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19話 友人の危機に駆けつける少女

 

「はぁ...」


 部屋の天井裏に隠れているルカはため息をついていた。


(レナ、大丈夫かな…?)


 身バレして唯一態度を変えずにいたレナの身を心配していた。


 学園で一番ルカの傍にいたレナはおそらく他の生徒や教師たちに質問責めをされているんじゃないか? とレナに迷惑をかけてしまった罪悪感と心配でため息が止まらない。


 だが、護衛対象であるルカは知らなかった。


 レナは要人護衛のため隠密行動の訓練を受けており他の人間から身を隠しながら庭に行くなど容易かった。


 ルカは天井裏に寝そべりながら、学園の上空で待機しているギンと心の中で会話する。


(あ~あ…これからどうしよギン?)


(う~ん。ルカのお友達の提案してくれた作戦でここ|《学園》を出た後は、とりあえず別の大陸に逃げる? もうルカの名前も顔もだいぶしられてるみたいだし…っ!? ルカ!!)


「ギン!! わかってる!!」


 逃走後の行動を相談していたルカとギンは何かを感じとった。


 ルカは急いで天井裏から出てた。


 部屋の窓から屋根を上る。


「あれは…レナぁ!?」


 庭の方を見ると銀色の騎士と血を流し傷ついたレナが対峙していた。


 傷ついているレナを見かけ屋根から飛び降りたルカ。


「おい!! いたぞぉ!! 竜騎士様だぁ!!」


「はやく捕まえろぉ!! 賞金は俺たちのもんだぁ!!」


 庭に着地したルカを見て周囲の人間がルカを見て捕獲するぞと叫ぶ中、ルカは逃げずにレナに寄り添う。


「レナ、大丈夫!? 一体何が…あの銀色の奴にやられたの!?」


「はぁ、はぁ…だ、だめ、ルカ...逃げて…!!」


 ルカの背後に銀騎士が迫る。


「ウォォォ!! リュウキシサマ!! ボクハ、ジャマモノヲ、メッシテ、アナタヲオマモリシマス!!」


 少年は理性が失われているのか言葉が片言になっていた。


「邪魔者を滅して貴女をお守りしますと」叫びながらルカを切り捨てようとした。


「はぁ? …何それ? くだらない…」


 騎士の言葉を聞いてルカの中で何かが切れた。


 身バレして追われる恐怖と不安。


 そして、周りの人間が自分を見る目を変える中、唯一変わってくれなかった親友を守るためルカは逃げなかった。


 ルカは騎士の振り落とした剣を片手で受け止めた。


「ナッ!? グゥ!! ハナセェェ!! ボクは、リュウキシサマノ…」


「うっさぃ!!  そんなもの誰も頼んでない!!」


 剣を掴んでいる方とは逆の手で騎士の腹を殴った。


 レナのナイフや魔法で傷すらつかなかった鎧がルカの細腕の攻撃を受けて凹み騎士は殴り飛ばされた。


「グハァ!!」


「ぐへぇ!!」


「お、おもいぃ!!」


 騎士が殴り飛ばされた先にはルカを捕獲しようと集まっていた一団がおり、騎士の下敷きになった。


「る、ルカ…あなた…」


「まっててレナ。今、傷を治すから…」


 ルカの強さに圧倒しているレナ。 


 ルカは掌をレナに向けると銀色の光が生まれレナを包み体中の傷が消えていく。


「すごい体中の傷が一瞬で…」


 この世界の人間は魔力を持ち魔法は使える。だが、一瞬で傷をいやすほど強い魔力を持つ物は極僅かでありレナは改めてルカの力に驚いた。


「ありがとう…けど、今の騒ぎで人が集まってきてる…それに、あれは…」


「野次馬はどうでもいい…けど、あの騎士…儀式でからできたあれは放置できない…」


 レナの言葉を遮り起き上がる騎士を睨むルカ。


 既に騒ぎを聞きつけ多くの人間が集まるが謎の銀色の騎士を見て侵入者だ、誰か止めろと騒ぎがさらに大きくなる。


「ウォォォ!! オロカナ、ケンリョクシャ…ヨワキモノ…シイタゲル、アクマ!!」


 貧困の国で育った少年には学生だろうと目に映る者全てが恵まれた権力者に見えた。


「ウォォォ!!」


 騎士が吠えて攻撃対象をレナからルカを捕まえようとしていた学生や教師たちに変わり襲いかかる。


 憧れの竜騎士をわが物にしようとする圧制者や弱気者を虐げる者を打ち倒す力を得て、少年は自分が銀の竜騎士と同じ「正義の味方」になれた高揚感に浸っていた。


「お、おい! あんた!! 銀の竜騎士なら《シルバードラグナー》なら俺たちを助けてくれよぉ!!」


 騎士から逃げていた野次馬達がルカに助けを求めてきた。


「お、お願いします!! 私は王族に親しい間なので、私を助けてくださいましたら、お礼は十分…」


「助けてぇ!! あの騎士から私を守って!!」


「くそぉ!! お、俺を守らなかったら、痛い目にあうぞぉ…」


 目の前にいる者達が「ルカ」でなく「都合の良い銀の竜騎士」としか見てなかった。

 権力や恩赦を見せ自分を守れと命令してくる人達にレナは怒りに満ちていた。


「あなた達――」


「うるさぃー!!!」


 レナの言葉を遮りルカが吠えた。


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