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2話 謎の女性の正体

「くっっっそぉぉぉぉ!! 砦の奴ら!! なんで援護の一つもしてくれないのさぁ!! 結局、私とギンで全部倒したじゃないのぉ!!」


 魔物の侵攻を防ぎ全滅させた後、はるか上空を飛ぶ銀竜シルバードラゴンの背に乗る少女、ルカが吠えた。


(まぁまぁ、いいじゃないルカ。誰も傷つかず済んだから)


 ルカの頭の中に幼い男の子のような声が響く。声の主はルカが乗っている銀竜シルバードラゴンからだった。


「そうだけどさぁ、ギン!!  せっかくの休みの日に楽しみにしてたみんなとのお出かけ、すっぽかしてきたんだよ? またみんなに「約束破ったから、甘いものおごりねぇ~」とか言われて!! 奴隷商人と悪徳貴族から奪ったへそくり(強奪品)がなくなっちゃうよ~~ 」


(たかがお菓子ですぐなくなるほどお金に困ってないでしょ? へそくりだって、家どころか屋敷だって帰るぐらい隠しもってるくせに~~)


「あれは万が一のための蓄え!! 何かの間違いで身バレしたりした時の逃走資金だから!! 正義の味方だって、お金は必要なの!!」


 砦にいた者がいれば幻滅するような会話をするルカ。


 彼女はこの大陸の都市にある学園に通う普通の少女だった。


 幼い頃に読んだ正義の味方の絵本や物語にあこがれ、ひょんなことから銀龍シルバードラゴンことギンと出会い契約し、力と道具を得て正体を隠し正義の味方をしていた。


 契約とは1週間に1度誰かを助けること。契約を守り謎の正義の味方であり続けるために授業中の仮病を使い犯罪組織を壊滅しに行ったり、今日みたいに友人との約束を後に回し魔物討伐に飛んでいく生活を一年も続け人々から銀の竜騎士」(シルバードラグナー)と呼ばれるようになった。


(保障とお金が欲しいなら一部の人だけに正体明かせばいいのに。そうすれば、色々と便宜図ってもらって楽になるような気がするけど…)


「それは絶対ダメ!! 秘密を知る人間が1人できたらそこから2人、4人と増えて最後にはみんなに知られて面倒になるのが目に見えてる!! 」


 ルカはとにかく今の正体を隠し活動しているスタイルを気に入ってる。


 謎の正義の味方の噂を聞いて胸の奥が熱くなり、物語の中で誰に知られず暗躍する正義の味方になれて謎とかミステリアスさがあるため正体を誰にも明かす気がなかった。


(もうぅ~~変なところにこだわるね、ルカは…そろそろ都市のそばに降りるよ)


 ギンが森の中に静かに降りる。


「ありがとう、ギン!! こんど、何かおいしい物持ってくるから、それじゃ!!」


(はいはい、正体バレないように気を付けてね~~)


ギンから離れ身に着けていた鎧が消えて普段着に代わり、肩まである栗色の髪に10代前半ほどの少女の姿が露わになる。


 そのままルカは森から監視者の目を盗み都市の中に入る。

 

 待ち合わせした有名お菓子のお店にいた友人たちから「遅い!!」「また約束忘れて男と会ってきたの?」と怒られたりちゃかされたりした。


「いや~~まぁ、その…」


 ルカは女友達に揉まれながら笑っていた。


(そうそう、正体がばれたらこうやって友達と楽しく遊ぶことなんてできなくなるんだから…)


 さっきまで遠く離れた北の砦で魔物の大群が押し寄せようとしていたのに平和な都市と、変わらない日常。


 内心、この生活がずっと続けばいいぁ。と思うルカだが次の瞬間には遅刻と誰と会っていたのか白状しなかった罰として、高いお菓子をおごらされ悲鳴を上げるのであった。


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