油断
闇進化の秘法。
デモクエ4では、魔王ピエトロ達は2つの計画を進行していた。
1つ目は勇者の抹殺。
第1章の子ども連続失踪事件や第5章の勇者の村焼き討ちの様に、勇者がまだ幼いウチに倒してしまおうと言う計画だ。
2つ目は闇進化の秘法の研究。
第4章で発覚する封印された大魔王エストアークの力を抽出・精製した魔物の強制進化薬の研究だ。
まぁ、この薬は失敗ばかりで、これを使った魔王ピエトロはローザを失った絶望で暴走するし、完成品を使ったデーモン・プリーストも、力に飲み込まれ最後は意思のない怪物になってしまう。
「ば、化物・・・。」
ステラが青ざめた顔で見上げる。
【ウロロロロロロロロロロロッ!!】
デーモン・プリーストはどんどん膨張して行き、今や身長10メートル近くの巨大な怪物になっていた。
真っ白い肌に牙だらけの裂けた大きな口。頭には左右に伸びる角が生え、赤い瞳が3つ。
しかも腹にも大きな顔がある。
あれは最終形態!
ゲームでは徐々に大きなる4段回の形態変化があったはずだが、研究不足の副作用なのか、形態変化機能はなくなった様だ。
ずるりっ。
ぼたたっ!ぐちょ!
デーモン・プリーストの全身の肉がずるりと溶けだし、地面に落ちる。
びちゃびちゃ!
ぶちゅっ!
ズズン!
身体の至る所から体液を吹き出し、その巨体を維持出来ないのか、苦しそうに地に倒れ伏す。
ステラが、また何かしたのかと言う呆れた目で俺をみる。
濡れ衣である。まぁ要はナウ〇カの巨〇兵である。
「腐ってやがる。早すぎたんだ。
最後が自滅とは、こうなると哀れなもんだな。」
俺は完全に油断していた。
剣を鞘にしまい、『 聖水』を数本持ち、トドメを指してやろうとデーモン・プリーストに近づく。
「危ない!!!」
【あ、ふ、ふれ!『 極大火炎魔法』】
ドン!
ステラに突き飛ばされ、呆けた顔で見上げる。
俺の目には、慈愛に満ちた笑顔のステラが炎に消える瞬間が写った。
「ステラァァァあ!!!」