賽をフルスイングで投げる。
「げふぅ。も、もう限界です。ゆ、許して」
「あ、ああ。申し訳ないがこの辺で勘弁して欲しい。」
「うっぷ。も、もう駄目・・・。」
真っ青な顔をして土下座し出すロンフーと神殿騎士団の生き残りの2人。
あ、こら!こんな所で吐くな!
汚い物をミレーヌに見せるんじゃない!
あれからロンフーに命じて神殿騎士団の生き残りを呼び出させ、ミレーヌのレベル上げの生贄、いや、協力者になってもらっている。
1人20回ちょっとを飛んだだけで顔面蒼白で土下座をかましてきた。ゲームのイベント戦闘でドヤ顔していたお前達はどこに行った!?
「お父さん。流石にこれは酷いと思うの。」
大の大人達がが情けなく土下座する姿を見て、ミレーヌが同情的になる。むぅ。ミレーヌに言われると弱い。
「うーむ。でも俺がレベルを上げる時に付き合ってくれた子は1人でで90回以上飛んでくれたぞ?」
「ど、どんな猛者ですか!?それ!」
「化物・・・。」
「有り得ねぇ。うっぷ。もうホント吐く・・・。」
「その人女の人よね?お父さん。その話詳しく聞かせて?」
む、娘が少し怖いがスルーする。
兎も角、ミレーヌのレベルをカンストさせ、デモクエ伝統のドーピングアイテム、『雫 』をジョッキで飲み干し特定ステータスをカンストさせる。
さぁ。準備は万端だ!
【さぁ。力を奪われし哀れな者共よ!新たな法の神殿の大神官、カーディナルアント様のお慈悲を伝える!貴様たちの魂を使って造る魔剣を使った、『魂砕き』を・・・】
「お前の魂を寄越せ。」
【ぎゃあああああああああ!!!】
この村の罠である蠱毒を増長させる仕掛け、『魂の剣』と『魂砕き』を告げに来た悪魔を瞬殺する。
「おぃい!!何してんの!?何してんの!?」
みっともなく焦るロンフー。
この法の神殿を乗っ取った魔物達の目的は2つある。
1つは当然、転職しに来た人間の熟練度。
もう1つは捕らえた人間達を争わせ、生き残った人間の力を奪い取る事だ。
その争いをさせる仕掛けが人間の魂を具現化し、人間の魂のみを傷付ける『魂の剣』である。
そして魔物はこう言うのだ。
5人の魂を砕け。そうすればここから出してやる、と。
ゲームではこの『魂砕き』関係のイベントがあるのだが、面倒なので大元を消去してスキップする。
「5人の魂を砕いたらここから助けるとか、どう考えても嘘だろ。いちいち真面目に取り合うな。」
「そうは言っても旦那!あんな事したら魔物達からどんな報復が返ってくるか・・・。」
残念だがロンフー君。既に状況は動き出しているのだよ。
「その前に法の神殿を取り戻す。先に西の洞窟の魔物を一掃しておくから、さっさと村の連中を纏めて追い付いてこい。目的は中腹の村の解放だ。」
何気にダンジョンって初めてなんだよな。
よーし。オラ、ワクワクして来たぞ!