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恐怖!悪の秘密結社ダークブラック、おっさんの工場を倒産させるッ!!!!!


閑散とした工場の中でくびれたおっさんが立ち尽くしていた。


赤城九郎(あかぎくろう)36歳、赤城家の9人めの子供として生まれ実家は農家。

儲からない農家にはなりたくないと一心発起。

パワースーツの下請け会社の経営を始めた。



全時代のヤクザやマフィアと言った犯罪組織が衰退し、それまで無害な民間人だった者たちにより、悪の組織やら秘密結社やらが作られ、台頭し、金の為、知名度の為、力を得る為。

様々な理由から社会秩序を乱すようになった。

前時代の犯罪組織の衰退は、彼らの知名度向上のために狙われたことにある。一定の世代から超能力に目覚め始めた人類であるが効果の薄い超能力よりも誰でも使えて殺傷力もある銃器を使い続けていた反社会組織は、超能力を限界まで鍛え使いこなした元民間人たちによって蹂躙された。

秘密結社や悪の組織の知名度向上の為、積極的に襲撃された。


銃を持った人間でさえ制圧できてしまうような力が超能力だ。

それを大勢の人間が持つとする。超能力には個人差があり弱い強いと言ったものがある。

すると自衛のためにあまりに強力な兵器を持つようになり、自衛の兵器を悪用した民間人により、更なる犯罪が増加する。


超能力、兵器双方の犯罪、それらに対抗するため政府自治体が主体となってヒーローを生み出した。


ヒーローとはいっても筋肉マッチョでピチピチのタイツを着た空飛ぶお兄さんだとか、雷を操るアル中オヤジのようなものではない。

強く殴られたらふらつくし、高いところから落ちれば死ぬ。

血を流し過ぎれば立てなくなるし、病気になれば弱り、トイレは我慢できない。


ヒーローは所詮人間だ。

強力な超能力をもつもの、持たないもの。

戦闘に使える超能力を持たねば生身では到底戦えないし、持たなければそもそも戦うのは不可能だ。


時には銃や爆弾に晒され、相手は熟練の超能力者や、強力な超能力者、それに人間を辞めた怪物たる怪人、ありとあらゆる脅威から身を守らねばならない。

ヒーローの力を際限なく引き出し、人間の限界を超える力を得られるパワースーツ産業は沸騰していた。

その流れに乗る型で九郎はパワースーツの製造下請け工場を運営していた。


ところがとにかく悪そうな単語を繋げただけのような"悪の秘密結社ダークブラック"という小学生が考えそうな名前の犯罪組織によりスーツを下ろしていた先の企業が襲撃にあい経営破綻してしまった。


スーツ製造というのは機密が多い。だから下ろし先がないなら他の企業と契約すればいいと言う訳にも行かなかったのだ。

そんなわけで倒産した。


「俺の人生どん詰まり、九郎(くろう)だけに苦労してんな」


誰もいない工場でおっさんの決め台詞が光る。


パワースーツの製造というのはとても儲かる。

スーツ一つ一つが馬鹿高いのもあれば、精密な作業を必要とするのもあるし何しろ四六時中、頭の悪そうな名前悪の組織に命を狙われるのだ。

ヒーローの快進撃を止めるため、ヒーローに対する妨害工作、技術を盗むため、たまたま通りかかってなんとなく爆破しようと。様々な理由で工事は狙われる。

パワースーツは儲かる。赤城のような新参者でもパワースーツ製造などという国家プロジェクトに参加できたのも、詰まる所だれもやりたくない仕事で人材がとにかく枯渇していたから、に過ぎない。


高収入だったのが幸いし倒産したが借金はないししばらくの間働かなくとも食べていけるお金はあった。


元々従業員も仕事を辞めたがっていたし、そもそも人は解雇してしまったが、機械類が丸々と組み立て前のスーツの部品やらが詰め込まれた倉庫と工場まである。


自宅兼工場という立地に働きづめで遊ぶ時間がなかった時に買った人工野菜サーバーがあるのでもしもお金が尽きても水道代さえ払えば野菜には困らない。


社員に上げるためにかなり大きなものを設備してあるからこれはもう農家をやってもいいかもしれない。


と考えたところで農家が嫌で都会に飛び出したというのに農家はないなと考え直す。


だが工場を運営して実際に自分も組み立てをしていた腕を生かして他の工場で働くというのも出来ない。


これは契約うんぬんというよりも法律で定められた条例に関するもので、【パワースーツ、ヒーロー用武器の製造、組み立て、開発に携わっていたものは退職、離脱等、元所属組織から移籍する際4年間他、組織に特例を除き移籍を認めない】

というものがある。


つまり移籍というか再就職ができるのは40歳。


四十で再就職……厳しいなぁ。


その間、4年間も無職か。


毎日スーツきて公園のベンチに座ってればいいのか?


悶々といらないことを考え時間をムダにして行く九郎であったが彼はもうやりたいことを見つけていた。


18で始めた組み立て工場。


本当はヒーローになりたかったのだ。

ヒーローになるには金がいる。


それから素質もいる。


親の手伝いで畑仕事をしていたくらいでしかなかったの九郎はまず身体能力の面で躓いた。

そしてパソコンを持ちインターネットに触れて九郎はヒーローになるには350万円の所属金を払わなければいけないことを知った。


元はといえばこの金を払うために始めた工場だった。


しかしいい具合に軌道に乗ったとなればもう少しと欲が出る。そのままズルズルとやり手の工場運営者となりパワースーツを36歳まで製造し続けたのが今の九郎であった。


そもそも、工場を始めた理由を思い出した九郎は俺は馬鹿なのか!と叫んだ。


誰もいない静まり返っていた工場に声が反響する。

馬鹿なのか……馬鹿なのか……馬鹿なのか……反響した自分の声によって自分がとんでもない大馬鹿者だと気付かされた。



九郎が今やりたいことは何か。


それはもう一度ヒーローを目指すというものだ。


36歳無職がヒーローという言い方では印象は良くないが元々脂っこいものや甘いものがさして好きではなかった彼は太ることなく歳を重ねた。


さらにいえば工場を占領してパワースーツを奪おうとする怪人、九郎を拉致してパワースーツを作らせようとする秘密結社、なんかムカつくという理由でやってくるテロリストもどき。


ありとあらゆる悪に365日狙われ続けたというのに今まで工場を続けられていた九郎が弱いわけがなかった。

だからといって素質があるわけではないが。


絶え間ぬ努力と幾多の死線を乗り越えた結果、36歳、おじさんに差し掛かってなお若者に負けぬ体力を持っていた。


3ヶ月に一度開催されるヒーロー試験を受験するため、九郎は役所に行ってヒーロー試験認可書の発行手続きを済ませ、近くのジムへ行って身体能力の計測も行なってもらった。


ヒーローに必要なものは多いがヒーロー試験に挑むに必要なものは少ない。


ヒーロー試験を受けるためにとるヒーロー試験認可書なる書類と身体能力測定の結果、本人確認用の保険証か免許証、あと筆記用具。


それだけだ、履歴書もホォートフォーリオをいらない。

殴り合えばわかる。


シンプルイズベスト。これがヒーロー試験である。

ちなみに筆記用具はもしかしたら必要になるかもしれないからという修学旅行のしおり並みの理由である。





プロフィール

主人公

名前 赤城九郎(あかぎくろう)

年齢 36

性別 ♂

職業

装甲兵器製造業・装甲兵器修理業

資格

運転免許・特殊兵器製造許可証

詳細

実家は農家。上京し装甲兵器製造業を始めたが最近、取引相手が潰れたことにより廃業。この機会にヒーロー業を始めようとしている。

従業員用に作った自動野菜工場(サラダサーバ)を使って農家をすること、副業で行なっていた傭兵向けの装甲修理業で、新たな取引相手を探すまでの間、食いつなぐことは可能だが、長年の夢だったヒーローを始めようとしている。


※資格や用語についてはいずれ説明

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― 新着の感想 ―
[良い点] 「すごく面白そうな小説を発見!やったぜ! なるほど!主人公はこうゆうやつか! 最近、面白そうな小説が見つからなかったからすげぇありがてぇ! なるほど、主人公はこの仕事をしてたのか...そう…
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