実際にダンジョン配信モノを書いてみての雑感
最近流行っているらしいダンジョン配信モノ、皆さんはお好きでしょうか?
まあ好き嫌いは人それぞれでしょうが、こういったタイトルのエッセイに興味を持って読んでいる時点で、感情の方向性はさておき上記ジャンルに対して多少なりとも関心がある方がほとんどだと考えて話を進めさせていただきます。
とにかく流行りのジャンルが憎くて噛みつく対象が欲しいだけという方は、残念ながらご期待に添えそうにありませんのでお早めにページを閉じることをオススメします。
それで本題に入りますが、たまたまネタを思いついたということもあって、私もダンジョン配信モノを実際に書いてみたわけです。タイトルは『幼い女神の迷宮遊戯』。このエッセイを読んで興味を持たれた方がいたら作者の作品ページなどからどうぞ。
で、やはり読者として読むのと実際に書いてみるのとではジャンルの見え方が少なからず変わってくるというか、書いているうちに気付いた点も色々と出てくるわけですね。
まあ私のやつは全30話しかない中編なので、もっと長く書いてる方にはまた別のご意見もあるかもしれませんが。とりあえず、気付いた点を以下に列挙していこうと思います。
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◆その場にいない第三者をいつでも登場させられる。
配信モノというからには当然ですが、そこが危険なモンスターやトラップが配置された危険な場所だとしても、その場にいない第三者がいつでもストーリーに介入できる。これが、このジャンル最大のメリットと言っても過言ではありません。
スマホやPC越しに配信を眺めている視聴者が、時に攻略のヒントであったり、ボケに対するツッコミであったり、意図してのモノかはさておき的外れなアドバイスで足を引っ張ってピンチを演出したりもできる。メタ的な作者視点からすると、これは大変に使い勝手の良い仕組みです。
私の作品内ではやりませんでしたが、同ジャンルの別作品だと受け取ったスパチャで得た収入で攻略に必要なアイテムを購入したりといった展開もあるようです。これも色々な応用形が考えられそうですね。
◆ダンジョン配信が成立する背景について。
これについてはメリットにもデメリットにもなり得るでしょうか。
「危険なダンジョンを攻略する様子を視聴するのが娯楽として成立する世界って、そもそも倫理観どうなってんの?」という当然の疑問を読者にどう呑み込ませるか、そして作者自身がどうやって自分を納得させるかという点ですね。
この疑問に理由付けをする方法は色々と考えられます。
①一見すると現実の地球のように見えるけど、元々スナッフビデオが一般的に鑑賞されてるような激ヤバ常識改変世界だった。
②ダンジョン内は治外法権で、その治外法権っぷりがとてもすごい。撮影した映像を視聴したりデータを所持していても罪に問われないなど。
③そもそもダンジョン攻略にグロ要素や命の危険がない。お子様でも安心して視聴できる。
パッと思いついただけでも、このくらいのパターンは出てくるでしょうか。
ちなみに私のやつは③に該当します。コメディ寄りの作風なのであまり重くならないようにそういう設定にしましたが、よりシリアス寄りの作品なら①や②に類する設定で緊迫感や恐怖を演出したほうが、向いているでしょうね。このあたりは作者個々の作風やどのあたりの読者層を狙うかといった観点から、最適な設定を模索するのが良さそうです。
◆ダンジョン配信にダンジョン要素っている?
で、コレが最後になります。
ダンジョン配信にダンジョン要素はあるべきか否か?
答えは、もちろんYES。
ダンジョン配信モノからダンジョンを引いたら、それはただの配信モノになってしまいます。しかし、それならそれで単なる配信モノでも別に構わないのでは……という疑問が実際書いていて出てきたんですね。
たとえばファンタジー風の世界でその土地のグルメを楽しむ様子を配信したりだとか、魔物の生態を観察したり、色んな業種の人にインタビューをしたりとか、そういう感じで。実際の動画サイトにもそういうの結構ありますし。なんなら時代劇やSF風の世界でも面白そうです。
また配信モノの作品背景が現代日本であることが多いのは、動画配信という行為がまさに現代のインターネット文化を基盤とするものだからかと思われます。
が、そのあたりはぶっちゃけ便利な魔法やら古代文明のオーパーツやらでも代替できそうというか、必ずしも現実の現代に縛られる必要もないのではと思いまして。まあ現代日本であるのがいけないと言うつもりは毛頭ありませんが、もうちょい自由に設定を広げられそうかなと。
少々話がとっ散らかってしまいましたが、要は『ダンジョン配信モノ』というより対象を限定しない『配信モノ』に色々な可能性を感じたというお話でした。
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以上、私が実際書いてみて思ったことのマトメとなります。
単に個人的な覚え書き程度のものですが、もし今後配信モノを書いてみたいという方のお役に立てたなら、また読者の方がジャンルに興味を抱く一助になれたのなら幸いです。
ここまでお読みいただきありがとうございました。




