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第11話 王国からの保護命令


冒険者ギルドの掲示板は、

今日も人で埋まっていた。


依頼内容よりも、

別の紙が

注目を集めている。


――王国通達。


文字だけで、

場の空気が

重くなる。


少年は、

人垣の後ろから

背伸びしていた。


「……読めません」


マリンが、

そっと横に立つ。


「あなた宛てですよ」


少年は、

ゆっくり振り返る。


「俺ですか?」


マリンは、

小さく頷く。


ギルド長室。


またこの部屋だ。


少年は、

椅子に座り、

足をぶらぶらさせる。


向かいには、

ギレン。


隣に、

赤い外套の騎士。


バルト。


ダニエルもいる。


バルトが言う。


「王命だ」


少年の顔が、

引きつる。


「……悪いこと

しました?」


ダニエルが、

即答する。


「してない」


バルトが続ける。


「君を、

王国が保護する」


沈黙。


少年は、

理解できていない。


「……俺、

捕まるんですか?」


ギレンが、

額を押さえる。


「違う」


バルトは、

淡々と告げる。


「今後、

単独での冒険活動は禁止」


少年の目が、

見開かれる。


「薬草……」


マリンが、

心配そうに見る。


バルトが続ける。


「代わりに、

王立育成学園へ

編入する」


少年は、

口を開けたまま。


「……学校?」


ダニエルが、

頷く。


「保護と監視を

兼ねている」


少年は、

小さく呟く。


「監視……」


ギレンが、

低い声で言う。


「拒否はできない」


沈黙。


少年は、

しばらく考えた。


そして、

ぽつりと。


「……授業って、

難しいですか?」


場の緊張が、

少しだけ緩む。


バルトは、

わずかに口角を上げた。


「基礎からだ」


少年は、

ほっと息を吐く。


「なら……

大丈夫かも」


数日後。


王国の馬車。


少年は、

窓の外を見ている。


「冒険者、

やめるわけじゃ

ないですよね」


マークが、

向かいに座る。


「資格は残る」


少年は、

安心した。


「よかった……」


王立育成学園。


高い門。

広い敷地。


建物が、

いくつも並んでいる。


少年は、

完全に圧倒される。


「……迷います」


ダニエルが、

即答する。


「迷うな」


入学手続き。


教員たちの視線が、

少年に集まる。


ひそひそ声。


「例の……」


「迷宮……」


少年は、

縮こまる。


案内された教室。


木製の机が、

整然と並ぶ。


少年は、

一番後ろへ。


座ろうとして、

椅子の脚に引っかかる。


「うわっ」


前の机に、

頭をぶつける。


だが。


机は、

なぜか少し

後ろへずれる。


少年は、

無傷。


周囲が、

静まる。


少年は、

照れ笑い。


「……よく転びます」


誰も、

笑わなかった。


担任が、

教壇に立つ。


「今日から

新入生が来ている」


名前を呼ぶ。


少年は、

小さく返事する。


「はい」


視線が、

一斉に集まる。


「……帰りたいです」


小声だった。


だが、

確かに聞こえた。


世界は、

また一歩、

少年を

囲い込んだ。


本人の意思とは、

関係なく。


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