夢の中の現実
デッドゴッド村。
お楽しみダンジョンの中にある村で、攻略の拠点として使える村だ。
この村は見る人次第で色々な姿に見えるらしく、最初に訪れた際に見える風景は、デモクエ6の主人公の村だ。
しかし、主人公の自宅には見慣れない女性がおり、話しかけると、いきなり【真実が知りたい?】と問いかけられる。
そして、「はい」を選ぶと村の様子は一変する。
この村は、訪れた者が一番見たい夢を見せてくれる場所であり、真実の姿は幽霊達が彷徨う廃墟の国だった。
かつて、戦争に明け暮れた国があった。
力を求めるあまり神を召喚したその国は、呼び出した神の怒りに触れ滅ぼされてしまう。
国を滅ぼしてもその神の怒りは収まらず、世界を滅ぼす寸前にその女性が自分事封印したのだそうだ。
その女性こそ、精霊神ルビシア。
神に滅ぼされた世界に取り残されたただ1柱の女神だ。
地下5階層への階段の前の広場。
2人が眠るテントの前で、1人ぼぅっと焚き火を見つめる。
「全てが、実は夢なんじゃないかって想いはある。」
右手で左拳を強く握る。
「この世界がただの幻想で、俺は単なる夢遊病者なんじゃないのかってな。」
その確証のなさが彼女達への煮え切らない態度になっていたとも言えるだろう。
いや、それこそ俺がヘタレてただけだな。
この歳まで女性との接点が無さ過ぎたからな。
そりゃあビビるわ。
「真顔で何をヘタレた事を考えているのですか。向こうの世界でも異性との縁は合ったのですよ?」
クスクスと笑う女性が焚き火の傍に座っている。
ピンクの髪に、白のトーガを着て、所々に金色のアクセサリーを付けている。
恐ろしい程に整った顔、均整の取れた身体が、彼女が人以外の何かだと明言している様だった。
「そこは安心して良いわ。ここは現実。
貴方のいた世界と似て非なる法則で成り立ってはいるけど、ね。」
精霊神ルビシア。
恐らく、この世界へ俺を引き込んだであろう、ゲームマスターがそこにいた。