とある大神官の独り言。
私は化物だ。
物心が着いた時、私は明確に周りの人と違うのだと自覚をしてしまった。
盲ているのに周りの魔力の色や形で、景色を認識し、
人の心すら感じ取った。
幼い時より様々な魔法を自然と操り、大気中の魔力を吸い取り、自身の糧とした。
常時、周りから魔力を吸っている為、食事は取らず排泄も私には不要だった。
捨て子だった為、両親は知らず、法の神殿の元大神官だった師匠が私の育ての親だ。
とても立派な人だ。
でも、16歳を超え成人した時、まるで外見が変わらない私を見て私を心の中で化物と呼んだ。
それでも構わなかった。
事実、私は他の人とは違うのだから。
神官達は内心、私は魔物だと、悪魔だと思っている。
神官長など、私が神官長に推薦された時は明確に化物と呼び反対をした。
今でも目の敵の様に扱われるのだが、裏表のないあの人は私は案外嫌いではない。
それだけ神殿にいる人達の裏表は明確に乖離していた。
神殿が襲われた時、私を捕らえた悪魔は笑っていた。
貴様の様な化物がこの世にはいるのかと。
あぁ。私は魔物ですら、悪魔ですらないのだ。
捕えられた結界の中で、ただ神に祈り続けていた。
いや。それはもう祈りではなく狂気と言っていい。
私は何者なのか。
私は化物なのか。
誰も私を受け入れてはくれないのか。
誰も私を愛してくれないのか。
今日。私が何者なのかが判明した。
合法ロリなのだそうだ。
私を助けてくれたのはとても強い人達だった。
生まれつきではなく、鍛えたのだろう。
私よりも強い魔力をもつ男の人と女の子。
2人ともとても綺麗で不思議な魔力をしている。
女の子は純粋な驚きと共に私を受け入れてくれた。
男の人は・・・何だかよく分からない。
基本的に寡黙な人らしく、殆ど話さないのだが、考えが突拍子もなさ過ぎる。
会った瞬間に可愛いと言われ、年齢も見抜かれた。
その上で、数百歳くらいなら良かったと言う前代未聞の要望が伝わって来た。
流石にそこまでおばあちゃんじゃない。
心が読めるのも全く意に介さず、さらりと受け入れられた。
そして合法ロリと断言されてしまった。
私とて男女の機微と言うのは知識として知っている。
神殿とは言え、男と女がいるのだ。
表立ってはないが、それなりに色々ある。
私の様な化物には縁のない話だが、心が伝わって来るのだ。周りの状況と言うのも望まずとも伝わって来てしまう。
今まで誰かにそう言う目線で見られた事はないし、自分の見た目を気にした事もなかったが、あの人の言っている意味は、まぁ何となく分かる。
そして案外、自分はそれが嫌ではないらしい。
初めての思考を向けられ、むしろ楽しいと感じている自分がいる。
法の神殿を解放するまでの短い付き合いにはなるだろうが、今だけはこの出会いを楽しみたいと思うのだ。