残心
「今更、そんな油断をすると思うか?残心くらい基本だ。」
紅の光を纏い、ステラが立ち塞がる。
すみません。完全に油断しておりました。
「この程度の対策は基本ですよ?」
フィルは既に心を読み、対策をしていたのだろう。
よく見ると俺達の身体は薄らと白い光に包まれていた。
これは『反射魔法』か!
デモクエでは2回反射されると魔法は消えてしまう。
「ブラドさんの魔法を主軸に戦略を作るのなら、反射魔法対策は基本ですよね!」
「だね!」
ニコニコ話し合うリリーとミレーヌ。
あぁ、そうですか。俺だけですか。
デッドムーアの最終形態は本体の頭と左右の手が独立した魔物として処理さている。
ちなみにそれぞれHPは2,000程。
こうなったデッドムーアに勝機はなかった。
デッドムーアの死骸が塵となって舞い散る。
「これで本当に終わりましたのね。皆様、ありがとうございます。」
改めて礼を述べるフィル。
最後は俺だけ締まらなかったが、仲間に救われたな。
まだ色々とあるが、取り敢えずはルビシアからのお告げはこなしたと言えるだろう。
バキンバキンと空にヒビが入って行く。
デッドムーアが消滅した事で、奴が生み出したこの世界の崩壊が始まったのだろう。
・・・ん?
なんだ?空の上に何かいる?
背中には3対の蝙蝠の羽根を生やし、鍛えられた緑色の肌を晒した悪魔がいた。
頭から黒い角を生やし、その双眸は赤く光っている。
堕天使エルギオネル・クロウ・・・!?
【潜り込んだ先でこの様な事になるとは、まさに神の思し召しと言った所か!おぉ!偉大なる主神!竜神王よ!全ては貴方様の御心のままに!】
・・・おい!てめぇ今なんつった!?
【愚鈍なるルビシアに導かれてしまった哀れな者達よ!さぁ!偉大なる竜神王の名の元に私が導いて上げましょう!!】
積層型魔法陣!?
ロト紋の極大転移魔法か!!
ま、間に合え!!
【さぁ!異世界に吹き飛ぶが良い!!極大転移魔法!!!!】