

怖くないの?」


「何がですか?」


「自分が

普通じゃないって

こと」


少年は、

少し考える。


「……昔から

こうなので」


リリアは、

目を輝かせた。


「面白い」


「……?」


「観察させて」


少年は、

首を傾げる。


「観察?」


リリアは、

真顔。


「あなたは

未解明現象」


少年は、

よく分からないまま。


「……迷惑に

ならなければ」


その瞬間。


フォークが、

手から滑る。


床に落ちる――


はずが、


跳ねて、

机の上へ戻る。


沈黙。


リリアの目が、

さらに輝いた。


少年は、

頭を掻く。


「……よく

あります」


世界は、

今日もまた、

静かに

歪んでいた。


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