名探偵たかあき-4-
私は一先ず事務所に帰った。
ここで、考えを整理させることが目的だ。
私はプレジデントチェアに腰かけると一回転した。
するとオフィスデスクの角に足の小指を思い切りぶつけて、私は痛みに体を縮める他なかった。
ペケはそんな私を呆れたように見つめていた。
「そんな顔で私を見るでない。少し上機嫌が過ぎたようだ」
私はコホンコホンと咳払いで調子を整えた。
そして引き出しからA4用紙を一枚取り出すと、愛用の万年筆で今日の要点をまとめ始めた
・スキンヘッドの依頼人
・白のポルシェ
・三週間前に失踪した組長の愛人
・死体になった捜査対象
・300万円の高額な依頼金
・薄い茶色のセカンドバッグ
・猫好きな依頼人の一面
ここまで書き出すと私は腕を組み、頭の中で情報と情報の結びつきについて考え始める。
まずスキンヘッドの依頼人と白のポルシェについて考える。
スキンヘッドの依頼人は、ヤクザ者であることはまず間違いなかった。
それは、彼が”暴力団で働いている”と自ら語ったことから疑いようがないだろう。
そうであるならば、白のポルシェは少し似合わないように思う。
ヤクザ者がどんな車に乗ろうと自由なのだが、凄く古い型のポルシェだったことを記憶している。
新しいものを好みそうなヤクザ者が、車に拘らないということに少し引っかかる。
依頼人の服装や履いていた靴、身に着けているアクセサリは全て高級品で、比較的新しいものが多かった。
ヤクザ者とは、見栄を張る生き物だ。
その依頼人が、人目に付く車はオンボロであるというのはどうだろうか?
そして、色が白であることがヤクザ者にはそぐわない様に感じた。
ヤクザ者であれば、普通は黒や灰色といった暗い色を選ぶのではないかと、私は思うのだ。
ここから、導き出される推論は”あのポルシェは男のものではないのではないか”ということだ。
では、誰のものなのか……それは今の時点では知る由がなかった。
名探偵たかあき-4- 終