表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2O・3O(仮)  作者: 夜何時
第一章 
4/11

運命の出会い

長い会話文ご了承

 「まず、俺は元々この『二指伏見大社』が約20年くらい前に建てられたと同時にこの神社を守るべく生み出された神様的存在なんですよ。実は神社を守る神様たちはその神社の知名度や参拝者の数がそのまま自分の力になっていくんすよ。でも、現状のと同じで建てられた当初からこの神社に人が全く参拝せずに森の中に放置された神社となっていったんす。そんな暇だし、いつ消えてもおかしくない日々を送っていく中で出会ったのが刀也さんあなたでした」


 そう言って剣持の方を見ると、さっきまで心ここにあらずな表情だったのが徐々に笑みがこぼれていた。


 「今から十年くらいまえですかね…その時の刀也さんったら突然きょろきょろしながら境内に入ってきたかと思えば剣道の練習を始めるんだから最初は驚いたし、神聖な場所でなにやっとんじゃ!くらいに思ってましたよ。でも、それから毎日神社に通って一生懸命練習をする刀也さんを見ているうちに何だか不思議とこっちまで力が湧いてくると思っていた時に刀也さんに見つけてもらったんす」


 「あの時は普通に人間の子だと思って接してたけどな」


 すっかり伏見の存在を受け入れたのか、剣持は笑いながらにそういった。


「あの時は多分刀也さんと話したいという強い気持ちから、『実体化』ができるようになったんすよ。実はこれがなかなか大変な行為で神様は霊体(人から見えていない状態)でいるときは天界から神の力が逐一供給されることでなにも問題はないんですけど、実体化(人から見えている状態)していると天界との繋がりがなくなって自分の力のみで生きなきゃいけなくなるんですよね。まあそのかいあって刀也さんと改めてちゃんと話すことができて、晴れて友達になれたというわけなんですけどね」


 一旦休憩というように二人は神社の縁側に腰かけた。


 「なるほどな、じゃあそっからは僕も知っての通りって感じか」


 「そうです。刀也さんと過ごした一年は俺にとってこれまでも、そしてこれからも一生忘れられない思い出ですから」


 そう言って満面の笑みを見せる伏見を見て剣持は思わず顔をそむけた。だが、ちらりと見える横顔からは照れながらもうれしそうな顔が窺えた。


 「だけど楽しい時間も一瞬でした」


 伏見はさっきより少し低くなった声のトーンで説明の続きををした。


 「俺の神としての力が底をつきそうになったんです。まあ考えてみれば大した力もないクセして無理して実体化していたから当たり前の結果なんですけどね、それに気づいた俺はそのまま何も言わず刀也さんの前から姿を消すのも一択だと思ってたんすけどやっぱりできませんでした。そして俺が考えたのが伏見ガクは崖から落ちて死んだことにしてしまおうと思いました」


 剣持はその日のことを思い出したのか少し曇った表情を見せた。

 それを見た瞬間伏見は急に立ち上がって土下座をし始めた。


 「本当に申し訳ないっす!!あの日のことを刀也さんがどれだけ悔やんで自分の業として背負っていたかは毎年ここに来てくれる時の顔を見て伝わってきたっす。俺もあの時の選択を悔やんでは少しでも早く実体化できるように心がけていました。そう、すべては刀也さんに謝罪するためです!改めてほんっとうにごめんなさい」


 伏見が全力で謝る姿を黙って見ていた剣持が静かに口をひらいた。


 「謝るなよ!なんか僕がここまで義務的にお参りしてたみたいになるだろ、いいんだよ。これは僕がしたくてやっていたことなんだ。伏見が神様だったと聞いたときは少し驚いたけどもう大丈夫だ」


 「本当っすか…?」


 半泣きになりながら顔をあげる伏見はせめて感謝を述べようと立ち上がろうしたその時、森の奥から木々が連続して折れる音と人間とは思えないような足音が聞こえてきた。


 「なんだこの音!」


 異変に気づいた剣持が音のなるほうへ顔を向けるとそこには二体の異形の化物が佇んでいた。


 「あ、あれは…」


 伏見が大きく目を見開いた。

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ