バグ技の錬金術師
さて。なし崩し的に大魔王ゾウマの単独撃破を押し付けられたのだが、これにはいくつかのステップを踏む必要がある。
ゾウマは非常に慎重な性格で、自分を傷つける可能性のある武具や存在は破壊するか各地に封印し回っている。
その中でも代表的なのは、やはり勇者の専用武具。
ブルーメタル製や、ミスリル製の『輝きの鎧』、『王者の盾』、『聖なる兜』、そして作中最高の金属とされているオリハルコン製の『勇者の剣』だろう。
取り敢えず俺は思う所があり、武具の調達を優先した。
いい加減、ケーニッヒメタルシリーズの武具も飽きたしな。
さて、実はこの中で1番楽に手に入るのは、勇者の剣である。
アレスガルド南西の町。ドムドラ。
そこにある牧場の真ん中付近の草を書き分けると、何故かオリハルコンのインゴットが落ちている。
後は、これを北西にあるアイラの街へ持って行き、道具屋に売ると次の日には勇者の剣が店に売りに出されている、と言う流れだ。
そう。何故か他のシリーズとは違い、特殊なイベントで貰ったり、ダンジョンで手に入れたりする訳でもない。
デモクエ3では、最強の剣は普通に店で買うのだ!
さて。デモクエ3をプレイし、各種バグ技にも精通した諸兄なら思ったことのある人は多いと思う。
オリハルコンをバグ技で増やせんだから、剣作り放題じゃね?
って言うか、ブルーメタルやミスリルより、全身オリハルコンの装備作って貰えよ、と。
「すいませーん。素材持ち込みで武具1式、オーダーメイドで作って欲しいんですけどー?」
誰だってそう思うし、俺だってそうする。
一応、ここの道具屋のご主人は、ジャパングと言う日本丸出しの国から流れ着いた伝説の錬金術師と言う設定はあるのだが、特にイベントらしいイベントもなく、普通に手に入る。
ヒントは貰えるのだが、知らないとなかなか手に入れるのは難しいだろう。
「はーい。採寸しますねー。お客さん背が高いから、どっちにしろ特注になっちゃいますね。お。この鎧や剣はケーニッヒメタルから採れるメタニウム製ですね!これもいい素材ですよね!普通の金属と違って魔力があるから軽いし丈夫だし。あ、もし良かったらこの鎧や剣も使わせて貰えません?持ち込まれたオリハルコンの特性なんですがね?レアな素材と合金にすれば、オリハルコンが触媒になって、一気に性能が上がるんですよ!まぁオリハルコンはそのまま使ってもかなりいい素材なんですけどね!合金にする方が武具としては性能や耐性が高いんですよ!さぁ、そうと決まれば鎧脱いで脱いで!」
店に入って店主に5分で丸裸にされた。
いや、普通にインナーのシャツとズボンは着ているが。
普通と言えば普通だが、こんな話す人だったか?
ここの店長。
くっ!まさかこれは神の罠か!?やはりルビシアか!
許せねぇ!
『そんな訳ないでしょ。これがこの人のデフォだから。って言うか、アンタ何さらっと世界の理歪めてんの!?オリハルコンの保有分量って決まってんだからね?』
どこからともなく頭に響く神の声やまだ喋り続ける店長をを無視する。
皆何してるのかなぁ。
1人には慣れたつもりだったが、この世界に来てから誰かと一緒にいる事の方が多かったせいか、少し物悲しくなってしまう俺だった。