設定解説/グラウル・サーヴァント
第一章の第一話(ep.6)から物語が始まります。設定資料集(ep.1~ep.5)は世界観を深く知るための資料です。読み飛ばして頂いても構いません。
本編の各章は「【10分でわかる!】ヴァルハラ・ホライズン(N2529JW)」でダイジェスト化予定です! こちらは毎週土曜日更新中!
( ゜Д゜) / ちなみに、設定資料のいくつかの機体はイラスト付き!
〇【グラウル・サーヴァント】(Growl-Servant、GS)
〇概要
グラウル・サーヴァントは、メルヴィルにおける「人型自在巡航艇」の総称であり、主に海上・浅水域における様々な活動に使用される多目的機動兵器である。
これらの兵器群は、人型の姿を持ちながらも縦横無尽に海原を疾走することが可能であり、従来の高速戦闘艇を超える高い汎用性と機動力、旋回性能を誇る。
惑星表層の大半が海洋に覆われたメルヴィルの環境下においては、GSは特に有用な兵器とされ、多くの開拓者たちが個人的にカスタム化した機体を保有している。
〇機体構造
一般的に小型核融合炉を動力源とし、それを内蔵する胴体部を中心として、視覚カメラを担う頭部、武装あるいは作業機械を保持するための腕部、推進用のハイドロジェット・ポンプを積載した脚部と、概ね人型に近いシルエットである。
GSが機体の推進剤として噴射する海水は、同時に小型核融合炉の冷却剤としても利用される。これを実現するポンプユニットが発する独特の唸り (グラウル)が、グラウル・サーヴァント──“唸り声をあげる従者”の名の由来とされている。
重量バランスの観点から、ポンプユニットは脚部に積載されるのが定石であり、ほとんどの機体において大腿部はそのために肥大化している傾向にある。
〇GSの世代別特徴
~黎明期~
アビサル・クォーツの採掘過程において、採掘艦が音速魚雷を海底の鉱脈へと投下した直後、浮上してきたクォーツ片を収集する必要があるが、これは“青のゴールドラッシュ”の初期頃までは、網やクレーンを使った手段が取られていた。
しかし、これらの方法は波や天候に左右されることが多かったために、旧プロフメック社(現在はゼニット・コンツェルンに吸収合併)は「腕付き船舶」の概念を提唱した。こうして生まれたのがGSの祖と呼べる《ティン・フィスト》である。
後の資源闘争の激化により、採掘艦の襲撃などのシチュエーションが多発するようになった結果、開拓者たちは《ティン・フィスト》を武装化することを思いついた。当初は、作業用マニピュレータに艦載用のターレット・ガンを溶接するなどの安易な改造であったが、これらの発想がGSという海戦兵器の基本概念を生んだ。
~第1世代機~
作業機に自衛能力を付与したことで誕生した初期モデル。小型核融合炉の搭載により、出力と稼働時間が大幅に向上したが、基本設計は依然として「腕付き船舶」の延長であり、射撃戦主体の簡易武装を持つのみ。ただし、この時点でマニピュレータ(手)による武装の保持を実現させており、持ち替えを行うだけで多種多様な武装を扱えるため、前衛から後衛まで、様々な役割を果たすことが可能である。
代表的な機体としては、ゼニット・コンツェルンの《モルスカーヤ》などが該当。
~第2世代機~
小型核融合炉の普及によって、同種の兵器が戦場で対峙する機会が多くなったとき、GSの交戦想定距離は、対艦戦闘を意識した長・中距離戦から、対GSに向けた中・近距離戦へとシフトした。この世代区分から初めて格闘戦能力を導入し、より本格的な人型フレームへと進化。高可動域のアームと近接武装を搭載する一方で、射撃戦の運用能力も兼ね備えたハイブリッドな設計が特徴的である。
アルジャバール・インダストリーの《ザーウィ》や、そのライセンス生産品である伽御廉重工の《弦涯》、SAVIOの《コボルト》などが代表的機体とされる。
~第3世代機~
粘り気の強いアルターカーボン+耐弾性の高い発泡合金から成る、軽量化複合装甲により、大幅な重量減を実現した「海上ドッグファイト」の完全対応モデル。
フレームの可動域はほとんど人体に匹敵するレベルであり、高速機動性と格闘性能を極限まで追求している。また、一部の第2世代機で導入されていた給水用の装甲化ホースである捕水索が標準装備されており、ポンプの稼働率が向上している。
特定の先進的な開拓者クランや、企業の特殊部隊などの限定的な運用に留まっており、コストや技術的な問題から、その普及率は未だ低いのが現状である。
SAVIOの《ハイドラⅡ》や、ゼニット・コンツェルンの《オリョール》など。