囚われの村。
デモクエ7をやっていて、俺として思う所がいくつかある。
よくネタにされる、全体を通して鬱なストーリーだったり、途中好きな子が出来たからとパーティを離脱するソフトのパッケージにドヤ顔で堂々とポーズをキメる種泥棒だったりするのだが、個人的には、この法の神殿関連のイベントにはしっかり騙された。
いや、やけに転職を進めてくるNPCとかさ、何か雰囲気違うなーとか思ったよ?帰ろうとするとめっちゃ引き止めてくるし。
それでも俺は信じたのだ。いや、信じたかった。
かなり強化されたと言う転職システムも楽しみだったし、丁度戦力強化したくなる時期だった。
そんなプレイヤーの淡い期待を、無碍にはしないと思い込んでしまった。
そして、あの仕打ちである。
簡単に言うと、法の神殿は既に魔物に乗っ取られており、転職しようとすると、熟練度を全て吸い取られ魔法とスキルを無くした状態で放り出されるのだ。
「ちくしょう!やられた!」
強制転移させられた池の中から岸へ這い上がり悪態をつく。
「ごめんなさい。お父さん。ジャミエルの言ってた事ってこの事だったのね・・・。もう少し早く気づくべきだったわ。」
先に水から上げたミレーヌが申し訳なさそうに言う。
「いや。確かに騙されはしたが、これはどうしようもないだろう。神殿が占拠されているのなら無視する訳には行かなかったしな。」
してやられた感は半端ないが、これでイベントが進んだとも言える。
しかし、この世界はどうなっているんだろう?
10年前と言う設定のはずだろうに、何故もう神殿が占拠されているんだ?
7では過去に戻って事件を解決するのが基本だからか?
「ここはどこなんだろう?随分寂れた村だけど・・・。」
「恐らく、法の神殿で転職を希望した者達が送られる牢獄みたいな所だろうな。」
恐らくと言うとより、確定である。
この吹き溜まりの村は、神殿で騙され、力を吸い取られた戦士や魔法使い等の収容所である。
流れとしては、この村から西にあるダンジョンを超えた先にある山の中腹の村に行くと、神殿関係者が捉えられたもう1つの村がある。
そこで本当の大神官を助け出し、神殿関係者をまとめ上げて神殿の奪還をするのである。
「これからどうしよう?スキルや魔法が取られちゃったし、職がないならステータスだって・・・。」
確かにミレーヌの言うことも正しい。
俺はこの世界に来た時から戦士の職についていた。
当然、戦士の恩恵としてのステータス補正や、カンストさせた熟練度によるスキルを使っていた。
ミレーヌとて、僧侶としての職業補正を受けていたし、様々な魔法も覚えた。
しかし、だ。
それらがないと本当に戦えないのか?
否だ。否である。
かつて、無数の世界を救った歴戦の勇者達が認めた唯一絶対の戦法。
「ミレーヌ。覚えておけ。この言葉で魔王は倒せる。
レベルを上げて、物理で殴る、だ。」