「僕、前世の記憶があるんです…」
なぜ前髪をきらないのか?
なぜそんなに本を持ってきたのか?
「…えーっと、ツッコミどころ多すぎるけどとりあえずあんた誰?」
「あ、申し遅れました僕経済学科二年の中山あづきと申します…」
例のごとく声が小さすぎるがなんとか聞き取れた。
とりあえずその声のボリュームなんとかしてくれ。
「中山あづきさん…ですか」
男なのにあづき。
そしてうちの学校の経済学科といえばチャラ男とチャラ子のパーティピーポーの集まりで有名なところじゃないか?
こんなひともいるんだ。
そんな私の心の声を代弁するかのように、隣にいた
大毅が全てをぶちまけた。
「えーー!!めずらしーね!!!!男なのにあづき!!!!んでこんな根暗で経済学科なの!!!!」
これで悪気が一切ないのがこいつの欠点である。
キラキラした目でそんなこというんじゃねえ。
「あ、はぁ…で、ここ歴史研究会であってますか…?」
質問に答える前に大輝の頭に拳骨を落とす。
「合ってますよ。ちゃんと。何の用ですか?」
「え、えと…入部希望…なんですけど、人数は二人…だけ…ですか」
「そうです研究会なんで。私が会長の葉山紅音、史学科二年です。でさっき失礼なこと言ったのが同じ学科の相原大毅。この二人だけです。」
「あ、はぁそうなんですか…」
なんだそのふーん、しょぼ…みたいな態度は。
だがそんなことより、聞きたいことがある。
「中山さんさっき経済学科って言いましたよね。経済学科なのになんでここは入りたいって思ったんですか?」
一応名目上は「誰でも歴史に興味あればOK!」なんて掲げているが実質歴史に興味あるのは史学科ぐらいなものだ。あっても国文学科。
まず歴史に興味あったら経済学科なんていかないだろう。
就活で使えるからとかそんなもんか、とか考えてたらとんでもない答えが返ってきた。
「僕、前世の記憶があるんです…」