おっさんの独り言
2章開始です。
またお付き合い頂ければと思います。
街道は続く。
地平線のはるか向こう。
鬱蒼とした深い森を抜け、青々とした平原を超え、
次の街まで。
吹き抜ける風は柔らかく、爽やかな朝の光も、昼の突き抜ける様な青空も、夜の帳が降りた満点の星空も、全てが輝いている。
あぁ。世界はこんなにも美しい!!
何の話かって?
決まっている。勿論、キスだ。
チュー。口付け。接吻。口吸い。
口吸いは何だか響きが嫌だな。爽やかさがない。
恥を忍んで言うと、ファーストキスだ。
しかも相手は健気な金髪美少女。
最後の泣きながらも笑顔をつくり、行ってらっしゃいと言ったあの顔は生涯忘れないだろう。
もうね。世界も勇者も魔王も全てどうでも良い。
大事なのは愛だよ。
一緒に旅をする申し出を断られ、この世界に絶望し、
お見送りの際の告白とキスで有頂天に達した。
あの瞬間、沢山の子ども達と歳を重ねたリリーに看取られる瞬間までを妄想し、その結論に達した。
デモクエ1でも魔王を倒した勇者は助けた王女と結婚し、王様になったんだし、俺がリリーとベリーオラトリオで幸せな家庭を築いても許されるはずだ!
はて?そう考えるとやっぱり百合姫=リリーになるのか?
確かデモクエ1の小説では、百合姫は赤ん坊の時に魔物に攫われ、瀕死の乳母が城の外に連れ出し、最終的にとある街の夫婦に拾われたと言うエピソードがある。
じゃあ勇者はどこに行ったんだ?
勇者の行方の疑問も早々に、現在の使命を帯びた歴戦の戦士キャラを保ちつつ、ベリーオラトリオに帰ってリリーと結ばれるにはどうしたらいいか、もう『 法の神殿』は諦めて戻りたい等、しょうもない事を考えながらとりあえず東へ進む。
この時、消えた勇者についてもう少し真剣に考えておけば何か変わっただろうか?
その事実を知るのは『 法の神殿』に辿り着く、もう少し先の話となる。