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ファインドさんは見つけ上手

「ノエルさん今日もお美しい」

「もう、その言い方やめてくださいってばファインドさん」

ノエルが愛想笑いして答える


「今日はどんな依頼ですか?前みたいに迷子の魔獣探しですか?」

「少し違って護衛の依頼です 仮面舞踏会に同行してもらいたくて」

「パーティー!楽しそうですね~」

「以前のパーティーを思い出しますよ ノエルさんが潜り込んでいた、あの夜を」

ノエルは少し頬を赤らめる


「あのときは大変だったんですよ!でも、シルも増えて外の仕事も任せたいとマスターが」

「ふむ……たまに見る銀髪の少年ですか?」

「そうです!可愛くて……あっ依頼の話でしたね」


男がニヤっと笑う

「シルと呼ばれているんですか――以前どこかで見かけた事あるような気がしましてね」

「はい?」

(シル君の知り合いかな?)

ノエルは首を傾げた


――


「依頼完了書、また別の筆跡になってました」

「似たような案件を何度もか……」

ロゼッタが不審な点があるとマスターに報告した

依頼書マナデータの照合では、すでに同一人物では無いと判断されている


依頼内容そのものは正当

しかし妙に統一されていない

まるで――依頼書を出しに来るためだけに複数人が動いているような


「裏を調べると、諜報部の関連名簿に彼の名前がありました」

「ノエルは何か話したか?」

「シルのことを少し、本人に悪気はなかったと思います」

「気づいたと知られるのはまずい、泳がせるぞ」

「了解!処理班には連絡しておきます!ノエルさんには?」

「まだ何も言うな あいつは【あの時の袋】の意味も知らない」

重たい沈黙が流れる


「それでは失礼します」

ロゼッタが空気に耐えられずに退室する


「いつ次の動きを見せるかだな……」


――


昼休憩も終わり、書類を運ぶ間にノエルがふと聞いた

「ねえシル?最近よく来てる貴族の依頼人、もしかしたらシルの知り合い?」

書類を抱えていたシルの手が、わずかに止まった

「貴族?」

「貴族パーティーで会った人なんだけど、銀髪の少年とかシルの事知ってそうで」

ノエルの声に悪意はない

だが、シルの目は冷たくなった

「俺のことを知ってる素振りを見せたのか?」

「『どこかで見たような気がする』って、それだけ」

シルは理解した


──知っているのだ

──シルバー家の子供

──ここにいる理由を

「ノエル 今後、その男とは深く関わらないで」

「え?どうして?」

「知っている人は敵しか居ない 誰かは分からないが敵だろう」

ノエルは戸惑いながらも答えた

「えっ……わかった 何かあったらマスターに報告するね」


シルは頷き、手がこわばった

まだ邪魔をするのか


――


ギルドの資料室

セリナは誰にも見られないように周りを警戒していた

目当ての書類をあさる


最近シルを探る貴族が受付に来る、それにシル自身も貴族のはず

たまに見る所作や貴族関係の話しをした時の反応も異常だ


棚の奥、古い貴族名簿に彼女は手を伸ばす

シルバー家――全滅

暗殺された一家 淡い銀髪の少年

「……やっぱり」

セリナの手がわずかに震えた


――


セリナは無言のまま、静かに扉をノックする

「誰?」

「私ですセリナ……少し良いですか?」

シルが部屋からゆっくりと顔を出す

わずかに警戒心を含んでいた

「どうぞ」

シルの自室は物がほとんど無く生活感が薄い

机の前に立ち、セリナは真面目な顔で話しを切り出す

「知りすぎてしまったのかもしれません」

そう言って手にした紙片を差し出す

シルバー家の家系図と実験記録

シルの瞳が静かに揺れる


「あなたが誰で、なぜノエルさんを特別視するのかも」

シルは何も言わない

その沈黙が全てを肯定していた

「私も王都の娘です……王国に誇りと忠誠を持っていた

 でも、グレーギルドで失望し、このギルドに来てどうでもよくなったの

 それに、シルに出会って

 今はここで生きている……それだけで充分」

セリナの目は真剣だった――素の少女のように


「私は敵にはなりたくない

 たとえ世界があなたを悪と断じても私は――」

シルがふっと笑いセリナは言葉を途中で止めてしまう

「そんなこと言われたの初めてだよ……それに僕と・僕の家は違う!」


2人の間に静かな空気が流れる

小さな信頼と微かな愛情の気配


――


セリナが情報担当のロゼッタに報告する

「貴族の男が探っています!特にノエルさんは無自覚で危ない」

ロゼッタはファイルを1冊引き出した

表紙には『報告済み』とスタンプされている

「もう知ってたんですね」

「ノエルが言うまではマスターは動かないわ――あなたは優秀ねセリナ」


そのままセリナはマスターに呼ばれた

重厚な扉の奥、部屋の主は椅子にもたれていた

「――君はどうしたい?」

セリナは驚いた!マスターは彼女に【選択】を委ねてきたのだ

「どうしたい……とは?」

「その男を消すか、泳がせるか、あるいはノエルを退かせるか」

明確に提示される『闇の選択肢』


セリナは一瞬だけ息を呑み、真っ直ぐに前を見た

「私に決めさせるんですね」

「君はノエルと違い【裏が見えている】からな」

マスターの声にセリナの胸がざわめいた

まだ逃げる事も出来る、普通の仕事にも戻れる

「泳がせます!でも私が監視します!ノエルさんにもシルにも絶対に手を出させません」


「ふむ」

マスターの口元がわずかに緩んだ

「制服を変えろ 裏案件専属の特別受付嬢にしてやる」


「ノエルの話しは既に諜報部も知っているだろう、問題はそこじゃない」

マスターは書類を閉じセリナに目を向けた

「君はどうする?」

「私?」

「悪とわかっていても何もできない そう感じたことはないか?」

一瞬セリナの脳裏にシルの顔が浮かぶ


「正義か悪かなんて、どうでもいいと思ってしまうんです」

セリナが自分でも分からないという風に続ける

「グレーギルドは悪に見えたし、闇ギルドは正義にも見えます」

「正義かではない、誰の隣に立ちたいかで決めろ!それが人間らしい選択だ」

マスターの言葉が珍しく熱くなる

「闇ギルドに染まるとは、そういうことだ」


セリナは驚いたようにマスターを見た

その表情には、ほんの少しの哀しみがあった

「この先、君は問われる 何を守るために何を裏切るのかと」

「……」

「覚悟を決めろ この世界は甘くない」

マスターはそう言うと返事を待たずに書類に向き直った


セリナは立ち尽くしていた

けれど胸の奥にあった迷いは消えていた

――彼を守るためなら、私は闇に堕ちてもいい


――


ノエルがカウンターで帳簿をめくっていると

「テトテト」と軽い足音が響く、セリナちゃんだ

「おはようございます、ノエル先輩」

「おはよセリ……なっ!?」

ノエルの目が丸くなる


セリナが着ていたのは、これまでの制服とは違った

真っ黒で光すら反射しない魔導コーティングされいてる

「な、なにその制服?いつの間にそんなかっこいいのに!」

「ちょっと【特別な任務】がありまして」

セリナは肩をすくめる

「裏案件専門の担当になりまして、いわば【影の受付嬢】ですね」

「えっ、そんなの聞いたことないよ」

「普通の人には関係ない話ですから」

「ええぇぇ~」


ノエルがぷるぷる震える中セリナが追い打ちをかける

「裏手当て給料10倍です」

「うらやましいっ!」

ノエルが机に倒れる

セリナは後ろでそっとシルと視線を交わす


――



帰り道、セリナは空を見上げた


(私、踏み込んじゃったんだなぁ……)


――シルが傷つかないように

――ノエルが悲しまないように

闇として生きる覚悟を決める



「私はギルドの受付嬢」






この話はなんか会話が説明的でテンポが悪いので、そのうち修正・加筆します

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