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おっさんのゲーム世界転移生活日記  作者: 太郎冠者
祝福の聖騎士
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教会にて。


教会のある北側のエリアにはあまり人がおらず、閑散とした雰囲気だった。


リリーは隣に併設された孤児院に行くと言う事なので、1人で教会に向う。



教会には人がおらず、厳かな雰囲気の中、ミサ用の椅子が並び、部屋の最奥に女神の像が立っていた。


精霊神ルビシア


この世界を作ったとされる女神。

各シリーズに多かれ少なかれ出演し、主人公に魔王を倒す為のお守りやアイテムを授けてくれる。


この世界に来た原因を知ってそうな1柱がルビシアな訳だが・・・。


会うのはやはり難しい。

彼女を初め、世界の管理者的な存在が出てくるのは物語の後半、かなりの魔境の先にいるのだ。


因みに、シリーズによっては声だけの出演の時もあったし、出て来ても高確率で魔王に封印されてたりする。


そう。当然、この世界には魔王や大魔王がいる。


正直、小市民な俺としてはあまり関わりたくない。

放っておくとこの世界は魔王に滅ぼされてしまうとしても、積極的な介入は身の安全の為にも避けたい。

頑張れ勇者諸君!君達の働きにこの世界の命運が掛かっているぞ!


ただ、管理者を問いただすにも、身の安全の担保を得る意味でもレベル上げは必須とも言える。


リリーには無理をさせるがやはりレベルカンストまで付き合って貰うしかないな。




「生きとし生ける者は、皆神の子。我が教会にどんな御用かな?」


考え事をしながら長い間ボーッとし過ぎていた様だ。

歳の頃は50代位だろうか?優しそうな笑顔の神父様が話しかけて来た。



「強く、ならねばならないと、ルビシア様に誓っておりました。」


そう!我が身可愛さ故に!


「ならば神よりのお告げを与えましょう。ここより遥か東の地にある『 法の神殿』を訪れなさい。そこで新たな力と共に求める答えを得るでしょう。」



おぉ!教会のお告げシステムか!

デモクエでは、教会にてセーブや次のレベルまでの必要経験値の確認、そして次の目的地までのヒントを神のお告げとして聞くことが出来る。


そして『 法の神殿』!

デモクエ3から出た転職システムを使える神殿だ!


問題は転職システムの世代だな。

第1世代だった場合、転職するとまたレベルは1から上げ直す必要がある。



「ありがとうございます。次の目的地が見えました。これは心ばかりですが、お納めさせて下さい。」


そっと1000ゴルド程を寄付する。

何事もお礼の気持ちが大事だ。

ちなみに俺の現在の所持金は聖水と鉢金と言う換金アイテムのお陰でかなりバブリーになっている。


「感謝いたします。貴方に精霊神ルビシアの御加護がありますように。」

「ちなみに今のレベルを確認したいのですが、そちらもお願い出来ますか?」

感謝ついでに用事を畳み掛ける。


「はて?ご自身のレベルなら『ステータス 』と唱えれば確認出来るのでは?」


え?


「そ、そうなのですか。田舎の出なもので、お恥ずかしい。」



ジェネレーションギャップだな。

初期のデモクエではステータス等の確認は教会だったので、そのイメージで動いていた。

自分の年齢を再確認すると地味にダメージを受ける。



「ステータス」


おぉ!目の前に見慣れたウィンドウが開いたぞ!

街に入る時に見た水晶よりも正確にステータスが表示されている!


名前:シュウ

レベル:58

肩書:異世界からの迷い子

トータル経験値:116

次レベルまでの経験値:1,752,224


職業:戦士

熟練度:1


最大HP:496

最大MP:16

攻撃力:398

守備力:324

攻撃魔力:0

回復魔力:0

力:289

身の守り:136

素早さ:180

器用さ:125

魅力:196



異世界からの迷い子か・・・。

少なくともこの世界のシステムには俺が異世界人と認識をされている様だ。


トータル経験値が少なく、次のレベルまでの経験値が多いのはバグ技の弊害だ。


これのせいで1度バグ技を使えば最大までこの方法でレベルを上げる必要がある。


そして熟練度!

熟練度システムが採用されたのは第2世代以降の転職システムからだ!つまり、レベル上げは無駄にならなさそうだ。



「ところで、『 法の神殿』で転職をした場合、レベルが下がると聞いた事があるのですが、本当でしょうか?」


「いえ。その様なことはありません。純粋に熟練度が一定以上の場合のみ転職が可能となります。覚えたスキルや魔法もそのまま使用出来たはずです。」


ヨシきた!個人的に好きな第2世代システムだ!

そして明日からの予定が決まった!


まずは明日中にレベルを上げ切り、そのステータスで無双しつつ熟練度を上げ、『 法の神殿』を目指そう!


「本当にありがとうございました。これは今後の修行にお役立て下さい。」


そう言いながら更に1000ゴルドを手渡す。


「いやはや、リリーから話は聞いておりましたが、本当に剛毅な方だ。」

「おや。彼女から?」



何となく予想していた事だが、やはりリリーから話を聞いていた様だ。



「ええ。あの子はウチの孤児院の出ですので。昨日、久しぶりに顔を出したと思ったら、あんなにやつれて。あのままだと餓死していたかも知れません。そうなると悔やんでも悔やみきれません。」


「若さ・・・ですかね。責任感が大き過ぎるのも考えものですな。」


「全くです。こちらに気を使ってろくに現状を教えてくれない。ついさっきも顔を見せに来て、貴方からだと500ゴルドも寄付を預かりましたよ。今も孤児院であれやこれやと手伝いをしています。」


渡した金をそのまま寄付したらしい。


「ふむ。その金は彼女の食費として先程渡した物ですな。どう使おうとも彼女の勝手だが、食事をしないのは頂けない。」


「なるほど。つまり、雇用主に虚偽を働いたことになりますな。これは神父としても父親としても叱らねばなりますまい。」


ニヤリと笑う神父様。


リリーは良い子だが、自分を蔑ろにし過ぎる所があるようだ。それを諌めてやるのも大人としての役割だろう。


「シュウ殿もお食事がまだなら如何ですかな?

大したものは御座いませんが、歓迎させて下さい。」


「ご相伴に与ります。」


その夜、リリーはおっさん2人にネタネチと怒られた。ただ、終始その顔は嬉しそうだった。


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