決死の反撃
しかし、とんでもない威力だな。
俺達がいた浜辺から目の前の島まで、海ごと吹き飛んでおり、深いクレーターとなっていた。
【どうだ!やはり我は最強たる、破壊を司る戦神よ!!いかに貴様達が小細工をしようと、ここまでの破壊は起こせんだろう!】
前にワンターンキルされて、さらに死にかけて縮んだのを気にしていたのだろう。
やけにハイテンションで戦果を誇って来るブラド。
隠し職業の中に普通に極大放出魔法を覚える職業があるのは黙っておこう。
「やっぱり、戦う前に一方的に倒すのが1番安全で効率的ですよね!」
うん。リリーは戦いになったら軽く死ねたからね。しょうがないよね。
ってやっぱり言い出しっぺはリリーか!
「とんでもない威力だったな・・・。流石は戦神と言う訳か。」
「ブラドって強かったのねぇ。何かお父さん達の羊にやられてたイメージしかないから・・・。」
「まぁ、あの羊はちょっとおかしいですから・・・。」
皆、口々にブラドを褒め、終わった空気が流れている。
・・・これ確実にフラグだよな。
ブラドの首を掴み、猫のように持ち上げて袋から取り出した霊薬を流し込む。
【むぐっ!むー!むー!むー!ぷはぁ!
き、貴様!いくら我が華麗に見せ場を盗ったからと言ってこんな嫌がらせを!】
「MP回復だ。これで満タンになったか?」
【あ、ああ。おい。まさか・・・?】
突如、空間が歪み出す。
【ぐ、ぐぁ・・・。がふっ!】
地の底から響く様な不快な呻き声が辺りに響く。
【ぐおおおおおおおおおおおおおおおっん!】
空間を歪め、そこから極大な左右の手と大きな顔だけが宙に出現した。
牙だらけの口は大きく裂け、左右の頭からは山羊の様な角が大きく生え、額にも三本の角が生えている。
青く染ったライオンの様なたてがみを振り乱し、
俺達を殺意の籠った目で見下ろしている。
デッドムーア第3形態。
間違いなく、奴の最強の姿である。
【こ、殺してやる!殺してやるぞ!!儂の軍団ばかりか創ったばかりのこの世界に土足で足を踏み入れ、城ごと吹き飛ばすとは!!】
・・・新築だったらしい。
それは申し訳ない事をしてしまったかもしれん。
「何を言いますか!法の神殿に攻め込み、無辜の民達をその手にかけたのは貴方達でしょうに!
元大神官として許せません!」
「そうだよ!カルカナの人達にもあんなに酷いことをしたのは貴方達じゃない!」
「全ての力なき者たちの剣として、貴様を断罪してくれる!!」
「さぁ!もう一度食らいなさい!『大地の祝福』!!」
【ふはははは!デッドムーアぁ!!所詮、貴様は我の踏み台よ!!『極大放出魔法』!!!】
その時、ニヤリとデッドムーアが笑った気がした。
【この時を待っていたぁ!!『反射魔法』!!!】
やべぇ。魔法反射かっ!!