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「お兄ちゃん!こっち!」
私がこの世界に生まれてからあっという間に早5年。いろいろなことが分かってきました。
「エマ」
私が見つけたのは大木に生っている甘い果実オーベルジュの実
「下がって」
灰色の少年、もといシリウス、もといお兄ちゃんは、今や推定15歳。
スラリと背が高く、道具の扱いにも長けた美青年である。
お兄ちゃんが投げたナイフは、オーベルジュの実の付け根を掠め、大きな実がゴトリと足元に落ちてきた。
「わぁ!大きいし良い匂い~!」
ずっしりとした果実を拾い上げて私は鼻を近づける
濃厚な甘い果実の香りが鼻腔を擽った
「これでママの1週間分位の食事になるかな?」
私の母、金髪が美しい女性マリエッタは妖精であるらしい
基本的に食事は必要とせず、時折オーベルジュの実を食すだけ
しかし、娘である私は普通の人間よろしく食事をしなければお腹が減る
「もう少し、採っておこう」
お兄ちゃんはそういって、さらに2.3個大きな果実を落として腕に抱えた
ママに聞いた話では、私は妖精のママと人間の父の間に生まれた子供らしい
だから、体が人間と同様なのではないかという
お兄ちゃんは、ママが昔拾った孤児だそうだ
子育てどころか人間の生態もよく分かっていないママの代わりに私をまともに育ててくれた育ての親でもある
丁度、人間の子どもをどうやって育てようか思案していたところ
ひとりぼっちでさまよっていたお兄ちゃんを見つけたのだとママは言っていた
「エマの分の食事も、狩っていかないと」
お兄ちゃんはそういって森の奥へと進む
「お肉食べたい。野菜はヤだ」
「肉もいいけど、野菜も、食べなくてはいけない」
「ヤ」
私がプイとそっぽを向くと、お兄ちゃんの大きな手が私の頭の上にポンとのる
「だめ」
あんなに細くて、触れれば折れてしまいそうな腕だったのに
今やしっかりと逞しいその腕を見て、なんだか子どもの成長を喜ぶ親の気持ちになる
(実際は私の方が全然子どもであるのだけれど)
お兄ちゃんはキレイだ
なんていうか、儚げなんだけれど存在感があり
私にとっては何よりも頼りになる存在だと思う
大きな森の中の家で私とママ、お兄ちゃんは3人で暮らしているから
身近にいる唯一の男性ということで、頼りにしてしまっているのかなと思うところもある
けれど、時折日用品を買いに近くの村であう商店のおじさんを見てもそんな風には思わないから
私はお兄ちゃんを信頼しているし慕っているのだろう
いつだって私を優先してくれて
大切に守ってくれて
寄り添ってくれるお兄ちゃん
きっと、今夜の夕食もなんだかんだいって
お肉たっぷりのメニューで野菜は少なめにしてくれる
私の幸せな毎日はこんな感じで過ぎていった




