ホワイト(ブラック企業)→ブラック(ホワイト企業)への転職
かつて私は【白銀の星】という大手冒険者ギルドに務めていた
受付嬢という仕事に憧れや誇りも持っていた
でも、現実は違った
無茶な依頼で怒鳴る冒険者たち
ミスを押し付けてくる上司
休日出勤、サビ残、サビ残、サビ残
──そして私は理不尽な理由でクビになった
急に暇になった
冒険者が行くような荒れた酒屋で昼間から飲んだくれてみた
「今までの人生何だったんだろう」
あまり楽しく無い
――
失意の底で街を千鳥足で彷徨う
「こんな路地あったかな?」
そう思っていると黒ずくめの紳士が声をかけてきた
「君、接客が得意そうだね ちょっとウチで働かないかい?」
怪しさしかない
昼間から酔ってるとは言え【うら若き乙女】だぞ
いかがわしい店の勧誘か?
警戒したがどうやら違うらしい
「受付嬢を探してる 君の顔はどこかで見た気がする」
「受付じょ~!そうそうホワイトに居たんだから~」
自分の仕事が評価された気がして上機嫌になる――クビになったけど
条件は、信じられないほどよかった
・完全週休二日
・勤務時間は昼12時~夜9時
・休憩2時間あり
・給料は前職の3倍
ちょっと夜遅いのが気になるけど勤務時間は少ない
なにより
「合言葉を言った人を奥の部屋に通すだけ」
という簡単なお仕事
……あの日、即答で「やります!」と答えた自分を私は一生の誇りとする
ただひとつ後から気づいた
この職場
──ガチで闇だった