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おっさんのゲーム世界転移生活日記  作者: 太郎冠者
祝福の聖騎士
10/96

おっさんの実力。


「ぶっ飛べや!!」


柄の悪い冒険者Aが殴りかかってくる。


あれ?遅い?

勿論、本当に遅い訳ではないのだろうが、このパンチが俺に当たる前に、俺はこの冒険者Aを数十回は殴れる気がする。


取り敢えず、当たると痛そうだし、払っておこう。


ハエを追っ払うように冒険者Aのパンチを払う。


パキョッ!


少し間の抜けた効果音と共に、冒険者Aが宙を舞う。


はぁっ!?

あまりの事態に一瞬ポーカーフェイスが崩れ、素の顔を出してしまう。


ガシャン!とテーブルに派手な音を立てて落ちてくる冒険者A。


よく見ると右手の全ての指がバキバキに折れている。

・・・うん。後で薬草を渡そう。いくら何でもあのままじゃ冒険者としては再起不能だ。



「何しやがる!?」

「て、てめー、ぶっ殺されんぞ!?」

「よくもやりやがったな!?」

「や、やっちまぇえ!」


かなりキョドりながらも果敢に殴りかかってくる冒険者B、C、D、E。


さっきはちょっと力を入れ過ぎた様だし、軽くデコピン位がいいかもしれないな。


なるべく力を抜いてそれぞれにデコピンを当てる。


パパパパァン!!


まるで銃声のような音が響き渡る。

吹っ飛んだ4人の額は割れ、血が吹き出す。


や、や、や、殺っちまったぁあああああ!?


あ、いや!生きてる!生きてるぞ!

早く薬草、いや、上級薬草を!


「や、やろう!!」


1人脳内で盛大に焦っていると、奥に座っていたリーダー格風の冒険者Hが腰の剣に手を掛ける。


「辞めておけ。剣を抜いたらこちらも抜くしかないぞ?そうなると手加減は出来ん。」


だから辞めて下さい!

人殺しに何かなりたくないんです!!


「・・・あぁ。そうだな。俺たちの負けだ。すまねぇ。虫のいい話だが、もう勘弁してくれ。」



良かった!

分かり合えるって素晴らしい!


って、やばい。回復させないと!


「これを使え。こんな所で死ぬのは馬鹿らしいだろう。」


上級薬草の束を冒険者Hに投げつける。

人殺しにはなりたくないしな。早く回復するんだ。


「上級薬草じゃねぇか!す、すまねぇ。恩に着る。」


薬草の回復力は素晴らしい。

傷だらけだったリリーもあっという間に全快した。


「火に油を注いだのは俺だしな。この辺で手打ちにしよう。」


だから闇討ちとかホント辞めてね!




吹っ飛んだ5人の回復も終わり、辺りを見渡すと、もう終わったのかと周りの冒険者達は興味をなくし、食事や酒盛りを続けだした。あれだけ騒いだのにスルースキル高過ぎません?


どうもよくある光景らしい。


ちらっとリリーを見る。

こちらは目を見開いて驚いたまま固まっている。


やっぱり女の子に荒っぽい事を見せたのは不味かったか?


「すまんな。少しはしゃぎ過ぎた様だ。」

「い、いえ!私の為に怒ってくれて、あ、ありがとうございます!」



気を取り直して、空いている席に座り食事を頼もうとすると、ニヤニヤしながら禿げたマスターがエールを持って来た。


「ウチのもんがすまんな。コイツは俺からの奢りだ。」

リリーに良くしてくれてる様で嬉しいよ、と一言残して去っていった。


「マスターには色々良くしてもらってるんです。なるべく安全な仕事を割り振って貰ったり。本当は誰かを優遇するのはダメなんですけどね。」


ちょうど娘さんが私くらいの年齢らしくて、とリリーが申し訳なさそうに言う。


なるほど。冒険者なんて余裕のない生活をしてる奴が殆どだろう。少しでも優遇されている奴がいると妬み嫉みの嵐になる。

案外、あの頭はストレスかもしれないな。




基本的にこの世界の食べ物は価格の差が激しい。


それなりに金を出せば美味いものが食べれるし、不味いものはとんでもなく安い金額で売り買いされている。これは衣食住全般に言えることだ。


つまり貧富の差が激しいのだ。


デモクエ7の小説によると、おおよそ6,000ゴルドもあれば庶民なら1年暮らしていけるらしい。


日本円にして約60万円。


生活レベルはお察しだ。

つまり・・・。



「こ、こんな豪華な料理、私見たことありません!」


必然的に俺の感覚に合わせるとこうなってしまう。

現代日本人の感覚で言うと、そんなに豪華でもない。


焼いた肉の塊やらパスタやらサラダやらが並ぶ。

味はそこそこだ。


ルイーゼの酒場の料理は割と幅広く、この料理の様に100ゴルド以上する料理もあれば、数ゴルドで腹いっぱいになる事も可能だ。


「リリーにはこの2日でかなり助けられたからな。これくらいさせてくれ。」


この2日で吹っ飛んだ回数、実に96回。

最後の方なんかはベテランの戦闘機乗りの様な目をしていた。うん。本当に追加のボーナスは弾むべきだ。



他愛のない話をしながら食事は進んで行く。

実は、昨日は機会がなくて聞けなかった事がある。



「なぁ、リリー。変な事を聞くが・・・。

『 栄光の教団』、『ラインバルト王国 』、『 モンスター爺』この辺の単語に聞き覚えはないか?」



ここはデモクエ5に出てくるベリーオラトリオの街。

この世界のデモクエ5要素を確認する必要がある。





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