9、勘違い
新キャラ登場です。
1、町田さん
2、鈴木君
あとの人は男子と女子で表現してます。
名前でるかもしれませんが、しばらくはモブです。
別荘に戻ると既に何人かがカレー仕度を始めていた。
「あ、真琴君ーおっそいよーもうお腹ペコペコだよー」
支度を始めていたクラスメイトの女子にそうはやし立てられる。
「ごめんごめん、僕達もすぐ取りかかるよ」
さすがに全員でやれるほどキッチンは広くなく、料理がダメな男子は待合室で待機だ。
さっき覗いてみたけど、かなり打ちひしがれていた。何を言われたのだろう。
僕と早希ちゃんは早速カレーの手伝いをすることにした。
「米はもう研いでセットしておいたよー、ところで真琴君、5.5合の炊飯器2つで足りると思う?」
「うーん多分足りないかも、むしろそれで男子分って感じかな」
前にレンが家で食事をしたとき、軽く2合は食べてた気がする。
ただでさえカレーってものは食が進むもので、食欲旺盛な男子が5人もいるのだ。
「えぇ、本当に? うーんどうしよう」
「とりあえずあと5.5合研いで水につけておいたらどうかな。先に炊いてるのが終わったら早炊きでどうにか間に合わせればいいと思うよ」
「おーそうだねぇ、それしかないね、さすが真琴君は料理してるだけあって手際がいいねぇ、それに比べて……さっき男子に米研がせたらどうしたと思う?」
そう言って、手を肩のところまで持って行きヤレヤレのポーズをするのは、うちのクラスの町田さんだ。
「なんとタワシで洗おうとしたんだよ! まったく米も研いだことないのかっていうんだよ」
町田さんは、はぁとため息をつく。
「あ、あはは、そうだったんだ」
さ、さすがにそれはフォローできない……。
さてあとは煮込むだけとなったところで、僕は皆が帰ってきてるかどうか確かめ、カレーがそろそろできそうだから集まって欲しいと伝える役を買ってでた。
男子は待合室で何やらコソコソと密談していた。
何の話してるんだろう……気になる。
うぅ、なんか僕、仲間はずれみたいで少し寂しい。
いちにいさんしい……あれ、レンだけいない。
他のところにいるのかな?
薫ちゃんと紀子ちゃんもいないしどうしたんだろ。
――――少しだけ時間が遡る。
真琴達が料理をしている時、薫、紀子、レンの三人はとある個室にいた。
「ってなに突然呼び出して、私もカレー作るの手伝いたいんだけど」
薫はこういう時は自分から進んでやりたい性分なのだ。
「そうですよ先輩、なにも今じゃなくたって……」
紀子も賛同する。
「シャラーーーップ! それどころじゃないんだって! 真琴が付き合うことになったかもしれないんだ」
「は?」「へ?」
女子二人は目が点である。
「いやいや、一体誰と付きあうってのよ」
「さすがにこの短期間でアタックをかける子もいないでしょうし……」
薫と紀子はお互いにありえないと首を振る。
突然そんなことを言われても信じられるわけがない。
「いただろ? 仲良く話してた娘がさ! ――早希ちゃんだよ。あのあと見てたんだけど告白してたんだって」
「告白ぅ!!?」「告白ですかっ!!?」
薫と紀子は同時に同じようなことでかぶってしまった。
あの早希が……ありえない。
「ああ、告白したあとも楽しそうに話してたし、二人仲良くここまで帰ってきてたし……もしかしたら真琴はOKしちまったのかもしれない」
薫と紀子は目を見合わせる。
そしてレンの目を見る。とても冗談を言ってるような顔には見えない。
「まさか……本当に?」
薫は頭が真っ白になった。
それはそうだ、当面の敵は目の前にいるレンだと思っていたからだ。
突然現れた早希にいきなりかっさわられるとは思ってもいない。
「わ、私は信じないよ、この目で確かめるまでは」
「そうだ、俺も真琴から真実を聞くまでは信じない」
「確かにそうですよね、あの早希ちゃんが告白したってのは驚きですけど」
あ……
薫はその言葉で我に返った。
本当にあの早希が告白したのだとしたら。
それを聞いた兄がどういう行動を取るのか。
薫には想像がついた。
告白されて、もし断ったとしたら。
平気で笑い合いながら一緒に帰るほど、兄は心が強くない。
それを一番、薫はよくわかっていた。
だとしたら答えは1つしか無い。
「ねえ……本当にあの早希が告白したの?」
薫は確かめずにはいられなかった。
「しっかりこの耳で聞いたぞ、私と付き合ってくださいって、しっかり大きな声でいってた。かんでたけどな。そしてそのあと何か楽しそうに話し合ってて……んで一緒に帰っていったんだ」
薫はショックを受けた。
本当なんだ……。
だとしたら兄はきっと。
――――早希と付き合ってる。
「ねえ、二人のことはそっとしておこうよ」
翻然とそう口にした薫のことを驚いたようにレンは見た。
「お、おいどうしたんだよ。さっき自分で確かめるまで信じないっていってたじゃないかよ」
「ううん……もう信じた。あんたが嘘言ってるようには見えないし」
――――コンコンッ
その時ドアの外からノックの音が聞こえた。
「誰かいますかー?」
真琴の声だった。
点呼を取りながら料理ができそうなことを伝えにきたのである。
「あ、はーい」
紀子がドアの方にいき、真琴のことを出迎えた。
「あー、三人ともここにいたんだね、どうしちゃったのかと思ったよ」
真琴はなんだか少し嬉しそうにそう言った。
「悪い悪い、ちょっと風呂をどういう順番にするか相談してたんだよ」
レンは咄嗟に思いついたことを口にした。
「あ、そうだったんだお疲れ様。それじゃそこら辺のことも含めて食事中に話しあおうよ」
「ああそうだな」
「……薫ちゃん? どうかしたの?」
真琴はなんだか少し元気の無い妹をみて心配になった。
「え……? ううん大丈夫だよ。海で疲れちゃったのかも」
「大丈夫じゃないよ顔色悪いよ? ご飯食べたらすぐ休もう?」
「ほんとに平気だよ、きっとカレー食べたら元気になるよ」
薫はそう言うと立ち上がり出ていった。
「私なに勝手に拗ねて……なにやってるんだろ」
薫は一人、自分の行動に呆れ返っていた。
食事の時、薫は料理手伝えなくてごめんなさいと謝っていた。
レンもごめんごめん、風呂の順番どうするのか話していたんだとフォローをしていた。
「いいのいいの、全然平気だから! そんなこと言ったら男子なんて邪魔しかしてないんだから」
町田さんは男子の方をじろりを睨む。
ヒュ~ヒュ……
ならない口笛を吹く男子。
ピロリロピィィン
なんか口笛達者な男子もいた。
そのままごまかすように男子は大騒ぎだ。
「ほらせっかくだし! みんな自己紹介改めてしねえ?」
「そうだそうだ、俺たちはクラスメイトだが、一年生の女子は初めましてだしな!」
となんかいきなり始まってしまった。
――――真琴は知らなかったが、これは男子が一生懸命考えぬいて結論をだした合コンのノリであった。
「よしまず俺からな!」
そして頑張る男子。
僕も男子だからここは何かしたほうがいいのだろうか。
でもノリがわからないので、頑張ってる男子を見守る。
「――――さて、一通り自己紹介したところでっ」
どうやらこの場を仕切ってくれるのは今回かなり気合が入ってた、クラスメイト男子の鈴木君だ。
鈴木君は見た目こそイマイチなのだが、こういった場面で仕切ることが多く、頼りにされることがあり、クラスの人気ものだ。
「まあここに来る前に一度した時と同じような感じの自己紹介だったけどね」
「そこ! 町田! 変なツッコミはいれない!」
クラスメイトのやり取りが続く。
「じゃあ次は席替えね! 交互にしよう、せっかくだしさ」
そういって12本の棒をどこからか取り出す。
すごく準備がいい。まさかさっき密談してたのってこれか……。
「なんかこの棒すごく嫌な予感する、でもゾクゾクしちゃう」
クラスメイトの女子がそんなことを言った。
表現がなんかおかしいよ!?
「男子は奇数、女子は偶数を用意したからねー、さあググイと引いちゃって」
クジを引く。僕は……5だ。
「この席が1番で時計回りで順番に座っていってね」
鈴木君が指示したとおりに、皆ぞろぞろと席替えをする。
何だかんだ言って結構楽しみだ。
他の皆もそう思ってるらしかった。
ただ、早希ちゃんはかなり戸惑っている。
そうだろうね……男子の隣っていうのがきっと苦手なのだろう。
早希ちゃんを見ていたら僕の近くに寄ってきた。
「もしかして早希ちゃん4か6?」
「あ、は、はい。私6なんですけど、もしかして真琴さん!」
「うん、僕は5番なんだよろしくね」
僕はにっこり笑う。
早希ちゃんは本当に嬉しそうに、そしてどこかほっとしたように微笑んだ。
頼りにされてると思うと何だか嬉しい。そう感じいた。
「私4なんですけどー」
う……
声がしたので振り返ってみたら薫ちゃんがジーっとこちらを見ながらそう主張した。
調子悪いって思ってたけど……もう治ったんだね薫ちゃん。
そこにいたのはいつもの妹であった。
「みんな席に着いたかな? それじゃ取り敢えず乾杯しようか」
カンパーイ! なみなみと注がれたコップを重ねあった。
「さて、せっかく席替えをしたことだし……ここはゲームでもしようではないかっ!」
そう高らかに宣言をする鈴木君。
「それもそうだな!」「おお気が利くな鈴木」「なんてこった! 全然気が付かなかったぜ!」
いやいやいや、さすがにわざとらしすぎるから!
「ふ、面白いじゃない。その話のったぁぁぁ!」
うん、うちのクラスって男子も女子もノリいいんだよね、そもそも旅行に来る時点で知ってたさ。
こうして、縦横無尽、暗中模索なゲーム大会は始まったのである。




