説明会②
今回はロロが説明役を引き受け、カレンに魔法についての初歩的な知識を教え込むことになった。
「カレン、ここからは俺様が説明するから良く聞けよ! まずはアイシャがさっき言った通り、俺達の体内には大きく分けて三つの『マナ』が在る。一つ目は前にも教えた体力や精神力、そして気力を司る『力のマナ』、二つ目は生命力や寿命等を司る『命のマナ』、そして最後の三つ目が消費した『力のマナ』の再構築や傷を負った箇所を再生させたり、身体の成長や発達等を司る『創造のマナ』、この三つが存在するんだ」
「『命のマナ』と『創造のマナ』……」
知らされなかった体内にまだ二つも在った『マナ』の存在を今になって知ったカレンは、二つの『マナ』の名前を覚え、それぞれの特徴を何となくだが理解する。
「次は魔法の発動条件についてだ。自分が出したい魔法を出す為にはその魔法に必要な『力のマナ』を集中して〝練らなきゃならない〟!」
「? 〝練る〟って?」
「〝練る〟って言うのは魔法を発動させる為、瞑想するように集中して、体内に在る『力のマナ』を必要な量だけ、取り出すっていう感覚作業の事さ」
魔法で『力のマナ』を〝練る〟と言うのは、魔法に必要不可欠な『力のマナ』を必要な分だけ、集中して練り出すという感覚作業の事らしい。
「そんでもって、『力のマナ』を必要な量だけ練ったら、次はその練った『力のマナ』を魔法に変換させる為に『力のマナ』を〝コントロール〟する必要があるんだ!」
「……〝コントロール〟って前にも聞いたけど、それは具体的にはどうやるの?」
『水底の洞窟』でロロから『力のマナ』を〝コントロール〟しなければ、魔法は使えないと説明されたが、どのように〝コントロール〟するかまでは、教えて貰ってはいないので、カレンはもっと具体的な説明を要求した。
「〝コントロール〟は〝練る〟と同じく瞑想するように集中して行う感覚作業なんだが、〝練る〟とは大きく違って、とても難しい精密的な感覚作業でな。初めて魔法を使おうとする奴なら『力のマナ』を練る事は出来ても、〝コントロール〟だけは全然うまく出来ず、当然不発となって、その後何日何カ月掛けて練習しても、〝コントロール〟の感覚のコツを掴めずにいる事が多いんだ」
「じゃあ、『力のマナ』をうまくコントロール出来なかったら、僕がロロやアイシャみたいに魔法を出せる事なんて無理なのかな?」
『力のマナ』の〝コントロール〟は非常に難しい感覚作業らしく、例え『力のマナ』をうまく〝練った〟としても、次に『力のマナ』をうまく〝コントロール〟出来なければ、魔法が使えない事にカレンは残念そうに顔を少し下に俯いた。
「心配すんなって! 魔法をもっと使い易くする為に『力のマナ』のコントロールを簡単に出来るのが在るんだ!」
「えっ? そんなのが在るの?」
「在るんだぜ、〝呪文〟ってやつがな!」
「〝呪文〟?」
魔法を発動させる為に必要な『力のマナ』のコントロールを簡単にする物が在ると、付け加えて話すロロにカレンは一筋の希望が見えたかのように顔を上げて、そんな物が在るのかと聞けば、〝呪文〟と言う言葉が返って来て、カレンは首を傾げて聞き返す。
「お前も何度も見た事や聞いた事が有るだろう? 俺様とアイシャがいつも魔法の名前を言って発動させる前に唱えている、あの御呪いみたいな奴の事だよ!」
「御呪いって……もしかして、〝あのセリフ〟の事?」
〝呪文〟とは魔法の名前を言って発動させる前に唱えている御呪いだと答えられ、カレンは二人がいつも魔法を放つ寸前に語り掛けるように喋っている〝あのセリフ〟なのではないかと思い当たる光景を頭の中で思い浮かべた。
「その〝呪文〟で本当に魔法が使い易くなるの?」
「まぁ、お前みたいな素人にはそう思われるかもしれないが、魔法の〝呪文〟には〝言霊〟っていう不思議な力が宿っているんだ」
「〝言霊〟?」
「古代に伝わる、言葉に宿っている神秘的な力って言われている物らしいぜ」
本当に〝呪文〟なんかで魔法が使い易くなるのか半信半疑で、問い掛けるカレンにロロは〝呪文〟には〝言霊〟という神秘的な力が宿っていると述べる。
「俺も詳しい事は分からないが、〝呪文〟に宿っている〝言霊〟には『力のマナ』の〝コントロール〟を補助してくれる力が有るみたいなんだ」
「〝コントロール〟を補助?」
「簡単に言っちまえば、扱いが難しい『力のマナ』の〝コントロール〟も〝呪文〟さえすれば、容易に〝コントロール〟が出来やすくなるって話だ!」
どうやら〝呪文〟に宿っている〝言霊〟には魔法を繰り出す際前に必ず行うとても難しい『力のマナ』の〝コントロール〟を〝コントロールしやすくしてくれる〟力が有るとロロは語る。
「実際、俺やアイシャは、その〝呪文〟に宿っている〝言霊〟の力を借りて、『力のマナ』をうまく〝コントロール〟し、魔法を発動させているんだ」
「そうだったんだ……あっ! それじゃあ、僕も〝呪文〟を唱えさえすれば、魔法が使えるようになるかな?」
「そんなにうまくいかねぇよ、〝呪文〟は確かに『力のマナ』の〝コントロール〟を補助してくれるが、あくまで〝コントロールしやすくしてくれる〟だけだ! 例え〝呪文〟を唱えて魔法を発動させようとしても、うまく『力のマナ』を〝コントロール〟し、魔法をちゃんと発動出来るようになるのは、どんな奴でも最低一週間か二週間ぐらいは掛る! 今日一日やちょっと使える程、甘くは無いんだよ」
「……残念」
ロロもアイシャも〝呪文〟の力を借り、魔法を発動させている事を聞いて、カレンは自分も〝呪文〟さえ唱えれば魔法が使えるようになるのか尋ねると、ロロは甘い考えだと評して、〝呪文〟を唱えて魔法が発動出来るようになるにも週単位で時間が掛ると述べ、その返事にカレンはやっぱり物事はそんなにうまく運ばないと思い、『残念』と呟いて苦笑いを浮かべた。
「それに自分が出したい魔法を出す為には、その魔法の〝属性〟と生まれながら持っている自分の〝属性〟が合ってなきゃ、発動出来ないんだよ!」
「へっ? 〝属性〟?」
魔法に関する単語が新たに出て来て、カレンは言わずとも〝属性〟という単語を知らないようであり、またもや素っ頓狂な声を上げて聞き返し、ロロは呆れ顔になって溜息を零しながらも説明を続行する。
「〝属性〟は人で言うと〝素質〟であり、魔法で言うと〝種類〟だ」
「え~~~と、それってどうゆう意味?」
「俺様が二回もお前の手の怪我を治したのは光の魔法で、俺様がその光の魔法が使えたのは俺様に光属性の素質が有るからなんだ」
「光の魔法…光属性の素質…種類……っ! も、もしかして、人も魔法にもいくつか〝属性〟が存在して、自分が持っている〝属性〟と使いたい魔法の〝属性〟が一致しなきゃ、魔法は使えないって事?」
「…大正解! 驚いたなぁお前の言う通りだ。 俺様が生まれながら光属性の素質を持っているから怪我を治せる光の魔法が使えるように、アイシャも生まれながら氷属性の素質を持っているから氷を放つ氷の魔法が使える訳なんだ」
人で言うと〝属性〟は〝素質〟であり、魔法で言うと〝属性〟は〝種類〟であり、そしてカレンの手の怪我は光属性の素質を持っているロロが光の魔法で治したと聞いて、カレンはブツブツ呟いて、これらが何を意味しているかを考え込むとすぐさま、閃いたかの如く人と魔法の〝属性〟関係が分かり、ロロは二つのヒントだけで無知のカレンが自力で導き出した、核心突いた答えに大層驚き、思わず感心の声を零しながらも肯定した。
「もっと詳しく説明すると、人が生まれながら持っている〝属性〟の数は人それぞれだが、誰でも最低一つは必ず〝属性を持っている! そして現代で解明されている人と魔法の両方の〝属性〟は『炎・水・大地・風・気・雷・氷・音・金・霊・光・闇・時空』と、13種類程も在るんだ!」
「13? 結構多いんだね!」
「ああ。だが〝属性〟達には上位関係が在って、その上位関係を大きく分けるとたった4グループ程度に分けられる。まずは区別無く世界中の誰もが持っている〝属性〟『炎・水・大地・風・気』、この五つの〝五大属性〟と呼ばれる物と。人が稀に生れ持って来る『雷・氷・音・金・霊』と同じく五つの、〝希少属性〟とも呼ばれる物と。前の二グループよりも優れ、力関係として上の位置に立つ存在『光・闇』の〝上位属性〟と呼ばれる物。そして最後にその〝上位属性〟すら凌ぐ、更に上の次元に立つのが『時空』であり、現代でも詳しくはまだ解明されていない〝特位属性〟と言われている物。この4グループが13種類も在る、〝属性〟の上位関係だ」
人が持っている〝属性〟の数は個人差が有るが、この世で〝属性〟を一つも持っていない人間は居ないらしく、更に言えば〝属性〟は現代で分かっている数は13種類も在るようで、上位関係的に分けると〝属性〟の中で〝五体属性〟と呼ばれる『炎・水・大地・風・気』が平均的に多くの人達が持っており、逆に〝属性〟の中で〝希少属性〟と呼ばれる『雷・氷・音・金・霊』が平均的に持っている人は少ない模様、そして力は〝五大属性〟と〝希少属性〟を凌ぎ、この二つの上に値する〝上位属性〟と呼ばれる『光・闇』、そして更にその〝上位属性〟すら越えて、詳しい事はまだ解明されてはおらず、世間から〝特位属性〟と呼ばれている『時空』。以上が13種類の〝属性〟達の上位関係だとロロは語る。
「人々がそれぞれ持っている〝属性〟を確率的に言えば、〝五大属性〟はさっき言った通り、100%の確率で誰もが持っている。続いて〝希少属性〟は1万人の内、たった一人が持っている程度の確率で。〝上位属性〟は1万人の十倍、つまり10万人の内、これも一人だけが持っている確率で。最後に残った〝特位属性〟は一億人に一人と言われるぐらいの確率って話だ」
「……一億人に一人か」
〝五大属性〟はともかく、〝上位属性〟は〝希少属性〟より持っている人の確率は相当低いが、〝特位属性〟を持っている人の確率の異常なぐらいなまでの低さにカレンは驚きを通り超えて、逆に落ち着いた態度で話の内容を受け入れる。
「ちなみにどの〝属性〟にも、その〝属性〟独自の色が存在して、魔法を発動させる際に現れる光の色で〝属性〟を判別出来るんだ。 まず『炎』は赤、『水』は青、『大地』は茶色、『風』は緑、『気』は水色、『雷』は金色、『氷』は銀色、『金』は鼠色、『音』はオレンジ、『霊』は半透明、『光』は白、『闇』は黒、『時空』は紫ってところだ」
更に追加説明によると、各〝属性〟にはそれぞれ独自の色を持っており、魔法の呪文を唱えている時、出現する光の色で魔法の〝属性〟が判別できるとロロは役立つ情報を伝える。
「ふむ……今までの説明をまとめると、魔法は体内に在る『力のマナ』を魔法に必要な量だけ練って、次はその練った『力のマナ』を魔法に変換させるようにうまくコントロールする事。それともう一つ、自分が使いたい魔法を使うにはその魔法の〝属性〟と自分が持っている〝属性〟が一致しなければならない事。この二つの条件が揃えて、初めて魔法が発動出来るって事で良いんだよね、ロロ?」
「そうそう、それで良い! お前が今言った二つの条件をクリアして、最後に魔法の名前さえ言っちまえば、〝魔法陣〟から魔法が飛び出すって訳だ!」
「えっ? 〝魔法陣〟?」
今までのロロの説明を要約して魔法の原理と発動条件を述べてカレンは、一から魔法に関しての説明してくれたロロから『OK』を貰うが、最後に〝魔法陣〟という言葉がロロの口から出て来て、カレンは思わず聞き返した。
「あっ! これについては言って無かったな……まぁ、心配すんな! 〝魔法陣〟についてはお前も見た事があるだろう? 俺達が魔法を発動させた時に必ず出現する、〝古代語〟が書かれたあの円状の〝輪〟の事だよ!」
「(ああ、あれか)」
〝魔法陣〟と言うのは、自分とアイシャが魔法を発動させた時にいつも現れる円状の形をした〝輪〟だとロロは答え、カレンは記憶の中でロロ自身が魔法で何度も見せてくれた、何らかの文字が描かれたあの〝輪〟が〝魔法陣〟だと瞬時に思い浮かんだ。
「どうやら見当がついたようだな? ここで言い忘れていた〝魔法陣〟について簡単に説明すると〝魔法陣〟は魔法を召喚する扉みたいな物で、〝魔法陣〟が現れたって事は、魔法の発動が成功したという事を意味してっから、これもよく覚えておけよ!」
「魔法陣か……うん、忘れないよ!」
心当たりが有ると悟ったロロは、言い忘れていた〝魔法陣〟の事を簡易的に説明し、カレンはこの説明で、〝魔法陣〟の出現は成功の証だと強く認識した。
「お前は魔法については大方理解した様だし、俺も魔法に関しての基本的な知識は全て教えたが、何か質問とか在るか?」
「う~~~~~んとね……僕はロロみたいに、あのピカッと光って怪我を治してくれる魔法が使えるようになりたいんだけど、僕にはその魔法の〝属性〟に合った肝心な〝属性〟を持っているのかな?」
「お前自身の持っている〝属性〟を知るには、お前が光の魔法の試行発動を行うか、適合検査を受けるか、どっちかだな」
「そんな事をしなくても、カレンには光属性の素質を持っているよ」
魔法の基本的な知識を全て教え、後は何か質問が在るかどうか尋ねるロロにカレンは自分に光の魔法を使える素質が在るのかを知りたいと返し、ロロはこの質問に対して、光の魔法の発動練習をするか、適合検査を受けるかどちらかだとカレンに答えるが、さっきと今まで魔法の説明をロロに任せて一言も口を挟まなかったアイシャが、不意を突く突然の乱入者のように二人の会話に入って来た。
「持っているって、アイシャ……お前、コイツが光属性の素質を持っている事が分かるのか?」
「もちろん、初めて会った時から分かっていた訳じゃないよ。 カレンが光属性の素質を持っているのを知ったのは、此処に来るまで彼が使っていた魔術を見たから、彼が持っている〝属性〟が判明したんだ」
「魔術? 何それ?」
まるで知っていたかのような口ぶりにロロは、何故その事を知っているのかを問い質すと、アイシャはカレンの魔術を見て判明したと答え、一方また聞き慣れない単語を聞いたカレンは、いつもの流れで尋ね返した。
「何言ってんだ? 魔術なら、お前も使ってるだろ?」
「僕も……使ってる?」
「分からないか? お前が良く剣で繰り出している〝技〟の事だよ!」
「! ……僕の……あの〝技〟が魔術!?」
またもや新たに飛び出して来た謎のキーワード、『魔術』とは一体何なのかと思っていたカレンであったが、ロロの話に因ると実は魔術とは自分が今まで良く使用していた〝技〟である事に、カレンは意外だと言わんばかりに驚いた。
「そうだ! 前(水底の洞窟)にも言ったが、体内に在る『力のマナ』を消費して放つ、俺の弓矢とお前の剣で繰り出していた〝技〟は分類的に言えと、魔術と言われる、魔法と同じ〝属性〟を持った〝特別な技〟なんだ!」
「〝属性〟! ……という事は、僕の『剛魔』は風属性って事になるのか」
魔術にも〝属性〟が在ると聞いたカレンは、すぐさま自分の〝技〟もとい〝魔術〟の一つ、『剛魔』が風属性の魔術だと気付く。
「一応、魔術の発動原理を聞いても良いかな、ロロ?」
「まったく仕方ねぇな。魔術の発動原理は体内の『力のマナ』を〝練り〟、次は武器か身体の何処かに〝練った〟『力のマナ』を流し込み、最後の仕上げに『力のマナ』をうまく〝コントロール〟して、13種類の内どれか一つの〝属性〟を持たせた、特殊攻撃を繰り出せるのが、魔術だ!」
「ああ、やっぱりそんな感じなんだ」
魔術の説明を要求され、ロロは舌打ちを零すも自身やカレンが扱っていた『彗星』や『剛魔』等の〝技〟は魔術と言われる、魔法と同じく〝属性〟を持った〝特別な技〟で、魔術の発動原理は魔法のとは少し異なるが、13種類も〝属性〟が在るという部分は一緒だと解説し。カレンは魔術の事は知らなかったとはいえ、記憶喪失ではあるがこれまで何度も魔術を使っていた為か、ロロが語る魔術の発動原理の解説を耳にして、カレンは思っていた通りのような反応を見せる。
「習得には相当な修行とかなりの時間が要するんだが……ん? 待てよ」
ついでに補足も話していた途中、何かに気付いたロロは、ハッと目を細めた。
「アイシャ、コイツ(カレン)が使っていたあの光る拳みたいなのが、もしかするとだが光属性の魔術だったりするのか?」
「もしかするとじゃなくて、本当に光属性の魔術だよ、ロロ。カレンが使用していたあの光る拳の魔術は、光属性特有の輝きと破壊力を秘めていたから、まず間違いは無いよ」
軍用都市『レイチィム』まで追い掛けて来た盗賊達と地下水道で運悪く遭遇した『バトル・マシーン』と戦った際にカレンが使用した『光の鉄拳』は、もしかして光属性の魔術なのではとロロは半信半疑でアイシャに問い掛けたら、アイシャはその問いを返り討ちにするかの如く、カレンが光属性の素質の持ち主である事の根拠を述べ、ハッキリと断言した。
「マジかよ? あ~~~あ、俺様の自慢が一つ減った気分だわ!」
「と言う事はアイシャ、一応、僕も光属性の魔法が使えるんだね!」
「そうだけど、ちゃんと使えるようになりたいなら、じっくりと発動練習に時間を掛けて〝コントロール〟のコツを覚えないと、魔法は使えないよ、カレン」
カレンも光属性の素質を持っている事実にロロは自慢の一つが減ったと嘆き、一方カレンは自分も光属性の魔法が使える事が発覚して、念のために熟練者のアイシャに可能か否か確認を取ると、魔法は急がずにじっくりと時間を掛けて、習得すべきだとアイシャは肯定と共にささやかなアドバイスを送る。
「って言うかお前、魔術が使えるくせに魔術の事を知らなかったのか?」
「……そうゆう事になるかな?」
「そうゆう事になるって、お前……はぁ、今更過ぎるけどお前って、本当に変な奴だなっ!」
魔術を扱えるのに魔術の事を知らないカレンにロロは人の事は言えないが、改めてカレンを変人呼ばりする。
「それ程でも」
「褒めてねぇよ!」
「………」
変人呼ばわりされたのに照れ臭そうな顔で恐縮するカレンに、猫のような耳がピンっと立ち上がって、素早い突っ込みを入れるロロ。一方その二人のコント紛いを無言で見詰めながら、アイシャは真紅の瞳とさっきまで無表情だった顔が呆れと笑みの色を見せた。
「「「!」」」
そして、一行が時間を忘れてワイワイと話しながら登山道を登っていると、一行はいつの間にか山脈の中に在る山道に辿り着いていた。