法の神殿にて。
4章開始です。
お暇な時にお付き合い下さいな。
ようやく転職である。
デモクエで職業と言うのは、神から授かるものである。
村人の子なら村人、料理人の子なら料理人となる。
それぞれの職業に合ったステータスとスキルを授かり、その職業として生きるのである。
だが、その職業のまま生きられない場合もある。
その場合のリクルート手段としてあるのが、この『 法の神殿』である。
しかし、この世界は魔物が跋扈し、村人だろうが料理人だろうが、戦う手段があるのが世知辛い気がする。
デモクエ7の主人公なんか漁師だしな。
深い森を進んでいくと、厳かな神殿が顔を出す。
神殿と言うよりほぼ城である。
複雑な彫刻を施された壁や柱に取り囲まれ、綺麗に手入れがされた庭が見える。
その奥にある本丸こそが『法の神殿 』の中心部。
転職の祭壇である。
厳かな雰囲気の広間に入ると、転職したのか転職待ちなのかは知らないが訪れた人達の姿が見える。
ちなみに、その中にギャルになりたいとほざく爺さんがいるが、シリーズ問わず必ず出てくるレギュラーキャラである。
神殿の装飾に見とれてキョロキョロするミレーヌと共に祭壇へ近づく。
「ここが転職を司る法の神殿なのね!私、転職するの楽しみにしてたの!」
実はミレーヌ既に僧侶としての職業についていた。
デモクエ6では、法の神殿に来るまで無職だったのだが、この世界の仕様の為か、既に職業に着いた状態だったのだ。
これ幸いと、ここに来る間にパワーレベリングをし、僧侶の熟練度をMAXまで引き伸ばした。
必要討伐数は160匹。レベルも28まで上がった。
1番面白くなってくる時期である。
祭壇には転職を司る大神官であろう老人が立っている。
その周りには18個の燭台が円形に配置されており、
現在はその2つだけに炎が灯っている。
おぉ!あの燭台!
隠しダンジョンへの入口か!
この世界、職業は1番職業数の多いデモクエ7仕様だが、『 法の神殿』の機能はデモクエ6準拠の様だ。
あの18個の燭台は極めた職業一つにつき一つの炎が灯り、全てが灯った時、隠されたダンジョンへの扉が開く。
所謂、クリア後のやり込み要素である。
ここでは雑魚敵ですら、下手なダンジョンのボスより格上で、適正レベルは70オーバー。
これはもうここに行くしかないと俺の魂が叫んでいる。
となればやる事は一つ。
やり込みである。
全ての職を全制覇するしかない!
もうこれはデモクエファンとしては義務である!!
早速、意気揚々と大神官に声を掛ける。
「ここは転職を司る法の神殿。職業を変えたい者が
来る場所です。転職を ご希望ですか?」
もはや暗記すらしている台詞を告げる大神官。
当然答えは、はい、である。
ここで俺の30年にも及ぶゲーマーの経験が違和感を感じた。何だ?何を間違えた?
「ならば、先ずはこの聖なる水を振り掛けて、そなたを清めよう。さすれば新たな職業への道が開かれる。」
ん?待て。
何て言った?転職前に水?
この時点で違和感どころか明確な警戒心となる。
パァっと振り掛けられた水が輝く。
「くっくっくっ!どうかな?力を奪われた感想は?
その水は貴様達、人間のスキルや魔法の力を奪うものだ!さぁ。地上の牢獄で嘆き暮らすが良い!!」
いきなり視界がブレ出し、強制的に転移させられる。
ち、畜生!
何でこんな所はデモクエ7仕様なんだよ!!