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段子坂政商学園 『うらばん組』編

 今回からは「経済研究会」から「うらばん組」へ物語が移行します。また、必要に応じて!とか、勢いで!とか、気分次第で!で経済研究会のエピソードも入るかと思いますので混乱しないよう注意していきたいです。

 

 街の名物坂、緩やかな勾配の段子坂は街の憩いの場にもなっており、その坂のうえには、街の歴史とともに街を支えてきた若者を輩出する学園がある。


 段子坂政商学園。

 そこそこ歴史のある私立の学校法人。


 元々は、戦後、街の経済を立て直すべく、街の有力者たちが出資し合い、私塾からはじまったと言われている。

 自由かつ、多少の勝手が許される校風により才能と行動力あふれる若者が輩出され、街の発展に貢献していくのである。


 自由と勝手が認められている校風だと学園内が荒れそうな気がするが、生徒内に自浄作用をもたらすいくつかの組織、団体が先輩諸氏から引き継がれていた。


 まずは生徒会。

 学園の教職員、生徒公認の権力集団である。

 どの学校でもある生徒会と同様、選挙で会長を決め、会長自ら執行部員を任命している。

 生徒会は学園全体の生活一般、イベント等行事を統括運営する。

 また、下部組織である風紀委員会の委員長を任命し、都合よく目を光らせ一定以上風紀を乱すものには指導する。


 次に、経済研究会。

 女子生徒のみでメンバーを構成し、合法、非合法で経済おかねに関する研究という名目で資産運営かねもうけしている。

 いわゆる部活、同好会の形をとっているが、学園が法人化する前の私塾時代からつづく歴史がある。

 ぶっちゃけ、資産運用という名のもとにお金を投資したり、お金を貸付けたりしている。

 実行力とお金の魔力ちからにより、生徒会をも凌駕する力を秘めているが、あまり学園の運営や規律などには口を出さない。

 生徒なのにもかかわらず、研究会の資金は潤沢で、要請と信用があれば秘密裏にでもすぐに用意し、低金利で貸してくれる。とくに緊急で予算超過した部活などから重宝がられてた。

 代々、硬派で実力を持ったOGを排出し、国会議員、裁判官、検察官、弁護士、税理士、税務署職員、銀行の頭取、会社経営などしている者、また、有力者の配偶者になり奥様として実権を握っている者、変わったところでは段子坂政商学園の理事や、地方任侠道の姐になったものもいる。

 OGは研究会の金主であることも資金が潤沢な理由である。

 OG達の言うことは絶対であり、現役女子生徒の研究会メンバーは、NOとは言えない。


 そして、うらばん組。

 完全非公認組織。

 学園内の有志だけで結成され、学園の生徒がメンバーであることが推測されているが、その素性、実態は謎に包まれている。

 彼らの活動パターンは、突然現れては、強引な取材や生中継して、終わり次第撤収し姿を消す。

 学園内の放送網にジャックしてひと通り放映する。

 他には、ネットでストリーム放送が見れる。


 意図的に彼ら『うらばん組』に接触することは難しくない。

 ネット上に彼らの『うらばん組』の独自のサイトがある。

 常時サイトでは、タレコミ、特ダネ、ご意見感想、スポンサーなどを募集している。

 そこにメッセージを書き込む事により、何らかの接触する可能性があるのだ。


 今回は謎のグループ『うらばん組』の様子を見てみよう。


 ◆


 昼休憩を告げるチャイムが鳴りおわると各教室が騒がしくなる。

 お腹をすかせた学園の生徒達は空腹をみたすために各々が弁当を広げたり、学食や購買におしかけたるする。

 そしてその時間には、正規の放送部が生徒たちのある程度のリクエストに応じて各教室に音楽や映像を放送する。一応、比較的穏やかな音楽や、名作的なドラマや映画に限るが。


 そんな昼のひとときに、時折、昼の喧騒を更にヒートアップさせる連中が現れる。



 ヤツらの現れる前兆まえぶれの一つ。

 スピーカーから流れていた穏やかなクラシック音楽がいきなり止まる。

 そして賑やかで過激なアニソンやロックなんかに切り替わる。

 そして、学園内の全モニターにスイッチが入り、黒いバンダナでマスクのように口元を隠した女生徒が映しだされ、自由奔放カオスな放送を始まるのだった。



 そして、今日は。

 BGMが昔のかなりカオスで暴力的なアニメの曲に切り替わる。

「ただ今、放送室占拠中、放送室占拠中。あたたたたた、あたーっ。みなさんこんにちわー。毎度おなじみの『うらばん組』のキャプテン・ブラックです。BGMは、リスナーの『ハートさま』さんのリクエストで名作アニメ北斗の拳の『愛○とりもどせ!!』でーす」


「おまえたちか、おい、また現れたよ。あーあ」

 男子生徒の声がスピーカーから漏れる。


「こほん、ブルー、ブラウン、そこの放送部員もつまみ出して」

「「あいあいさー」」

「本当に襟首つまむなよ、自分で出て行くよ……」


「さあーて、邪魔するやつをボンッ! したところで、リスナーの『ガンビーノ』さんのメッセージを紹介するね-」


 教室のモニター画面に映しだされる黒いバンダナマスクし、黒ネコミミを取り付けたデザインのインカムを装着している女生徒が、大げさな身振り手振りで話しかけている。ネコミミがハンドメイドで取り付けたものらしく、少々チープで出来悪いのが痛々しい。

 キャプテン・ブラックは、持ち込んだタブレットPCを確認しながら、進行していく。


「んじゃ、読んでいくねー」

 こほん。

「『うらばん組』のキャプテンさん、クルーの皆さんこんにちわ。こんにちわー。私はいつも『うらばん組』の放送を楽しみにしています。2学期に入ってもうすぐ、生徒会長の選挙が始まりますよね。『うらばん組』で選挙戦の模様と投票速報を盛り上げてほしいのです、お願いします」


 キャプテン・ブラックはカメラ目線に戻す。


「と、ご意見? んー要望が来ました。『ガンビーノ』さんメッセージホントにありがとー。当然『うらばん組』は生徒会長選挙を熱烈爆裂大注目しています。目下、現生徒会の推薦予定の現生徒会副会長、有鳩アナスタシアさんが有力候補と思われますが、頑張って立候補する方を『うらばん組』では大々アピールしまーす。立候補を考えているあなた、おなじみ『うらばん組』サイトまでメッセージくださいねー。PVばりのカコイイ選挙演説ビデオ作っちゃうよー。なお、我々『うらばん組』は、ケチで間抜けな現生徒会を1ミリたりとも支持していませーん」


 学園中、爆笑と苦笑いが入り乱れる。


「さて、本日の企画番組は『爆ぜろ! リア充さん』です。先ほどリア充さんが現れたとの連絡が入りましたので、みなさん、ちゅーもーく!」


 学園中の生徒が注目し、大きな声で湧き上がった。他人の色恋ごとにものすごく気になる世代である。


「こちらブラック、レッドへ。バズーカーの準備OK?」

「あいあいさー」


 バズーカーとは『うらばん組』が所持している超望遠カメラのことである。


「準備いいみたいなんでいくよー、画面切り替え、ドン!」


 すかっ。

 キャプテン・ブラックはドヤ顔しながら指を鳴らすフリをする。実は鳴らすことが出来なくてカッコだけである。口元を隠していても美人なのがわかる分、残念で痛々しい。

 学園中のモニターは、キャプテン・ブラックの姿が消え学園を見わたす景色に変わる。


「ブラックからレッドへ。ターゲット確認せよ」

「あいあいさー」


「レッドからブラックへ。ターゲット確認、ロックオンしました」

「ブラックからレッドへ。発射ズームイン!」

「あいあいさー」


 画面の景色が拡大されていく。学園校舎の一角がどんどんアップする。どうやら、1階の保健室のようだ。

 そのうち、白衣を着た保健の先生とジャージ姿の男性教師がひしっと抱き合って見つめ合っていた。それぞれの手が相手の背中をまさぐるように撫で回しているのがリアルでエロい。


 おおおおおお。生徒たちの驚きとざわめきがひときわ大きくなる。


「現在、学園保健室を絶賛LIVE中継でお送りしています」


 ブラックは実況をする。


「えー、こほん。今日のリア充さんは、保険の渡部先生と体育の石田先生です。保険と体育の先生だけに、ただいまオトナの保健体育の実習中でしょうか。おふたりとも大変真面目で熱心なだけに、かなり真剣に取り組んでいる模様。ああ、お二人の顔がどんどん近づいていって、あ、まずいっ、だめっ! 緊急事態っ、スパンっ」


 モニター画面にきれいな山間の風景と谷間に流れる広い河にボートが滑走する場面に切り替わった。


 ぶー!

 多くの生徒が通称『ナイスボート』の映像に向ってブーイングを飛ばす。


「た、大変失礼をしました。状況説明しますと現在、実習中だった二人がべろちゅーを始めてしまい、危険過ぎてコレ以上はお見せできません、うわー、なんだかエロいー、あはっ、すげっ。あっ、突然、二人があわてて離れて……」

「現在、保健室にケダモノ教師の鈴木先生を先頭に複数の教師たちが乱入、保健室は非常にカオスな状態になりました。面白そうなので少しの間、保健室をドン!」


 保険室内を拡大望遠カメラでの中継画面に戻る。

 ケダモノの鈴木先生《主任体育教師/43歳独身》が石田先生《体育教師/26歳独身》に詰め寄っている。保険の渡部先生《29歳独身》は石田先生をかばうように彼の腕を掴んでいる。


「……終わっちゃいましたね。さて、撤収の時間がやって来ました。エンディングテーマは、ベルサイユのばらの『薔薇○美しく散る』、オスカルよりもアンドレ推しのキャプテン・ブラックが選曲しました。じゃあね、ばいばいっ!」


 古過ぎるアニソンが流れたまま、モニターの映像が消える。しかし、教室のスピーカーはそのまま放送室の音声を拾って様子がそのまま聞こえる。


「さあ、撤収、クルーのみんなお疲れ」

 がんがんがん。

「そろそろ僕らも入れてよ」

「だめよ、あなた達は公認放送部員だから『うらばん組』には入れないわよ」

「じゃなくて、放送室に入れろって」

「あ、ごめん、ブラウン、開けてあげて」

「あいあいさー」

「なんだよ、いつもいつもよぉ」

「ごめんごめん、これで撤収するから後よろしくー、じゃあねっ、ばいばい」

「ちっ、また、マイクのスイッチそのまんまで……」


 ブツッ。



  ◆



 段子坂政少学園旧別館。

 この古い平屋の木造の建物は現在の高等部の建物の裏手に建っている。

 もとは、まだ、学校法人になる前の段子坂塾のなごりで、倉庫代わりとして現在はあまり出し入れのない物とか使われなくなった古い教材などを雑多に保管に使われている。

 そういうこともあって、めったに人は来ない建物であるが。


 その奥の一室に学園の生徒が出入りしている。

 奥の一室。昔の塾長室だった部屋で、窓には遮光カーテン、廊下からは扉があり、開けない限り中の様子がわかりにくい部屋になっている。


 なにせ、古くて建物の奥手、幽霊の噂、学園としては職員以外は立入禁止にしていることもあり、ここを出入りしている僅か一握りの生徒でない限り、この部屋まで行かないし、知り得ない空間でもあった。


 で、その塾長室の現在。


 7人の生徒が集まっている。

「よーし、みんな集まったね。『うらばん組』恒例の『企画会議』するよ。今日の進行はわたし、キャプテン・ブラックの番なんでよろしく」

 元気のいい取リまとめ役は、黒くて太めのアンダーフレームのメガネをしていた。素顔は美人系だがもう少し、なんかこう、センスを感じない。だが、小気味よく躍動感のあるしゃべりには好感度を覚える。


 『うらばん組』。

 学園の堕天使の一人、キャプテン・ブラック(通称)が率いる、学園非公認匿名グループである。

 リーダーのキャプテン・ブラック/アナウンサー担当、そしてクルーのレッド/AD担当、ブルー/大道具小道具担当、イエロー/カメラ音声担当、ブラウン/演出構成編集担当、ツイン・オレンジとツイン・パープル/2人まとめてリポーター担当をしている。人数が限られているので番組や手分けにより柔軟に担当替えもある。


 正体不明の謎の集団なのだが、それほど厳重に秘密にしていないので、同じクラスの者とかはある程度正体はバレバレであるが、そこは、お約束的に秘密にしてもらっている。

 うらばん組の放送は人気があり絶大な支持をもっている。熱狂的なファンも多いのもある。

 通常、名前のカラーに合わせた色のバンダナをマスク代わりに口元をかくして活動する。まあ、いまは身内だけの会議なので顔を隠してはいないが。

 クルーは学園指定のブレザーの制服を着ているため学園の生徒であるが、他にも学園外協力者として放送機材提供者&技術者、屋外や遠征等での放送機材を詰め込んだ車両運転手とかもいる。


 活動。

 普通でまともな学園公認の放送部の放送をジャックしては、いささか常識外、過激な放送をする。

 通常は放送室を占拠し、放送部員をつまみ出すところから彼女らの番組が始まる。スキャンダルをすっぱ抜かれた本人たち以外の一般生徒たちには大好評かつ大人気で、とくに女子メンバーのキャプテン・ブラック、レッド、ツイン・オレンジ、ツイン・パープルそれぞれコアなファンがいるらしい。

 当然、根に持つ連中もいるが。


 ブラックは『うらばん組』のリーダーである。高等部トップクラスの反則級ナイスバディなのにダサめの太いアンダーフレームメガネのお姉さんキャラだ。このアンバランス感がいいというファン多し。主にメインパーソナリティーやアナウンサーを務める。


 次にレッド。『うらばん組』の中ではおもに雑用全般と演出をする。命じられるとなんでも快く引き受け、そつ無くこなし、痒いとこもしっかり掻いてくれるメイドのような娘でもある。


 ツイン・オレンジとツイン・パープルは双子の姉妹である。オレンジが姉、パープルは妹。二人まとめるときはツインズと呼ばれる。幼女的な容姿ではあるが、度胸と自己主張は強い。いつも興味津々、思ったことはストレートにものを言う。

 特に姉のオレンジは活発に主張し、妹のパープルが姉に遅れまいと一生懸命追随する。ツインズのファンもオレンジ派とパープル派に別れ、ファン同士で何かと揉める。

 見た目で舐められても弁が立つのでいい負けしないが、あまりに可愛いすぎてさらわれることは日常茶飯事。レポーター担当、いつもカオス展開の突撃レポートになるので目が放せなく、ファン多い要因のひとつである。


 他のメンバーはというとブルー、ブラウン、イエローがいるがいずれも男なので割愛する。

「「「おいっ」」」

 ちっ、野郎どもは割愛で充分だ。割愛で充分だ。大事なことは2回言う。


「『うらばん組』サイトに投稿されたネタいくよ、レッド、資料をドン!」


「ほいさー」

 レッドと呼ばれた子が資料をメンバーに配り、その後、ホワイトボードに拡大したものを貼りだす。

 資料は、この謎のグループ『うらばん組』のサイトに投稿されたネタなどをリスト化したものだ。


「今回投下されたのはネタ6つ、ドカン」

 スカッ、指を鳴らすフリをする。音が鳴った試しがない。


 ・変態さんいらっしゃーいシリーズ「三下先生編」 投稿者:名無しさん

 ・経営科3年の山本さんが1年生の高橋くんをストーカー中 投稿者:名無しさん

 ・鈴木先生の婚活プロモーションビデオ 上腕二頭筋編 投稿者:鈴木先生

 ・番組「リア充へ道」 出演希望:秘書科2年田中さん

 ・麻雀部提供番組「学園でちいぽん/準決勝戦」 メンバー:渡邉教頭、麻雀部部長伊藤、櫻井、水野

 ・生徒会の不正疑惑その1「不平等な部活予算編成」 投稿者:名無しさん


「ふーん、玉石混同、特ダネもぶっこまれているわね。そいじゃ、一件づつ企画採用可否いくよ」

 と、キャプテン・ブラック。


「「「あいあいさー」」」」

 一同、声をそろえる。ノリがかるい。


「では、最初の変態さんいらっしゃーいシリーズ、ズドン。これはどう?」

「もう、三下先生はすべて暴きつくしたので、みなさんの関心度がなくなったみたい。そろそろ三下編は打ち切りがいいかもです。『飽きた』『他の変態さんいないの?』とかの意見も着てるし」

 と、レッド、サイトの視聴アンケートや投稿された感想を見ながらいう。


「三下に個人的な恨みがある投稿者が連投してるんじゃないかな?」

 とキャプテン・ブラック。


「三下編は終了の方向で。あと一回でまとめ編を放送して終わりにしよう。三下先生のギャラはそこで打ち切りだねえ、ええ」

 とブラウン。

「三下先生、臨時収入なくなっちゃうね、借金返済可愛そうね」

「そうねぇ」

 と心にないコメントのツインズ。


「じゃあ、三下編はラストまとめ総集編流して打切りの方向で」

「「「異議なしっ」」」


「はい次、経営科3年の山本さんのストーカー事件、ドカン。これは?」


「三下先生の降板後の変態さんシリーズ枠に入れたらどうですかねえ、ええ」

 と、ブラウン。


「でも、山本さんは一応、一般生徒だしなー、ストーカーっていうとアレだけど、ある意味一途なだけかもしれないし、少し調査してから再考したらどうかな」

 ブルーは一応慎重論。

「そうねー、匿名の投稿者のやっかみな可能性もあるし、再調査後再考の線で行きましょう」

「「「異議なしっ」」」


「次、鈴木先生の婚活プロモーションビデオ上腕二頭筋編、ドカン。あの変態教師、懲りないわね。絶対採用しないからね、却下」

「「「異議なしっ」」」

「今回も大容量90分の超高解像度のキモい動画も添付してるし、容量大きすぎてホストサーバーも苦しそうです。一応聞きますが、これ見たい人いないよね?」

 と、レッドはノートPCを見ながら発言。

「「「いねーよ」」」

 と、クルー一同声を揃えて拒否。

「そ、そうね。怖いもの見たさで前回投稿されたシックスパック編を見たらすごかった。臭そうなモノがびくんびくんとうごめいているところがね、もうね、なんかね。吐き気と目眩がして気を失いそうになったわ」

 とブラック。

「それ、なんていうカオス?」

 ブルー。

「じゃあ、今回の動画は確認なしで即削除しまーす」

「「「異議なしっ」」」


「次は、人気企画番組「リア充へ道」出演希望:秘書科2年田中さん、ズドン」

「あの田中さん、綺麗な人なんで確実に告白編は出来レース展開であまり面白くないんじゃね?」

 と、イエロー。

「そこは、私達のブッコミレポートで盛り上げますので任せてください」

「くださいの」

 と、ツインズが胸を張る。

「オレンジとパープルがかわいすぎて、告白受けた男が暴走したこともあったじゃないか。その男、告白した女の子を差し置いて君ら二人を逆に告白するというカオスな展開になったという」

 と、ブルー。

「でも、あのハプニングはシリーズ最高の反響あったじゃないですか」

「ないですかあ」

 と、ムキになるツイン・オレンジと、ツイン・パープル。

「でもあの後、告白した出演希望の子が、泣いてしまって番組が中途半端になってしまうという不覚になってだな」

「作られたシナリオより、カオスな事実のほうが迫力あって視聴者に訴えかけるものになるのですよ」

「ですよお」

「まあ、いいか。好評なら全てOKだもんな」


「ツインズの二人に任せるってことで、OKだね?」

「「「異議なしっ」」」


「次は麻雀部提供番組『学園でちいぽん/準決勝戦』、スポンサーとしてお金貰えるからそのままOKでいいね」

「「「異議なしっ」」」

「あのぉ、麻雀部のスポンサーって、いったいお金どこから出てるのかな」

「のかなあ」

 と、ツインズが質問する。


「ああ、それね、教頭先生とかのポケットマネーなの。どうやら麻雀好きは勝った時ほど自慢したがる傾向でね。それに自信のある勝負前は、誰しも自分が勝つと疑わないし。今回は生放送で先払いでお金もらえるから取りっぱぐれないしね」

 と、キャプテン・ブラック。

「なるほど」

「なるほどお」

「まあ、撮影機材の貸出しだけででこちらもそんなに負担ないし、収入のある番組なんで、継続の方向で。この企画は人気がそんなにないけどコアなリスナーもいたりするしね」


「最後にきたね、生徒会の不正疑惑その1「不平等な部活予算編成」を。バーン」

「ほう、タレコミきましたねえ、ええ」

 ブラウンが笑みを浮かべながらつぶやく。つられてクルーのみんなもニヤつく。

 『うらばん組』は現生徒会と確執があるようだ。


「もうすぐ生徒会長改選があるので、それも合わせて追っていきたですねえ、ええ。実はね、対立候補が『うらばん組』にコンタクトとってきているからね。しかも、一年生だ。普通なら、現生徒会会長の推薦指名と目される現副会長の有鳩あるばとさんが有力なのでしょうけどね、ええ。しかも、その一年生、只者じゃないってとこがいいねえ、ええ」

 ブラウンが訳知り顔での発言。


ツイン・オレンジが口をひらく。

「ああ、あの市立第二中学からきた、雁美乃かりみのさんね。強気で少々乱暴気味な言動が多いけど、悪い子ではないみたい。いじめられっ子を優先的に自分の仲間に引き入れて結束力あるグループを作っていてね、仲間同士でイジメから救っているところもあるしね。入学してからこの半年に、様々なジャンルの仲間をあつめていて一年生の中では一大勢力になっているわね。その雁美乃さんを取り巻く中核グループを『ガンビーノ・ファミリー』と名乗っているよ」

「っているよぅ」

 ツインズも一年生ということもあり、ある程度事情を知っているているようだ。


「雁美乃……さん、か」

 雁美乃さんの名前を聞いたブラックは少しだけ驚いてる。レッドがすかさず聞いてみる。

「キャプテン、雁美乃さんって知ってるの?」

「あ、ええ、まあね。わたしも二中時代にね、会ってる」


「その雁美乃かりみのさんのコンタクトも『うらばん組』サイトの要望欄から投稿あったわ。キャプテン、一度彼女に会ってみませんか?」

 レッドが視線をノートパソコンからキャプテン・ブラックに移す。


「そ、そうね、こんな面白そうなネタなら大歓迎だわね。レッド、雁美乃さんに連絡取れそう?」

 キャプテン・ブラックは、すこし躊躇している。そういえば、ブラックもなにか雁美乃になにか思いがあるのか。

「メアドも書いてあるから問題無いです」

「じゃあ、私、直接会ってみるからメールでアポ取っておいて」

「あいあいさー」


「以上、本日の『うらばん組』企画会議は終了、おつかれさまでした」

「お疲れですね、ええ」

「おつさまー」

「さまぁ」

「おつでしたぁ」

「乙」

「おつー」


 そしてこのあとのブラックと雁美乃の会見で、学園の勢力図が大きく変わる流れを加速させることになる。



 見た目ロリ系硬派おっさんキャラの残念娘の日ノ本鬼子とは違う、元気印のおねいさん系ミステリアスでナイスバディ、しかもところどころチープで残念なキャプテン・ブラックという新しいヒロインを登場させました。もっともっとネタをぶっこんでいきたいですね~

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