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[1-1]理想は掌から離たれていく

 師匠は人語を話す人っぽい何かであった。

 唐突に人には理解できないことを言い、一人で納得する頭のおかしい者だった。

 魔法の実力は凄まじかった。今でも私は師匠の実力のつま先にも届いていないだろう。

 そんな師匠と出会うまでの話しは、この世界ではよくある話しだ。




 とある日、私の村は賊に襲われた。

 村に戦える者はいない。男はクワやカマを持ち、女は包丁を持ち、子供は石を持って戦った。

 村には庇護される者などいない。全員が戦って村を守る。それが私の村だった。

 最大戦力は私の水魔法だった。

 しかし、この頃の私の魔法はせいぜい農作物に水を上げる程度のものだった。村で生活するにはそれで十分であった。

 村人に頼られても困る。

 魔物一匹程度なら追い返すのもたやすいが、賊が何十人も来るのは別ものだ。

 賊も村人全員に抵抗されるとは思わなかったようで、お互いに二人程度犠牲を出したところで硬直が始まった。

 私が執拗に賊の足元を水魔法でぬかるみに変えて足を取っていくことで、有利を取っていく。このように戦える事を知っているので、村人は好戦的に防衛しているのだ。

 問題は賊のリーダーが実力者だったことだ。

 私の存在が村の防衛のキーポイントであるのは水を見るより明らかであるが、弓矢や投げナイフ投げ斧程度なら私の水魔法で防ぐ事ができる。

 賊のリーダーは仲間を押し倒し前に出て、ぬかるみを気にせず私に向かって一直線に走り出した。賊のリーダーは黄の魔力をまとっていた。




 私には生まれながら不思議な力がある。人の周りに色の付いたモヤが見えるのだ。それを人に言っても私はただの不思議ちゃん扱いだった。

 私自身はうっすらと青いモヤが纏っていた。

 それが魔力だと気づいたのは言葉を覚え始めた頃、庭木に私が手から水を出して上げていたときだ。

 水を出す時に手のひらにモヤが集まっているのを見て、これが水になっているんだと私は気づいた。

 両親に言ったらまず私が水を出せることに驚いていた。


 それから私は村の中でもものすごく大切に扱われた。

 他の子と遊べなくなったのは寂しかった。

 私は美味しいものを与えられ、両親と共に村の畑を見てまわるのが仕事となった。

 日照りが続けば水を撒き、大雨が続けば雨除けをする。

 村の上の雨雲を払ったことがあるがその時は三日間意識を失い、その魔法は言われた時以外は使ってはいけないと言われた。

 村は私の魔法で自然に対抗できるようになり、周囲の村より明らかに豊かになった。

 いつしか私は水姫様と呼ばれるようになった。


 魔力の色について話を戻そう。私は力持ちと言われる村人は黄のモヤを纏っている事に気づいた。

 そして何かを持ったり運んだりする時はそれが光輝くのだ。

 中でも村一番の力持ちは綺麗な金色をしていて、私は金色おじさんと呼んでいた。いつしかそのおじさんは村人にも金色と呼ばれるようになり、おじさんは名が金色となった。


 他にも豊かな畑を持つ人は緑のモヤを纏っていた。

 農家のおじさんが土を耕す時、種を撒く時、水を撒く時、農作物の様子を見て話しかける時、緑色の魔力が輝いていた。

 村の鍛冶を担う者は赤のモヤを纏っていた。

 腕が上達しないと言われている弟子は青のモヤを纏っていた。

 私はその弟子は色が違うと伝えた。

 その頃の私はすでに村の中の不思議ちゃんではなく、私の一言で村の情勢が変わるほどの権力を持っていた。

 弟子はその日に鍛冶場を首となり、彼には漁の仕事をさせた。代わりに赤のモヤを持つ狩人を鍛冶屋の弟子とした。


 私の人事異動はさすがに多くの苦情がきた。

 しかしそれもすぐに落ち着いた。彼らは私が命じた仕事を天職と感じたようだった。

 私は似た色の人を集めた方がいいと漠然に思っていただけだった。しかしそれでは少しずつ問題が出てくることも知った。

 例えば鍛冶では熱くなった鉄を水に入れる焼き戻しが以前より悪くなったと言う。

 鍛冶屋の妻は青色をしていたので炊事の仕事を命じていたが、私はそれを戻し、以前のように彼のサポートをするように命じた。


 要するに得意な色があるとしてもそれだけではダメなのだ。

 農作業には緑が最適だが、畑を焼くには火を使うし、農作物を育てるには水を使うし、収穫を運ぶには力がいるのだ。

 私はそれを補助色と呼んだ。大きな強い色を持つ者の補助に、別の色の者を置くのだ。

 村は無秩序な色から、単色で固められた色となり、そして秩序ある色の配置となった。そして村はさらに豊かになった。


 自画自賛だが、村の中では私の色が一番濃く、一番輝いていたと思う。

 二番目は金色おじさんだ。力持ちの人は魔法が使えないと言われていたが、そうではなく力持ちなことこそ魔法なのではと私は思い始めた。

 村の中で魔法らしい魔法を使う者は私だけであったが、鍛冶のおじさんの火の扱いや、緑のおじさんの農作物の輝きは、目に見えてわからない程度の魔法なのだろう。


 しかしそれは生活を送る範囲での魔法である。賊と戦闘しうる魔法ではない。




 黄の魔力を持つ者は私と相性が悪かった。

 私の水魔法はしょせん水を出すだけである。それを純粋な力で来られたらどうしようもない。

 火の魔法なら焼き尽くせばいいし、土の魔法なら落とし穴にでも落とせばいい。

 私は渾身の水魔法で押し戻そうとしたが、ただのジャンプで回避された。それによりさらに距離を詰められる。

 賊のリーダーの前に金色おじさんが立ちはだかった。黄の魔法対決である。

 そして殴り合いが始まった。

 明らかに金色おじさんの劣勢だが、私は賊達への足も止めなければいけない。でなければ村人は次々と殺されていく。すまない金色おじさん。


 賊のリーダーの特攻により、村は再び劣勢に陥った。

 金色おじさんが地面に倒れた時、私は負けを悟った。

 あとの敗戦処理は自爆覚悟の魔法で残りの無事な村人を逃がすしかない。

 私は覚悟の目で一歩足を踏み出したが、村長に杖で遮られた。


「あんたは生きなさい。それが村の総意だ。村の意志に逆らってはならぬ」


 村人が全員で戦っているのは村を救うためではなく、私一人を生き延びさせるためであった。

 私は足が止まった。頭が白くなり、思考が定まらない。私は村人を助けたいのに、それは村の裏切りと村長は言う。

 村人は男は殺され、女は犯され、子供は売られるだろう。その上で私は生きなければならないと言うのだ。

 私一人の命でみんなを助けられるかもしれないのに、それはしてはいけないというのだ。

 私はその時初めて泣いた。

 水の扱いは私の十八番だ。涙なんてコントロールは容易だったはずだ。


「いきなさい」


 私は涙を魔法で弾き、走り出した。

 残る力で村全体を水魔法で沼にしてから私は走った。

 願わくは、賊がみんな死に、村人が生き残るように。

 みんなが私が生きることを望むならばそれに従おう。どこまでも生きて、私は奴らを殺す。





 一ヶ月後、街の外れで一人暮らしていた私は不思議な者と会う。それが私の師匠となった。

 私の話しを聞いた師匠は一言だけ言った。


「復讐は糧か贄か」


 師匠の言うことは私には理解できなかった。

 師匠が師匠となったのは、私はそれを森の中で見て、私が力を求めたからだ。私には師匠がそれがなんだかわからなかった。

 おそらく人なのだろう。あるいは亜人かもしれない。魔族の可能性もある。

 二本足で歩き、人語のようなものを話す者ということだけはわかった。

 師匠は黒く塊としてそこに存在していた。

 何も知らない人が私と同じ光景を見たら悪魔という姿が一番適切かもしれない。黒くなめなめしく光る、巨大なウーズのようなものだ。


「なんですか……あなたは……」


 私はそれを見て恐る恐る話しかけた。人語を解するならば悪魔のそれから生き残る可能性がわずかながらあるかもしれない。


「我の存在か。我の存在理由は今ここに在ることですでにあるのだろう」


 喋っている意味はわからないが、人語は理解できるようだ。


「私を殺さないでくれませんか」


 私は命乞いをする。私は生きなくてはいけない。


「なぜ我がそなたを殺す。いや、生物は自身を殺し続けて生きているか」


 ざわりと黒い塊が動く。それを見てすでに腰を抜かしている私は、ケツを地面に落としたまま一歩後ずさる。


「あなたは生物なのですか……?」


「生物かどうか。死者は泥しか食わないだろう。ならば生物は生きている」


 どうやらこの黒い塊は生物らしい。そしてどうやら害意はないようだ。


「あなたはここで暮らしているのですか? もしやそこの家はあなたの物でしたか? ならば勝手に入ったことは謝ります。私はそこを間借りしていただけで何も壊したりはしていません。私はいますぐに出ていきます」


 私は足に力を入れてなんとか立ち上がる。


「なぜ出るか。いやあるいは目的か」


「そうです。私は目的があって生きていかなければいけないのです」


 つまり今、黒い塊に殺されるわけにはいかない。


「話せ」


「えっ?」


「来い」


 黒い塊はずずっずずっと家に向かって動いた。

 残った足跡が人のようであるから、どうやら人間種ではあるようだ。

 そして思考を持ち端的に話すならコミュニケーションはできるようだ。話しを聞くから着いてこいとのことだ。


「わかりました」


 私は重い足取りで黒い塊に着いていった。





 黒い塊は家に入り、様子をじっと見た。

 勝手に借りていたが家の中のものを大事に使っていたのは本当だ。その事について激怒されたならば首が飛んでも仕方はない。


 私が死ぬ様子はなく、黒い塊は奥に入り、暖炉の前の椅子に座った。

 森の中の家は簡素で小さく、一部屋に暖炉があり、椅子が一つ、寝床が一つ、それに薪や壺や細々とした道具が並べてあるだけだ。

 私は向かいの地べたに座った。村では森で一番の木を使った椅子に座っていたので、家の中で地べたに座るのは久しぶりだ。

 私は黒い塊に向かって、私の事について話し始めた。口にすると止めどなく出てくる。きっと私は誰かに聞いて欲しかったのだろう。黒い塊は静かにじっと私の話しを聞いていた。


「復讐は糧か贄か」


 私は賊に復讐をしたい。しかし復讐のために生きているのではない。生きることを命じられたから生きているのだ。


「いいえ、復讐は理由だと思います。私が生きるための。そのために私は力が必要です」


「強ければ恐れるものは無くなる。次に恐れることは、何にも恐れなくなることだ」


 黒い塊がずずっと動く。それは私に向かってではなく、自身に言っているのだろうと私はなんとなく感じた。

 私は黒い塊の姿のこれを言うべきか少し悩みながら口にした。


「先程私は魔力が色として見えると言いました」


 黒い塊はじっとしている。私は話しを続けず、それが口を開くのを私もじっと待つ。


「娘よ。我はどのように見える」


「黒い塊です」


 そう端的に言うと、黒い塊ははっはっはと笑った。

 このように感情を表に出すとは思わなかったので私は驚いた。もし椅子に座っていたならば後ろに倒れていただろう。

 面白かったようなので、さらに評してみる。


「黒い巨大なウーズ、または悪魔、そのようなものが蠢き脈を打っています」


「そうか面白い。それは面白い。ならば我は混沌か。正しい。そうか我は混沌であったか」


 黒い塊がずずっずずっと動く。

 どうやらこれは感情に寄って動くようだ。顔が見えないからそれで判断することにしよう。


「混沌、あなたは混沌なのですか?」


「そうだ。我は今知った。我の存在とそれを。然らば混沌か。混ざることなど叶わぬな」


「というより、何か色々混ざりすぎてそのような形になったように私には見えますが」


「我はすでに飽和よ。これ以上は混ざらぬ」


 よくわからないが、そうらしい。

 私は黒い塊を推測した。


 私は魔力の性質を色として見ることができる。それは虹の色であって、大まかに、紫、青、緑、黄、赤のように見える。その中間の色にも見えるが大まかにはそんな感じだ。つまり私が見ることのできる色で黒は存在しなかった。

 そしてそれが言うには黒になった理由は混ざりすぎたせいだという。

 しかしそれは変に感じた。魔力が強いならば輝くはずなのだ。

 ならばもし魔力の性質が混ざったならば太陽のように白く輝くことだろう。黒い塊はむしろ全てを失ったように見える。混ざりすぎて飽和したというのがヒントなのかもしれない。


 さらに黒い塊は自身の存在を疑っていたように思えた。

 確かに死霊や何かと思った方が納得がいく。

 今でも一番近い私の印象は悪魔だ。もしかしたら本当に存在していないのかもしれない、と私は思った。

 この黒い塊は私の妄想の産物なのかもしれない。それが一番正解に近い気がした。

 ではそれを確かめる方法はあるだろうか。おそらくない。

 触って確認したとしても私は黒い塊の存在を認識してしまっている。存在していないとしても触ったように思えるだろう。


「私は魔法が強くなりたい。その方法をあなたは知っていますか」


「魔法とはなんだ」


「魔法とは魔力を使った力です」


「では魔力とはなんだ」


「私にとって魔力とは色です。そして強さは輝きです」


「魔法は理想を実現する力だ」


 黒い塊はそう言って話しを終わらせた。それにとってそれは全てを話したことになっているのだろう。

 しばし沈黙が流れる。


「私の理想は、水魔法で人を殺すだけの力を得ることです」


「そんなものが理想か?」


 私の言葉を真っ向から否定される。


「人を殺すだけなら魔法はいらぬ。剣が一本あればよい」


「ならばどうしたら強くなるのでしょう」


「娘よ。もう強くはなれぬ」


 私はガンと脳内にショックを受けた。私の魔法は限界ということだ。


「理想はなんだ」


「強くなることです」


「違う」


「ならば……!」


 私はイライラして語気が強くなり立ち上がる。しかしそれ以上何もできない。


「娘よ。すでに知っているはずだ」


 何が。


「人を殺すのに魔法はいらぬ。剣を扱うのに力はいらぬ」


 何を言っている。


「娘は魔法を知っている」


 何かが間違っている?

 答えを言って欲しいのに、沈黙が続く。自分で答えを出すしかないようだ。

 黒い塊が言うには魔力は強くなるものではないらしい。ならば魔法が使える者と使えない者の差は何だったであろうか。

 私は個人差があるが、人は誰もが魔法を使えるものだと思っている。

 それは見えなくては気づかないほんの些細なことであり、私には見えたからそれを知り得た。目に見えてわかるものが魔法と言われているのだ。


 ならば魔法を使える者と使えない者の差異は何か。私はそれを知らないはずだ。

 しかし黒い塊は私は魔法を知っていると言っていた。ならば話した内容で答えがあるということだ。

 私には魔力の性質は色で、魔力の強さは輝きで見える。

 輝きを増すとはどういうことか。黒い塊は強さを増すことはできないと言っていた。

 それは本当だろう。色や輝きの強さが変わったのを見たことはない。

 生まれながらにして決められているということだ。


「魔力の性質と強さは変わらない……?」


 しかし本当にそうだろうか。

 黒い塊は何かと混ざって性質が変化したように言っていた。輝きも常時同じ強さではなく、使う時によって変わっていたはずだ。


「つまり魔法の使い方を工夫しろということですか」


 技術を磨くということだ。


「違う」


 しかしそれも違ったようだ。 


「娘の言っている事は手段でしかない。理想はそうであると願う事。願いは心の奥底にある」


「私の願いは賊を殺す事」


「そうだ」


「しかしそれは願いであって理想ではないです。本当の理想は……」


 そこまで言って私は気づいた。私は村人に生きて欲しかったのだ。


「でもそれはもう叶わないことです」


「違う」


「みんな殺された……! みんなもうすでに……!」


「そうか……私はそれを伝えにここに存在したか」


 黒い塊の存在などどうでもいい。


「魔法は理想を実現する力だ。娘は何を願って魔法を使った」


「それは村人がみんな生きて……え?」


 黒い塊はずずっと動いた。


「生きて……いる?」


「そうだ娘よ。沼で賊をみんな沈めたのは娘自身だろう」


 村人が全て殺された事がそもそもが勘違いだったのだ。

 私の最後の魔法は発現し、賊だけを沼に沈めたという。


「土と水の魔法だ。碧眼の娘よ。娘の色はその目に近しいのではないか」


 自分の手を見てみる。

 言われてみれば自分の魔力のモヤは青というより青緑に若干近い。ぱきっとした夏の晴天の青とは違う色だ。

 黒塊はぞぞっぞぞっと動いた。


「今日はもう遅い。明日立つとよい」


 私は寝床で、黒い塊は椅子で寝た。





 5日後、村に戻るとみんな本当に生きていた。

 沼の魔法で畑はダメになっているが、みんなで復興を始めていた。村人は半分近くしかいなかったが、残りは私の捜索を続けているらしい。


「迷惑もかけました。申し訳ありません……」


 全て勘違いで行動していた私は恥ずかしくなって村長に謝った。


「そんなことはない。あなたのおかげで多くの人が生き残った。あなたも無事でよかった」


 村長は私をぎゅっと抱きしめた。そして両親も生きていた。

 一ヶ月ほどで村は元通りに戻った。


「本当に行くのかい水姫様」


「はい。師匠に礼を言わなくてはいけません」


 私はいつしか黒い塊を心の中で師匠と呼んでいた。村の中では誰にも理解されなかった魔法を私に教えてくれた。


「みんなお元気で」


 送迎会は壮大な催しで行われた。





 あの森の家に戻ると、黒い塊は変わらずそこにいた。


「また来たか」


「また来ました」


 酷い言い方だが、それに悪意はないことはすでにわかっている。

 もしかすると私を一ヶ月ほども待っていたのかもしれない。


「師匠。これからは師匠と呼んでいいですか」


 黒い塊はずずっと動いた。肯定のようだ。


「師匠はあの村へ行ったのですか?」


「行ってはいない。巨大な魔法の痕跡があったから外から消しただけだ」


 どういうことかはわからないが、沼を消したのは師匠のようだ。復興が早かったのも師匠のおかげのようだ。


「ありがとうございました」


 黒い塊がずずっと動く。


「師匠。私は外の世界を知るために冒険者になろうと思います」


「そうか」


 黒い塊は動かなかった。


「また何か会ったら来ていいですか?」


「いつでも来い」


 やはり黒い塊は動かなかった。




 去り際に気になっていた事を聞いてみる。


「ところでなんで師匠はそんな変な話し方なんですか?」


「話すのは苦手だ。100年ぶりかあるいはそれに近い」


 やはり黒い塊は化物であることは違いなかったようだ。

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