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整理

ちょっと短いです

 

「宣教師って言うと、俺の生まれた国の人間は愉快な髪形のおじさんを想像するわけだし、海外の文化を持ち込んでくれた人たちってことで、そこまで悪い印象は無いんだが──」


 ジュリちゃんの修行が終わった夜。

 メシの時間に俺はラ゠ギィとゴ゠ゥラという白神教会の宣教師を名乗る二人に会ったことをゼティとマー君に話した。


「歴史的に見ると宣教師ってのは中南米を征服したコンキスタドールの中にもいるわけで、案外と血なまぐさい歴史もあるわけよ。キリスト教徒にあらずんば人にあらずって考えも当時はあったわけだし、宣教師の方々が皆さん、お行儀よくやっていたわけではないのさ。おそらく白神教会の宣教師ってのも同じ感じじゃねぇのかな? 自分らと宗教観──つまりは価値観の違う人間を自分達と同じ価値観に矯正するわけだし、平和的に済ませるってことはしないと俺は思うんで、俺はあの二人の宣教師もヤバい連中だと思うぜ」


 まぁ、中南米に行った宣教師もコンキスタドールの虐殺及び略奪に関して批判してる人たちはいるわけだし、この世界の宣教師も全員が全員ヤバい奴ではないと思うけどね。


「テメェの世界の歴史の蘊蓄うんちくはどうでも良いんだよ。聞いてても面白くも何ともねぇ」


「態度悪いなぁ、マー君。俺がせっかく話してやってんのにさぁ」


 いるよなぁ、文句だけ達者な奴ってさ。

 ぶっ殺してやろうか、マー君?


「どうでも良い話が長いんだよ。さっさと要点を話せ」


「あまり煽るなよ。へそを曲げたら面倒だろ」


 俺がせっかく話してやってんのになんなんだろうね、こいつら。

 要点だけ話せって? へそを曲げたら面倒?


「要点なんかねぇよ。雑談に何を言ってんだ」


 ふーんだ。もう、お前らには俺の有難い話なんかしてやらないもんね。

 俺の素晴らしい話を聞く機会を失うとか、人生の大きな損失だってのに、あー知らねぇっと。


「だったら、勿体ぶって話してんじゃねぇよ」


 喧嘩腰だなぁ、マー君。

 ガキに魔術を教え込んで社会貢献してるつもりかよ。

 それとも教師役をやってる程度で社会の一員になったつもりかい?

 その程度のことで俺より上になったつもりかよ。


「やめておけ、マーク。アッシュがイラつき始めてる」


「別にイラついてませんけどぉ」


 俺は冷静ですよ。ただ、喧嘩しておきゃ良かったなぁって思ってるだけですぅ。

 つーか、何をシレっとした顔で仲裁役をやってんだいゼティ君?

 自分だけ格上みたいな感じを出してないかい? 


「……なぜ、普通に話してるだけなのに煽り合いになるんだ?」


 呆れた様子で頭を抱えるゼティ。

 俺は悪くないぜって言いたいところだが、断言できないので全員が悪いってことにしておこう。


「まぁいいよ、もう。とにかく、そこのクソ邪神の考えとしてはクソの可能性が高いにしても宣教師二人に関しては特に何もしないってことで良いのか?」


「ま、その方向性で頼むよ。現状、何か仕掛けられたってわけでもないしな。ただ、俺は機会があったら喧嘩を売るつもりだけどね。なんだか強そうだったしさ」


「あまり揉めるなよ?」


 そいつは難しいね。

 俺は常にトラブルとか厄介事に囲まれてねぇと生きていけない男なもんでね。

 本能的に体が問題を起こしてしまうのさ。


「そこのクソに何を言っても無駄だゼティ。脳味噌の代わりにクソが詰まってんだからマトモな思考は期待できない」


 偉そうなことを言ってるが味噌の代わりにクソが入った脳クソ野郎に仕えてるテメェらは何になるんだろうね。そんなことを思ったけども、言わないでおいてあげよう。


「とにかく整理するべきだろう。俺達は何と戦わないといけないのかをな」


 ゼティが無理にまとめようとする。

 やめておいた方が良いのにな。言っちゃ悪いと思ってるから俺もマー君も言わないけど、この面子だとゼティが一番知能指数が下なんで、まとめようとしても上手くいかないと思う。


「最重要のターゲットは青神。戦わずに済むならそれで良いが、アッシュの事だから間違いなく戦闘になるだろう。そうなった場合、青神に仕える連中とも戦闘になる。それと、この街には正体不明の使徒が一人いる。こいつが誰かにもよるが、俺とマークが話せばよっぽどの奴でなければ説得は出来るだろう」


「それも、そこの邪神アッシュが黙ってる場合に限るけどな。他に二人の宣教師も敵か味方かは分からないが、クソ邪神が遭遇したら戦闘になる可能性が高い」


「あとは、システラだな。俺らが戦うわけじゃないが、アイツを自由フリーにさせておくと俺らの生活に不利益が生じるんで、ジュリちゃんにボコしてもらって魔導院にいられないようにしてやろうぜ」


 俺の発言にゼティとマー君はそこまでする必要はないだろうって感じでドン引きした表情を俺に向けてくる。どうも仲間内で意識の共有がなされていないようだ。こんなんじゃ駄目だと思いませんかね。


「……ジュリアンという学生の見通しはどうなんだ?」


「始まったばかりなんで、なんとも言えないが、二週間もあればルール有りの試合ならシステラに勝てるようにはなる。ただし、システラが魔導院の学生として戦った場合に限るがな」


 俺の手下としての能力もありで戦ったら、どんなに鍛えてもジュリちゃんでは厳しいだろうってことだ。

 まぁ、そうなったらそうなったで、逆にいちゃもんをつけやすくなるから、別の方向から攻められるんで、俺としては何の問題も無い。

 とりあえずマー君に指導を任せておけば、大丈夫なのは確かだろう。


「ま、システラをどうにかするってのも大事だが、青神の方もなんとかしないとな。ちょうどよく、俺の謹慎期間ももう少しで終わる。そうなったら学院の方を探ってみるのもいいだろう」


 やることの整理はついてる。

 現状じゃ分からないことあるが、少しずつハッキリとさせていこうじゃないか。




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