勇者と聖女
【黒金の勇者だとぉっ!?貴様が予言にあった悪魔狩りなのか!?】
さっきからコイツ、白金の聖女と言い悪魔狩りと言い、何でちょいちょい厨二病くさいんだ?
しかし、予言ねぇ。
魔族側にも神がいるのか?
いや、そう言えば、シリーズにもよるが、基本的に大魔王何かは神と同格みたいに扱われていたな。
つまり、神と大魔王のそれぞれの予言やお告げで、黒金の勇者、つまり俺と言う異世界人が出てくる訳だ。
何となく神VS大魔王の構図が見えてきたな。
ん?そう言えば、この世界ってデモクエ全シリーズをごった煮にした世界かつ、10年前の設定だろ?
何でジャミエルは、ゲーム通りカルカナで生贄狩りやってんだ?
「━━━あぁ。そうか。お前達4柱の魔王はそれぞれの目的の為、かなり前から動いていたんだっけ。」
【なぁっ!?】
「お前達は人間の世界を征服する為に、驚異となる4つの施設を破壊するつもりなんだろ?」
つまり、
勇者と言う職業を生み出せる、転職を司る『 法の神殿』
勇者の剣を生み出した、武具の故郷たる『 槌の都』
あらゆる魔法を生み出す魔法使いの国、『 魔法学園』
勇気を司り、夢の世界を束ねる『 天空の城』
これらの施設を物理的に破壊し、さらに夢の世界で封印する事で、人間の世界を確実に征服しようとしていたのだ。
と言うより、それはデモクエ6開始の時点で完了していた。
デモクエ6勢の魔王達は既にこの時から動いていたんだな。
今の所は『 法の神殿』が襲われたとは聞いていないから、まだ計画段階なのだろう。
うーむ。マジで重要施設だからなぁ。
やっぱり他の3柱の魔王も倒しておく必要があるか?
「グラエルとか海の底だし、デューエルも空の上、比較的楽に行けるムードエルも絶海の孤島だしなぁ。移動手段をなにか探さないと・・・。」
【何故我ら四魔王の事を知っている!?それに今計画されている襲撃先も!これが導かれたルビシアの使徒なのか!?】
おおっと、証言頂きました。
やはり俺をこの世界に招いた犯人はルビシアか。
うーん。ルビシアかぁ。
シリーズによっては慈愛に満ちた女神っぽく見せてはいるが、人間とは違う尺度で物事を見ている節がある。
つまり、人間個人よりも世界を優先するある種の冷酷さがあるのだ。まぁ世界を運営する神なので当然と言えば当然なのだが・・・。
「まぁ、その辺は『 法の神殿』で判明するのかね?」
剣を構え直し、ジャミエルに向かう。
【くっ!同士達よ!!何をしている!人間共を人質にでもして━━━━━!!】
「『 五月雨』」
ザザザザザザザザザザザっ!!!
雨音の様な斬撃音と共にステージ下に集結していた魔物の群れを、熟練度レベル8の技が細切れにする。
「お前達は一体誰の前に立っていると思っているんだ?」
カンストぞ?我カンストぞ?
・・・あ。駄目だ。結構な数が生き残ってる。
怯んではいるが、半数以上の魔物がまだピンピンしている。流石に全体攻撃と言えど、百匹単位の魔物の群れ全体に攻撃を当てるのは無理らしい。
「今のうちに固まって!戦える人はいる!?棒でも素手でも何でもいい!諦めないで!」
ミレーヌがナイフを構え、叫ぶ。
「最後まで抗おう!」
おおぅ。ミレーヌ。成長したんだなぁ。
ホロリと来るね。
「は、はい!聖女様!」「固まるんだ!早く!」「勇者様の足を引っ張るな!」「お、俺も戦えるぞ!」
ミレーヌの喝を受けて動き出す元生贄諸君。
「ははっ。しっかり聖女じゃないか。ミレーヌ。」
「お、お父さんをの・・・娘だし・・・。」
照れて俯くミレーヌ。
「そうだな。なら聖女様のパパらしい所をみせてやろう!」