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ユニヴァース  作者: クモガミ
二人の再会
90/125

再会

怒鳴り声を上げたのは鋸のような物を持った大男だった。

窓越しからでも見えていたが2mの巨体と盛り上がる筋肉と図太い声がとても合っている、ゴツい顔をしている。

「「「あーーーーーーっ!! お前はーーーっ!?」」」

スキンヘッドの盗賊とロン毛の盗賊とポッチャリとした大男が声を揃え、指を指して叫ぶ。

三人の指が指した方向にはロロがおり、指を指されたロロは咄嗟に顔を逸らす。

「なんだ、知り合いか?」

ゴツい顔の大男が三人組に尋ねる。

「違いますよ旦那! 昨日話しましたよね、アイツが俺達を痛め付けたガキの一人なんですよ!」

「何? 本当か?」

「はい! マジです!」

『お前等が先に襲って来たんだろうが』とロロが心の中でツッコミを入れる中、スキンヘッドの盗賊は敬語でロロが自分達の仇敵だと大男に伝える。

「ほぅ、あんなガキがな」

話しでは聞いていたがやはり意外なのか、大男は意外そうな顔でロロをジロッと一見する。

大男の鋭い視線を投げ掛けられたロロは若干たじろく。

と、その時。

「お、おお、誰だか知らんが助けてくれぇーー! 助けてくれたらタンマリと金をやるぞーー!!」

突然、大男の目の前で尻餅を着いていた中年の男性が金髪の少女とロロに助けを求む。

中年の男性が必死に助けを求めると大男はキッ!と即座に殺気に満ちた眼で睨み。

「黙れくそジジィッ!! 今この場でズタズタに引き裂いてやろうか!!」

大男の脅迫紛いの怒鳴りに中年の男性はビクッ!!と身体を震わせ、怯えていた顔に青が加わり、両手で口を抑えて黙り込む。

その様子を鼻で笑うと大男は眉間に皺を寄せながら、屋上に入って来た二人に鋸型の得物を差し向け。

「もしかして……テメェ等が牢屋から脱走し、俺の仲間をミンチにしやがった例の脱走者か?」

「ええ、そうよ。そんなことよりも盗賊団(あんたたち)親方(ボス)は何処?」

相変わらず強気な態度で少女は彼らの仲間を倒したのは自分達だと正直答えると共に盗賊団の親方(ボス)の居所も尋ねる。

自分達の親方の居場所は?と訊ねられたゴツイ大男は険しい表情を更に険しくし、低い声で。

「…そんなことを聞いてどうするつもりだ?」

「決まってるでしょ、その親方(ボス)も倒すのよ」

臆すことなくストレートに少女がそう告げた次の瞬間。

大男の全身から青白い火花が飛び走った。

突然大男から火花が飛んで、近くに居た中年の男性と三人組は驚いて後退りをし、大男から距離を取る。

そしてその場に居るゴツイ大男を除く全員の背中に寒気が走る。

寒気が走った原因は大男を中心にして強烈な殺気が周囲に広がったいるのだ。

その殺気を感じ取った少女とロロは各々の武器を瞬時に構え、戦闘態勢を取った。

直後に大男の口がゆっくりと開く。

「………成る程、よぉく分かった。そして運が悪かったな。俺がこの盗賊団の親方(ボス)だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

雄叫びと共に大男の全身から青白い高圧電流が空に向かって立ち上がった。


一方、その頃。

アジト内のゲート前で銃を持った六人の盗賊達と戦っていたカレン達は開始から僅か十秒足らずで、盗賊達を捻じ伏せた。

一旦戦いが終わってカレンは大剣を背中に掛け、頬を指で掻きながら辺りを見渡すと率直な疑問を呟く。

「…増援来ないね」

「おっかしいな、増援が呼ばれたらすぐさま現場に駆け付けてくる筈なんだけど……」

カレンとアイシャは現状に対して腑に落ちない気分に成っていた。

理由は銃を持った六人の盗賊達と戦闘を開始する前に盗賊達は増援を呼んだのだ。

だが呼んだ筈のその増援が来るどころか、誰も来る様子が無く、しかも。

「確かにそれもおかしいが、それよりもおかしいのはこの静けさだ。いくらなんでも静か過ぎる!」

辺りを注意深く観察しながらミツルギは今の状況下で最も腑に落ちない点を指摘する。

そう、この状況下で盗賊団のアジトはあまりにも静かなのだ。

カレン達という侵入者がやって来たというのに盗賊団のアジトはまるで廃墟のように静まり返っている。

それもその筈、カレン達がゲートを通過する前、ある少女の手によって盗賊団の盗賊は殆んど倒されてしまったから。

「増援が来ないことは良いことだけど、この静けさはちょっと不気味だね。………ひょっとして」

と何か思い当たる節が有るのか、最後にボソリと呟くアイシャ。

「中からも人の気配を感じない。どうなっているんだ? 他の盗賊達は何処で何をしているんだ?」

お得意の気配感知で建物内の気配を探ろうしたミツルギだったが、どうやら中から人の気配を感知出来なかったようだ。

するとその時。

建物の屋上から雷鳴と共に一筋の電気の柱が立ち昇った。

「なっ!! か、雷!?」

「まさか! 雷なら空から降って来る筈だよ!」

「だが、今の電気の柱は一体…………むッ!」

屋上から発生した謎の電気の柱に困惑する三人。

そしてあの電気の柱は何だったのか、その正体を考えようとしたミツルギは人の気配を感知し、屋上に指を指す。

「屋上辺りに複数の気配が在る! しかもその一つはロロの気だ!」

気配レーダーが反応し、ミツルギは建物の屋上に複数の気配を感知する同時にロロの気を感知する。

カレンはロロを感知したと言うミツルギに寄り。

「間違いないの、ミツルギ?」

「勿論だ、俺は一度覚えた気を間違えはしない! ロロはあそこに居る!」

断言して、ビシッ!と親指を立てるミツルギ。

そしてその屋上へ向かおうとアイシャは建物の出入口を探そうと動き出す。

「じゃあ早急に屋上へ行って、ロロに此処の状況を教えて貰おう」

「待てアイシャ! わざわざ建物内の階段を使って登ることはない!」

「では、どうやって?」

「これを使うのさ」

得意気に言うとミツルギは左手に持った剣を翳す。

するとミツルギの剣の取っ手部分に差し込まれている蠍型の『(コア)』の眼が赤く光出し、更に刀身部分に複数の皹が走る。

仕上げにミツルギは蠍型の『(コア)』の剣の形をした尻尾を後ろに倒し、差し込むように取っ手の内部に押し込む。


purge(パージ)on(オン)!』


声と共にミツルギの剣の皹が走った刀身部分が外れ飛び、鞘が外れたことで中から細長い銀色の刀身が現れ、ミツルギの剣は刀へと変身する。

変身した直後、刀の刀身は光線のように上空へ伸び、屋上の旗を掲げる為の鉄の柱に深く突き刺さる。

その鉄の柱に刺さった刀身を引っ張り、刀身が外れないか確認するとミツルギは交互にカレンとアイシャに顔を向ける。

「さぁ二人共、俺の身体に掴まれ! このまま屋上へ直行する!」

「う、うん!」

「了解!」

身体に掴まるようにと促された二人はそれぞれ掴め安い箇所に身を寄せる。

カレンは右腕に、アイシャは背中に掴まる。

「ちゃんと掴まったな? よぉし、行くぞ!」

と掛け声を出した瞬間、刀身に引っ張られてミツルギの身体が宙を浮き、ツバメのように上へ駆け上がる。

やがてものの数秒で三人は屋上に到着した。

屋上に到達するとミツルギは刀身の引き寄せる速度を緩め、緩やかに屋上の床に着地し、二人はミツルギから離れる。

到着してすぐ三人は屋上に居た7人の人物達を発見し、7人側の方も階段を使わず、思いがけない方法で下から登り上がって来た三人を目撃 する。

カレンの7人側の方の一人に声を掛ける。

「ロロ! 無事みたいだね!」

「カレン! アイシャ! ミツルギ! お前等、どうして此処に!?」

救出目標の一人を発見して喜ぶカレンに対して、救出しに来たとは知らず、カレン達の参上に驚くロロ。

そしてその二人のやり取りを見て、金髪の少女はロロに問い掛ける。

「何? あいつ等とも知り合いなの………」

すると問い掛けの最中、少女はカレンと眼が合う。

「「あ」」

二人の声が重なった。

最初に出会った時と同じように。

大きく眼を見開いて。

「「ああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」

やっとお互いの存在に気付いた二人は再び声を揃えて、今度は大声で叫ぶ。

そしてお互いに人差し指を差し合い。

「君は!」

「あの時のヘンタイ!!」

再会出来たと喜ぶカレンとは正反対に少女が怒りを込めてそう叫ぶ。

その叫びを聞いてその場に居る全員がカレンに視線を傾ける。

カレンはキョトンとした顔をして。

「へんたい? ミツルギ、〝へんたい〟って何?」

「うむ、〝へんたい〟というのは隊形を整える又は隊形の形を指す言葉のことだ」

「へぇーそうなんだ!」

「…………………その〝へんたい〟じゃないと思うよ。絶対」

常識知らずと天然が合わさった二人のボケ合いに、心なしか冷たい眼でツッコミを入れるアイシャであった。


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