カンストと大神官
さて。ここのダンジョンなのだが、実は今の状況的にちょっと美味しいダンジョンなのだ。
ゲームの時はそこそこ長いダンジョンなのでそんな事は全く思わなかったが・・・。
現在は職業を封じられ、魔法もスキルも一切使えない状況だ。悪魔の様な悪辣さでプレイヤーの心を折りに来る開発者も、流石に不憫だと思ったのか、ここのダンジョンには、ステータスをアップさせる雫を多く配置されている。
つまり・・・。
「お、お父さん。ステータスが凄い事になっているんだけど・・・。」
「HPやMPも含めて全ステータスが999になっているな?
よし。これで第1段階はクリアしたな。」
俺は元々やり込み派だ。基本的に全てのトロフィーはゲットしておきたい。バグ技や裏技を使うのは賛否両論あるだろうが、製品として売りに出された時点でそれは製品の仕様だと思う派だ。
改造等の本来の意味でのチート技は駄目だが。
デバックルーム?オープントレイ?
まぁ細かい事は良いじゃあないか。
TAS動画とか面白いよね。
「こ、これで第1段階なの?お父さんはどこを目指しているの?」
お父さんはな。戦うのが好きなんじゃない。
勝つのが好きなんだ。
ダンジョンのギミックを突破し、迫り来る魔物の群れを無双ゲームの如く吹き飛ばす。
所詮は適正レベル15程度の低レベルダンジョンだ。
瞬殺である。
大神官はダンジョンギミックの結界に阻まれた牢獄に1人で囚われていた。
それなりに長い間囚われていたにも関わらず、全く汚れていない長い黒髪を2つに括り、跪いて祈りを捧げていた。
その神秘的な雰囲気が、ここが牢獄ではなく、まるで礼拝堂だと錯覚させるようだ。
「私はフィール・フォル・フォーラと申します。
フィルとお呼び下さい。
どこのどなたかは存じませんが、助けて頂いたその優しさに感謝を。」
鈴の鳴るような声と言うのだろうか、透き通る様な声と共に感謝を告げるフィル大神官。
ゲームでも可愛いかったが、生で見ると違うな。
しかし、この子幾つなんだろう?
フィルは人気は高いのだが、設定が微妙に曖昧なのだ。
見た目はミレーヌの少し上くらい、中学生くらいなのだが、漫画版では食事や排泄もせず、新陳代謝が行われない人や魔物ではない何かとされている。
ゲームの外伝で主人公達より年上と明言されてはいるのだが、そうなると現在は20歳くらいになってしまう。
まぁロリババアと言うのも個人的にはありなのだが、その場合は数百歳単位の年齢でいて欲しい。
「あ、えっと。その、20歳です。ご期待に応えれず、その、すみません・・・。」
・・・え?あれ?声に出てた?
そして合法ロリなのか!
「何となくですが、考えている事が伝わって来るのです。イメージが伝わる、とでも言いましょうか。合法ろ・・・?」
人の顔色から何を考えているか分かる、みたいなもんかな?小説版準拠だな。
確かそれなら盲目設定もあったはずだ。
後、その単語は忘れて下さい。
「あ、そうです。強く考えている単語が伝わると言うのが
1番正確だと思います。後、その通りです。私は生まれつき盲ております。」
なかなかこの子も苦労していそうである。
この世界、薄幸な美少女多過ぎない?
「大神官様って何だか凄いのね・・・。でも目が見えないなんて全く思えないくらいしっかりされてるわ!」
純粋なミレーヌは心を読まれると言う事には特に思う所はないらしい。このまま汚れないでいて欲しいものだ。
汚い大人の俺はと言うと、どうしても抗えない単語を頭に思い浮かべてしまった。
「あ、あの。う、生まれつき身体の成長が周りより遅くて・・・。そ、その魔力が人より高いせいで、代謝が低くて、成長しないとか、言われてるんですけど。」
何やら顔を真っ赤にして自身の薄い胸に手を当てるフィル。
「お父さん?今、何考えた?」
何となく察したミレーヌの目が本当に怖いが、
合法ロリのちっぱいは良い物なのである。