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第10話 踏破したらしい


土煙が、

ゆっくりと晴れていく。


目の前にあったはずの

黒鉄の迷宮は、

もう存在しない。


そこにあるのは、

巨大なクレーターだけ。


誰も、

すぐには動けなかった。


王国騎士団。

冒険者たち。

ギルド長。


そして、

地面に座り込んだままの

ひとりの少年。


「……あれ?」


少年は、

周囲を見回す。


「ダンジョン、

なくなってます」


マークが、

ゆっくりと口を開く。


「……なくなったな」


バルトは、

剣を地面に突き立て、

深く息を吐いた。


「王国史上、

前例のない出来事だ」


ダニエルが、

少年を見る。


「迷宮踏破」


その言葉が、

静かに落ちる。


少年は、

首を傾げた。


「えっと……

俺、何もしてません」


ギレンが、

低く笑った。


「踏破とは、

最深部の核を

破壊することだ」


少年は、

思い出す。


「……転んで、

石が当たりました」


沈黙。


ミレーヌが、

そっと近づく。


少年の前に

膝をつく。


「あなたは、

選んでいません」


「世界が、

あなたを選んでいます」


少年は、

困ったように笑う。


「……意味、

分かりません」


ミレーヌは、

それ以上、

何も言わなかった。


数日後。


冒険者ギルド。


掲示板の前に、

人だかりができている。


新しい張り紙。


――Fランク冒険者

迷宮踏破達成


少年は、

自分の名を見て、

固まった。


「……間違いですよね」


マリンが、

苦笑しながら言う。


「公式記録です」


少年は、

頭を抱えた。


「俺、

薬草取りたいだけ

なんですけど……」


周囲の冒険者たちは、

誰も笑わなかった。


むしろ、

距離を取っている。


マークが、

ぽつりと言う。


「……生きてるだけで、

災害だな」


少年は、

慌てる。


「ひどい!」


ギレンが、

腕を組む。


「ランクは、

当面Fのままだ」


少年は、

安心した。


「よかった……」


ギレンは、

続ける。


「上げる理由が、

説明できん」


誰も、

反論できなかった。


少年は、

木札を握る。


Fランク。


弱い証拠。


そう、

信じている。


だが。


世界はすでに、

少年を

例外として扱い始めていた。


――無自覚最強の

物語は、

ここから続く。


第一章・完


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