初めての仲間
ようやくヒロインを出せました。
「リリーと言います!レベルは1ですが何でもやります!是非使って下さい!」
微妙に人聞きの悪い自己紹介をされながら、リリーと言う少女を眺める。
大きな怪我をしたのだろう。
体の至る所に包帯を巻いている。
肩くらいの長さの金髪を2つ括りにした線の細い少女だ。恐らく10代半ばくらいか?
うーん。俺とは親子には見えないな・・・。
並んで歩いているとどう見ても援交にしか見えない。
「力はそこまでありませんが、弱音は吐きません!
素早さには自身があるので、囮でもなんでも出来ます!」
折角整った顔をしているのに、目元に隈が出来、頬が痩けている。恐らく何日も食べていないのだろう。
元々色が白いのに血の気がないため、
顔が真っ青になっている。
こ、こんな状態で働けるのか・・・?
某大人気ロボットアニメの、大怪我をした青髪のヒロインをロボットに乗せようとする司令官の様な、まさに鬼の所業だ。
因みに、これを言うとあれは人造人間でロボットではないとマニアには怒られる。
「どうだ?旦那。仕事は真面目にこなすのは保証するぜ?」
「あー、うん。不満自体はないんだが。そもそも論、それなりに整った顔をしてるんだから、こういう荒っぽい仕事じゃなく、普通の店で働くって選択肢はないのか?夜の店でも安全な所はあるだろう?」
「普通の店で働くにはコネがいる。リリーは孤児だから信用されん。それに夜の仕事も専門職だ。それなりの修行や教養がいる。この子は今16歳だ。もう遅過ぎるな。」
性商売もこの世界では立派な職業として成り立っている様だ。素人が適当に、と言うのは御法度らしい。
聞けばこのリリーと言う少女は孤児院の出らしい。
こんな世界だ。当然、孤児院にはお金が無く、少しでも恩返しが出来るように身を削って寄付をしていたらしい。
ある日無理が祟って怪我をし、ろくに働けないまま現在に至った様だ。
「大きな怪我をしたのは腕ですし、走る分には問題ありません!荷運びは背負子か何かあれば・・・いえ!なくても運んでみせます!」
け、健気過ぎるだろ・・・。
「あー、別に魔法の袋があるから荷運びは不要だ。
囮にする気もない。身の安全事態は保証はするが、万一の場合があるのはわかっててくれ。」
「雇って頂けるんですか!」
ぱあっと明るく笑うリリー。
「俺にも良心ってもんがあるんだ。そんな話を聞いちまったら目覚めが悪過ぎるだろう。」
くそ。ニヤニヤ笑ってるハゲが憎い。
「俺はシュウ。短い間だが、宜しく頼む。」
因みに俺はゲームの時は本名から取ったシュウと言う名前で統一する派だった。
「はい!シュウさん!」
ぐぅー
リリーの腹の音が鳴る。
何日も食べてないとの話だったな・・・。
「おい。マスター。とりあえずリリーを腹いっぱいにしてくれ。金はだす。」
「そ、そんな!」
「必要経費だ。倒れられても敵わんしな。
仕事は明日から3日間。3食付けよう。」
「流石にそこまで甘えるわ・・・」
ぐぐぅー
メシが食えると聞いて気が緩んだのか、更にリリーの腹が鳴る。
「お、お世話になります・・・。」
うむ。いい子そうだ。