やり過ぎオーバーキル
少し短いですが、キリのいい所で。
【がふぉっ!はあっはあっはあっ!な、何だ今のは】
羊達が消え、土煙が晴れた後にはズタボロになったブラックドレアムがいた。
鎧はひしゃげ、角は半ばから折れ、至る所に足型をつけて血を流している。
あるか分からないが、骨や内蔵等の体内への深刻なダメージも受けているのだろう。まともに立てず、変な風に震えている。
ブラックドレアムのHPは約1万3000。
デモクエではトップクラスの体力を誇るが、一瞬で3分の2以上のHPを削り取られた事で瀕死の様子だった。まぁリアルで3分の2殺しとか重体で入院待ったなしである。
【く、このままでは終わらせんぞ!!貴様等を地獄の業火で焼き尽くしてくれる!!!】
前から疑問に思っていた事があった。
ステータスに素早さと言う項目がある。
素早さが高い順から行動すると言うのは分かる。
しかし、何故1回しか行動出来ないのだろう?
ブラックドレアムの素早さは210で2回から3回行動である。
俺の素早さは、流星の腕輪込みで約2000。
20回くらい行動出来るのではないだろうか?
特に、現実となったこの世界なら。
つまり、
「俺達のターンはまだ終わっちゃいねえぜ!!」
どこぞの前衛的な髪型をした決闘者の様に、高らかに宣言する。
【え?】
ルビシアから貰ったチート装備『流星の腕輪』を装備し、ステータスをカンストさせた俺達にブラックドレアムはついてこられない。
デモクエは伝統的にアイテムなら複数個装備出来るんだよな。
「「「『怒涛の羊呼び』!」」」
召喚された異様に大きく力強い羊の群れが再度、ブラックドレアムを飲み込む。
【え?ちょっ、それ反則・・・】
抗議の声が聞こえた気がしたが、羊の足音に飲ま込まれ、やがて何もきこえなくなった。
・・・やり過ぎたかもれん。