夢と現実の狭間
日間ランキングに乗っていた様です。
PVの変化に驚愕し恐縮しております。
皆様の評価に報いるよう頑張らねば!
地平線の向こうで太陽が沈む。
どこまでも続く草原。
その真ん中に大きな家が立っている。
庭には子ども達の遊ぶ笑い声が聞こえ、真っ白いシーツや服などの洗濯物が並ぶ。
ミレーヌは洗濯籠を持って洗濯を取り込もうと庭に出る。
弟は何年も前に成人し、独り立ちしたので一人分減ったが、子ども達の人数は変わらない。
勿論、今は畑仕事をしているあの人もだ。
あぁ。今自分は幸せだ。
幼い頃の大冒険は今はもう昔。
昔は父と呼んだあの人と結ばれ、この地に根を生やした。
ここでの生活は幸せしかなかった。
もっと幼い頃、失くしてしまった物を取り戻すように、ただただ優しさと幸せに包まれていた。
ふと顔を上げるとあの人が立っていた。
かつてよく見た黒金の鎧に身を包み、よく見れば少し今より若い気がする。
その横には目を瞑った女性。
フィルが並んでいる。
フィルの見た目がかなり幼い。
今の私と比べたら、まるで親子程も歳が離れているように見える。
まるで1番最初に会った時の様な・・・。
・・・あぁ。これは夢か。
そう気づいたら自分の手足は縮み、フィルと変わらない年格好になった。
服装も今まで着ていた布の服ではなく、白銀の胸当てをつけた戦装束になる。
腰に手をやり、お父さんから貰った大切なオリハルコンのナイフを撫でる。
「もう、いいのか?すまんな。」
お父さんが少し申し訳なさそうな顔をして尋ねて来る。
いつも私を心配してくれるお父さんの顔。
夢でも現実でも変わらない。
「うん。ここでの生活は夢だったけど、手に入らない夢じゃあないから。」
だから、行こう。
失くしたものを取り戻すのは、今からだ。
3人揃って廃墟の都市を歩く。
ルビシアと別れてから、夢に囚われたフィルとミレーヌを助け出したのだ。
しかし、ミレーヌは良い。
実に年相応の牧歌的な夢だった。
ミレーヌはやはり聖女。QED。
どこぞの元大神官とは比べ物にならない。
え。なに?大魔道士になる人って皆そんな感じになるの?マ〇リフ師匠とか完全にそうだよね?
フィルの夢は完全にノクターン案件です。ありがとうございました。
「ほっといてください!こっちは20年間心の中で色々見せつけられるだけなんだったし、しょうがないでしょ?
合法ロリとか言い出した人に言われたくありません!」
20年の鬱憤と俺の合法ロリちっぱい発言が奇跡的なケミストリーを生み出したと言う訳か・・・。
まさか夢とは言え、生でフィルのちっぱいを拝めるとは・・・。やはり女性の胸には夢が詰まっていると言えるだろう。
「別に見たいなら見せても良いんですけどね。」
少し不貞腐れながら呟くフィル。
多分。この時、俺は色々あって知らず知らずのうちにテンパっていたのかもしれない。
つい本音を声に出してしまった。
「まぁそのうちな。」
顔を真っ赤にして固まるフィルとミレーヌが目に入った。
「げ、言質取りましたからね!?聞いたわよね?ミレーヌ!」
「う、うん!確かに聞いた!」
姦しい2人と共に次の階層を目指す。
残りは半分だ。