Episode.3
「ん゛?バレンタイン?」
「そう、バレンタイン」
「なんか用意した方がいい?」
「あ゛ーー」
「いいわ、今年は」
「そう?」
「あ、別に欲しくねぇってわけじゃなく」
「今年もチョコ祭りになりそうだし」
「去年もそうだったけど、
あれハケんの時間かかるんだよ」
「だったね 笑」
「チョコって言っても
一応贈り物には変わんないからさ」
「誰かにやるのも変だし、でもいっぺんに
食べられるような量じゃないし」
「コウの、その優しさが
ファンクラブを存続させてるんだね^^」
「俺、アイドルとかなれるかもな 笑」
「目立つの苦手なのに?」
「じょーだんじょーだん」
「フツーに牛丼とか
ラーメン食いに行けない人生なんて
俺には無理だ」
「ふふ 笑」
「あ、そうだ」
「めぐぅ」
「ん?」
「その日さぁ、映画観た後って時間ある?」
「うん、あるよ」
「お母さんにももう言ってあるし」
「良かった」
「今年もダンボール用意するの?」
「ああ、それどうしよ」
「めぐと付き合ってから、
逆にファン増えてる感あんだよね」
「どういう心理なんだろ…」
「それはあれじゃない?」
「去年付き合い始めたのに、
ちゃんと3月にお返しする
心意気にコロってなっちゃうんじゃない? 笑」
「いやあ、もらったもんはちゃんと返さないと」
「お姉ちゃんにお金借りたんだっけ」
「姉貴そういうのに詳しいから」
「もらったチョコをランク付して
それに見合ったお返しを選んでくれてた」
「お姉さん、完全に
コウのマネージャーだね 笑」
「去年は夏のバイトで返したけど…
またおんなじ流れになりそうだな」
「じゃあ今年は用意しない方向で」
「おう」
「私部活行くね」
「ほーい」
「またなぁ」