愛のお話。
ローザタウンとは元々は山奥にある隠れ里だった。
ホビットやエルフ、ドワーフ、魔族、人間、果ては魔物までが仲良く暮らす村だった。
そこにひょんな事から訪れた、若かりし魔王ピエトロが心優しき娘ローザと出会う。
遥か昔に封印されてしまった大魔王を復活させ、魔族の復権を画策する魔王。(この辺りが1~3章付近だ。)
しかし、平和を愛するローザに次第に惹かれ初め、徐々に感化されだす。
確証はないが4章付近と思われる。
小説版では、この付近で魔王ピエトロはかなり平和路線に傾きつつあり、単なる隠れ里だった村をローザタウンと名付け、大きくしようとしていた。
そしてついに5章中盤に黒幕であるデーモン・プリーストに唆された人間達がローザタウンを襲撃する。
そしてそれを知った魔王は暴走し、事態は急展開を迎える。
「━━━と、まぁこんな感じのお告げを受けてな。」
「・・・やけに具体的過ぎないか?」
すっかり日もくれ、月明かりを頼りにローザタウンを遠目から監視する俺達。
気分はソリッドなスネイクの叔父様だ。
デーモン・プリーストはこの村から北に少し行った神殿を根城にしている。
原作準拠なら、奴は魔王を裏切る気満々なので、ローザの護衛はしておらず、せっせと陰謀を企てているはずだ。
あまり無闇に近づいて敵に見つかっても面白くないので、村から少し外れた祠付近でキャンプをしている。
「・・・まぁ、話の出処は兎も角、確かにこんな所に村があるのは初耳だし、遠目から見ても人間以外が住んでいるように見えるな・・・。」
「目的は全部で3つ。村外れの祠で朽ち果てている像から腕輪を入手。次にこの村で買い物をする。そして、件のデーモン・プリーストを倒す。以上だ。」
「前半2つはなんだ!?後、祠にある腕輪の入手って、祀られている神器を盗むって事か!?なんて罰当たりな!」
「まぁ、そこに転がってるんだけどな。」
「!?」
暗がりで見ると単なる瓦礫の山に見えるが、倒壊した小さな祠がそこにあった。
祠の中には精霊神ルビシアを象った像があり、その足元には小さな紅い宝石を付けた銀色の腕輪が落ちていた。
『 止炎の腕輪』
猛る心を落ち着かせ、装備者に明鏡止水の心を授ける腕輪だ。これだけ聞くとお手軽悟り開眼グッズみたいだ。
効果は状態異常の完全耐性。
心を落ち着かせれば毒や麻痺も防げるのかは甚だ疑問だが、これを付けるとステラの『 血の衝動』スキルの弊害は一切なくなる。
実はデモクエ4には初期版とリメイク版があるのだが、初期版にはこの腕輪にはバグがある。
有益なバグなのだが、これは今は確認しようもないので、後々のお楽しみだ。
「ステラには有効な装備だし、魔王を倒す為となればルビシア様も許してくれるさ。」
デモクエ4にはルビシアは出てこないけど・・・。
「う、うむ。まぁ気乗りはしないが、確かに有益そうな加護だな・・・。」
腕輪の力を伝えたら気になるのか、渋々と言った雰囲気を出しつつも素直に装備をするステラ。
何のかんのと言って気に入った様だ。
「そう言えば、魔王ピエトロ本人やローザと言う娘には何もしなくて良いのか?何か出来る事があったりしないんだろうか?」
まぁ言わんとすることも分かる。
ピエトロ本人を倒さないにしても、ローザの説得の手助けをする事でよりスムーズに話を終わらせる事も出来るだろう。
しかし・・・。
「魔王ピエトロを止めれるのは、ローザの愛だけだ。
他人の俺達に出来る事はないだろうさ。」
「なるほど!!そうだな!ローザの深い愛情が魔王の心を救い、争いが止まるのだな!素晴らしい!」
何だかキラキラした目で愛を叫ぶステラ。
この数日で分かったが、普段はキリッとしたまさに姫騎士と言ったステラだが、時たま耳年増な乙女になる。
そもそも男女の関係に、恋愛経験がろくにない童貞と処女が介入出来るはずがないのだ。