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試験会場


試験会場は市役所に隣接する競技用グラウンドで行われる。


グラウンドとは言っても砂や芝生ではない。

熱を吸収し、凍結もしない、柔らかな合成素材の土代わりの素材が敷き詰められている。


これは超能力による二次災害を防止するためだろう。


熱系の能力で砂が灼熱の液体ガラスになったり、焼失して凸凹になったりはたまた、氷の能力で他の人間が凍傷になったり、足を滑らせて転んだしないように事前に処置が施されている。


試験会場には沢山の人間がいた。

10代の、それも中学生くらいに見える少年や、近所のスーパーで働いている女性、肌が白く赤毛の……外国人だろうか?

それから肌を黒く焼いたマッチョの男。おおっと彼は凄く背が高いみたいだ。周囲の人はバスケット選手なのではとヒソヒソと話している。


会場のグラウンドが受付場所だった。

インターネットで調べた通りで赤城は安心した。


グラウンドには男女100人くらいがいて誰も彼もが若々しい。

決して赤城のような年齢の人間はいない。


周りが若過ぎて自分が間違えた場所に来たのではないかと少々不安を覚えながらも体に出さないように身を引き締めていた。


15分もすると、試験官らしき人がぞろぞろとやってきて、そのうち一人が壇上に上がってマイクのスイッチをいれた。


『本日はお集まり頂きどうもありがとうございます。晴天の中、まずは、このような試験に参加して頂けること感謝するとともに、これからの試験予定についてお話しさせて戴きます』


マイクを持った男、青い髪をした20代前半の人物に赤城は見覚えがあった。

以前、パワーアーマの修理を依頼してきたヒーローの一人だ。


そういえば氷の超能力者だったなと思い出した。


パワーアーマが壊れた理由が馬鹿馬鹿しかったことが印象深い。


氷の超能力者を使い過ぎてパワーアーマが冷えて熱膨張と収縮を繰り返すうちに金属が変形して壊れたと言う理由だった。


しかも、氷の超能力を使った理由が同じ仲間の炎の能力者が自分の能力をコントロールできず味方ごと燃やしてしまうため、身を守るため氷を使っていたとか。


ヒーロー試験が座学と運動面で反射神経を重視しているのはなんとなくわかるし、知っているが、赤城は超能力の制御を重視すべきではないかと思った記憶がある。


赤城は青髪の進行役を眺めたが相手はちらりともこちらを見ず、全く気づく様子はなかった。


『1:30からは役所内の大部屋でテストがあります。その後、休憩を挟み3:20から筋力測定や能力測定などを行なって頂き試験は終了になります』


筆記試験は1時間30分。その後身体検査か。

赤城は筆記試験で何が出るかわからなかったがとりあえず特殊兵器製造許可証の時よりは難しいものは出ないだろうと、許可証を取得した時と同じ範囲を勉強した。

加えて軽くヒーローの名前や最近の出来事も調べた。



『ああ、言い忘れていましたが、休憩時間後に筆記試験の結果が出ますので合格者のみ身体テストを受けることが可能です。持ってきて頂いた経歴書や履歴書などはその際に受付に渡して下さい』


20分足らずで結果が出るのは早過ぎるのだが、超能力によってはそれを可能とできるものもあるのだ。

頭が非常に良くなる能力やどんな数でも暗算できる能力やら、そういう能力も持つ人間は役所に就職しやすい。


また超能力によって頭が良くなっている人間の中には、雷の力によって体が活性化している赤城九郎のように副産物として人より能力が向上しているものもいる。



100人の受験生の中には頭が良い人間もかなりいるだろうが、負ける気はなかった。


いや、年長者としてのプライドを守るため万点を取るつもりであった。


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