3話 少女ルカの日常 1
「ねぇ、聞いた? 北の砦でまた銀の竜騎士が出たんだって」
「しかも、一人とドラゴンだけで魔物を全滅させたって」
砦での戦いから翌日。学園は銀の竜騎士の噂でいっぱいだった。
(うわぁ~人の噂って流れるのはやぃ…昨日戦ったことがもう広まってるよ…)
噂に耳を立てているルカは内心驚いていた。
ルカが昨日戦った北の砦は学園のある都市から馬を全力で走らせ途中の町や関所で馬を交換しても2~3日はかかる距離だった。
砦が落ち魔物がせめてくれば都市だって危険だった。
魔物の大群の襲撃があるのにこの都市の住民が避難などせずいつもどうりな生活を送れたのは軍備や防御力の質の高さ定評があった。
後、国王は今回の件について朝から「今回の魔物は小規模だったためこちらの被害は少なかった」と告げ人々は安心していつもの暮らしをしていた。
国王の言葉には銀の竜騎士のことはなかったが、おそらく国の体裁やらどこの国のわからない女に手柄を全て取られてイライラしてる騎士団やら貴族の事を配慮してだろうが、ルカは気にしていない。
(まぁ、これでしばらくは魔物たちもうかつには来ないと思うし…しばらくはゆっくりできそうかぁ…お? レナだ)
「おはようルカ。昨日またあの子たちの約束に遅刻したの聞いたわよ? だいぶ高いの買わされたんじゃない?」
「うぐぅ、こっちの噂話も早いね…」
「ん? なんの話よ?」
「いや、なんでもない」
「変な子ねぇ」とつぶやく、青い髪を腰まで伸ばし真面目そうな雰囲気の少女レナ。ルカのクラスメイトで委員長をしている良い所のお嬢様だが、レナは地位におごる様子もなくすれ違う学友たちに気軽に挨拶を返す。
そこに、一人の男子生徒がルカとレナの前に立ち止まった。
「おいレナ。また、平民と一緒にいるのか」
金髪で整った容姿をしているが、明らかに「俺様貴族、偉い」と雰囲気を醸し出す少年。
長身のレイドはルカを見下しながら話す。
「はぁ、どうも…」
ルカは適当に挨拶するがレイドはレナの方を見る。
(うぁ、朝から面倒なのに合った…それにしても、こんなやつがよく魔法師団に入れたものねえ…やっぱりコネ?)
剣と盾の騎士団と対で魔法と知識で国を守る魔法師団。目の前にいるレイドは代々優秀な魔法使いの家系でルカと同じ15歳で学生でありながら一つの師団の長をしていた。
「お前の姉に伝えておけ、いつになったら謎の女とドラゴンの尻尾をつかめるんだと。あんな女にこれ以上を立てさせるなら騎士団など必要ないぞ」
それだけ伝えてレイドは去っていた。
レナは去っていくレイドの背中をにらみ体を震わせている。
レイドの方が貴族としての位が高く、平民であるルカやレイドより貴族の位が下のレナは何も言えなかった。
昔ほどではないが未だに地位や権力での差別は残っており、貴族と平民。さらに他の種族との衝突などすくなくなかった。