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ユニヴァース  作者: クモガミ
度重なる出会い
35/125

確保失敗

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


カレン達が『BATTLEバトルMACHINEマシーンTYPEタイプTYRANTタイラント〟』を退け、地下水道の入水路、つまり出口から外へ脱出しようとしていたその頃。

軍用都市『レイチィム』の基地の指揮を代わりに任せれ、カレン達と盗賊達を捕まえようとバトル・マシーンを起動させ、確保するように指示した『トロイカ』軍の『魔弾の巨兵』と言う異名で呼ばれている大佐は、『レイチィム』都市内に在る基地内の司令室の中に自身のオフィスに訪れた中尉と共に居た。

「『〝タイラント〟』完全に機能停止しました……」

ザザ~~~っと音を立てながら、白黒な波を映している四角い画面が付いている機械仕掛けの机の前に座っている制御管理兵は、画面の様子を見た後、椅子に座りながら、くるりと身体を90度に振り向かせ、後ろに居る大佐にバトル・マシーンの機能が停止したと呟くように報告する。

「…そうか」

同じ白黒な波を映している機械仕掛けの机の画面とは大きなの桁が違う、司令室の中央に垂れ下がっているように取り付けられている巨大画面の様子と、今、制御管理兵が言った報告に大佐は威厳溢れる態度を崩さぬまま、顔を少し俯かせた。

「大佐殿! 今すぐに地下水道の入水門の緊急閉鎖を!!」

同じ機械仕掛けの机の前に座って、制御管理兵の隣に居る、バトル・マシーンを操縦していた操縦兵が持ち場から飛び出すように立ち上がって、大佐に今カレン達が外に出る事を防ぐ為、地下水道の出口を塞ぐ、指示を仰いだ。

「無駄だ、入水門の緊急閉鎖は門が完全に閉まるまで、最低5分は掛る。今、彼らが外へ逃げる為に走って入水門まで行けば、2分も掛らない! もう手遅れだ……」

「………」

大佐の冷静な判断に操縦兵は悔しそうに無言で静かに自分の席に座った。

「しかし、本当にとんでもない奴等でしたね! 最新鋭の『バトル・マシーン=タイプ〝HUMANヒューマン〟』が全機やられたって言う報告を受けた時は、何かの冗談かと思いましたけど、まさか…『〝タイラント〟』がやられてしまうなんて」

「だが『〝タイラント〟』は、本来は敵機撃退及び殲滅用の大型『バトル・マシーン』なんだぞ! それを容疑者捕獲の為に火器の使用制限やパワーのセーブとかした御かげで、実力を三分の一まで低下してしまったんだ!」

負けたのが認められないのか、操縦兵は『タイプ=〝タイラント〟』を捕獲用に使ってから、元来の力が三分の一に下がってしまったと隣に座っている管理制御兵に反論するように抗議し出した。

「確かにそうだが、あともう少しで倒せたかもしれないじゃないか」

「その前にこっちが倒されたら意味が無いだろ! 動力源を破壊されたら『バトル・マシーン』なんて、只の鉄屑だ!」

「相手が『〝タイラント〟』の動力源の位置を知っていたとわな……」

制御管理兵は容疑者であるカレン達が『タイプ=〝タイラント〟』の弱点を知っていた事に感心したように小さく驚いた。

「大体場所も悪かった! 本来捕獲用で無い物を使って、あんなデタラメな三人組を相手にしてら、勝てる訳が無い!」

操縦兵は『バトル・マシーン』の操縦に自信があったようで、『タイプ=〝タイラント〟』の本来の実力を発揮できない状態と場所では、捕獲には向いていないのに使って、脅威の実力を持っていたカレン達を捕獲しようとも、無理だと吐き捨てるように言い放つ。

「その通りだな…」

と、大佐は二人の会話に混ざるように呟いた。

「も、申し訳ありません、大佐殿! 決して自分は、あなたの事を……」

「いや、貴官の言いたい事は良く分かる」

大佐の立てた作戦にケチを言ってしまった思った操縦兵は慌てて謝罪し、自分の言い分を弁明しようとするが、それに対して大佐は操縦兵が何を言いたかったかを悟ったのか、相手が言う前に言い止める。

「確かに性能は良いが、捕獲用では無い大型の『バトル・マシーン』、『〝タイラント〟』を容疑達確保の為に追わせたのは不適切だった」

操縦兵の言いたかった事を代弁するかのように、淡々と大佐は自身の不適切な判断を指摘しながら語り始めた。

「『〝タイラント〟』の装甲は『〝ヒューマン〟』の装甲よりも4倍近い硬度を持ってはいるが、そこに過信して容疑者を確保する為に使用武器の制限とパワーを半減させたのも、誤った判断だった」

「大佐殿、それは……」

「入水門の緊急閉鎖は一時的はとはいえ、『レイチィム』全体に混乱を招くので、最後の手段だと決めていたが、甘い決断だった」

自分自身が立てた作戦にミスが在った箇所を自ら指摘しながら、説明を続ける大佐の姿に制御管理兵は止めようと自分の意見を言おうとするが、それよりも早く大佐の言葉が飛ぶ。

「そして何より一番の誤りは『バトル・マシーン=タイプ〝ヒューマン〟』10機全てを破壊する程の未知数な力を持った、盗賊団よりもイレギュラーな存在であった例の三人組の力を甘く見ていた事だ」

大佐はカレン達の力を見誤っていた事が、自身の一番の判断ミスだと潔く、痛々しい感じなど微塵も見せないで堂々と告げる。

「どれもこれも、私の誤った判断の所為だ。御かげで『〝タイラント〟』一機を失うどころか、容疑者の三人組にまんまと逃げられるハメになってしまった……」

自身の不甲斐無さに呆れているのか、大佐は両腕を組んで、両目を閉じながら、小さな溜息を零した。

「フゥ…指揮官失格だな、私は」

この失態の大きな原因は自分であると考えた大佐は自分はまさに『指揮官失格』という考えに至った。

「そんな! 大佐、今回の件はハッキリ言って、我が『トロイカ』軍にとっては前代未聞です! このようなあまりにも不可思議で不測な事態が、大佐に全ての責任が在るとは到底思えません!」

まるで所詮自分なんかでは、指揮官など勤まらないと自身を卑下する物言いで呟いた大佐を弁護するように隣に居た中尉は自身の意見を唱えた。

「お言葉ですが、大型の『バトル・マシーン』、『タイプ=〝タイラント〟』の一機の損失や、南西方面の入水門の緊急閉鎖の判断、そして『タイプ=〝タイラント〟』を倒す程の力を持った少年少女の三組の逃亡にしろ、どれも大佐の配慮が行き届かない部分が在ってもおかしくは無いと思います!」

「軍でそんな言い訳が通じると思っているのか? 中尉」

今回の全ての責任は大佐には無い筈だと懸命に庇う中尉に大佐は、それを一蹴するように言い放つ。

「ですが……!」

「私は臨時とは言え、今週一杯はこの軍用都市『レイチィム』の指揮を任された身だ。つまりこの都市内で振り掛る、如何なる不祥事や襲撃に対して柔軟に対応し、解決しなければならない、それが指揮官たる者の務めだ」

軍と言う特殊な役柄、そして上司たる者の立場、そういう環境に立つ人間には言い訳など何の意味も成さないと大佐は中尉やこの司令室内に居る兵士全員に聞こえるように語る。

「この件の失態に関しては私が不適切な処置を施して、招いた結果だ。当然ながら私はその責任を取らなければならない……分かるな、中尉?」

「…はい」

大佐が語る正論に何も言い返せなくなった中尉はまるで自分の事のように歯痒い表情で返事をした。

「だが中尉、君が私の為に意見を唱えてくれたのは嬉しく思っている。その気持ちは有り難く受け取って置く」

自分の為に弁護してくれた中尉に、感謝の意を含めて気持ちを受け取ったと威厳溢れる態度まま大佐は自身の気持ちを素直に述べ。その言葉によって室内に漂っていた重苦しい空気が少し和らげ、中尉の歯痒い表情も和らいだ。

「大佐殿、まだ諦めるのは早いですよ!」

待っていたかのように、大佐と中尉との会話が終わって、やっと話せるタイミングが来たので、先程の操縦兵が大佐に話し掛けて来た。

「三人組には逃げられましたけど、強奪事件と暴動の主犯である盗賊団にはまだ逃げられていません!」

まだチャンスは有ると言いたげに、操縦兵は室内に居る全員に聞こえるように張りのある声で、盗賊達がまだ地下水道から外に逃げてはいないと思い出させるように話す。

「確か、三人組と戦闘の途中で、もう一方の『〝タイラント〟』が盗賊団らしき複数の生体反応を発見したと言う報告が有りましたよね!?」

「おお、そうだった! おい! 盗賊団はもう見つかったか?」

どうやらカレン達と戦っている途中で、盗賊団の方を追い掛けていたもう片方の『タイプ=〝タイラント〟』 が、持ち前の生体センサーで盗賊達らしき反応を見つけたようで、それについて操縦兵に言われて、思い出した隣に居る制御管理兵は、席二つ分先に居る、同じ機械仕掛けの机に座っている制御管理兵にその事を尋ねた。

「そ、それが…その……」

「ん? どうした?」

歯切れの悪いもう片方の『タイプ=〝タイラント〟』をシステム管理、ダメージコントロール、センサーでの索敵、それらを行ない、『バトル・マシーン』を操っている操縦兵のサポートを任せている制御管理兵に大佐は不審に思い、訳を尋ねる。

「じ、実は盗賊団らしき複数の反応を見つけて、反応している地点に向かっていたのですが、途中、その複数の反応が忽然と消えました……」

「何?」

「ど、どうゆう事だ、それは!?」

『反応が消えた』と言う盗賊達の方を追っていた制御管理兵の返事に、大佐は眉を吊り上げ、カレン達と戦っていた方の制御管理兵は訳が分からないようだった。

「分かりません……突然50以上在った生体反応が反応地点に向かっている途中に、一斉に消えてしまったのです」

制御管理兵は自分でも信じられないような顔をして、起こった事実をありのまま大佐及び室内に居る全員に伝える。

「センサーの故障ではないのか?」

反応が忽然消えたのは、センサーが故障したのではないのかと疑問に思った中尉は、その可能性を指摘した。

「せ、センサーは正常です! 今でもこちらの西側地下水道内では〝人間〟の反応は一つもありませんが、〝虫〟の反応ならそこら中に居ます!」

機械仕掛けの机に付いている四角い画面に映る映像を人間限定から虫限定に切り替えて、生体センサーに故障は生じてはいないと制御管理兵は問い掛けて来た中尉に証明する。

「そうか………では、反応地点にはもう着いているのか?」

「それでしたら、例の三人組によってあちら側の『〝タイラント〟』が破壊された時に、ちょうど着いていました」

中尉の質問にカレン達が『タイプ=〝タイラント〟』を倒した時にタイミング良く、こちらの『〝タイラント〟』は反応していた地点に着いていたと制御管理兵は答える。

「着いた時には、盗賊団の姿は?」

「ありません」

「本当に誰も居なかったのか?」

「はい、反応が消えので、急いで地点に向かい、そしてあちらの三人組の戦闘が終わった後に、やっと反応地点に着くと、反応通り、誰も居ませんでした」

「よく探したのか?」

「はい、人影どころか、猫の子一匹居ませんでした」

「……そうか」

生体反応が消えても、反応地点に誰か居れば、センサーの故障か何かだとその可能性を考えて問い掛けてみた中尉であったが、予想が外れていた制御管理兵の語る事実に対して中尉は気の所為か、落ち込んだように声のトーンがやや低くなった返事を返した。

「しかし、一体何で複数の生体反応が消えたんだ? 盗賊団の奴等、幽霊にでもなって消えたか?」

センサーの故障で無ければ、何故複数の生体反応が消えたのか、それが分からない操縦兵は冗談交じりで呟いた。

「…恐らく奴等は、地下水道に隠し通路を作っていたのだろう」

「か、隠し通路ですか?」

地下水道と言う限られた空間で、生体反応の消失、50人以上居る筈の盗賊達の姿が何処に居ない、この二つの謎に大佐はある可能性が頭に浮かんだ。それが隠し通路であり、制御管理兵は聞き返すように言った。

「大佐殿、地下水道内に盗賊団の隠し通路が在ると言うのですか!?」

「考えられない事ではない、奴等が警備の行き届いていない地下水道から『レイチィム』に自由に出入りしているなら、地上から地下水道に続いている隠し通路を作っていてもおかしくは無い」

「た、確かに……」

「それに、西側地下水道は南東側とは違い、入水門が運河の水脈に直接繋がっている為、入水門からの脱出は不可能、つまり西側は〝出口〟が無い訳だ」

大佐の考えを聞いて操縦兵達や制御管理兵達は感応されたのか、盗賊達の逃走方法が頭の中で描かれるかのように浮んだ。

「そもそも連中は三人組とは違い、大人数では狭い空間でも有るのにも関わらず短時間で地下水道内の奥まで進んでいた、これは盗賊団が地下水道の通路構造を完璧に把握していると判断して間違いは無い。しかも奴等はそこに目的の何かが在るかのようにわざわざ地下水道の中に入って行った」

「い、言われてみれば……」

盗賊達の手際の良さと行動を分析して、大佐は兵士達に自身が推測した答えを導き出そうとしていた。

「そして、何より決定的なのが、生体反応の消滅だ! 生体反応の索敵は『〝タイラント〟』の生体センサーが地下水道内の至る所に設置してある同じ生体センサーと連携して空間内全体の生体反応を拾い上げる。だがつい先程、あった筈の生体反応が突如として消え、及び現在西側地下水道内に人間の生体反応が無い! ……という事は」

「「と言う事は…?」」

操縦兵達と制御管理兵は口と耳を揃えて、説明の続きを聞く。

「盗賊団は生体センサーの索敵範囲が行き届かい場所に移動した……センサーが索敵できない場所、つまり連中が隠し通路に逃げ込んだなら辻褄が合う!」

「!」

生体センサーは地下水道内なら生体反応を拾い上げる事は出来るが、逆に言えばそれは地下水道以外の場所ではその反応を拾う事は出来ない、生体反応の消滅、つまりそれは盗賊達が地下水道の外に出た事を意味しており、大佐の解説により室内の兵士全員は頭に電撃が走ったように気付かされる。

「大佐! でしたらもう奴等は……」

「ああ、三人組と同じ、もう地上に出ているのだろうな」

生体反応の消滅と盗賊達の姿が見当たらない、この二つのトリックが分かった時点で大佐を始め、中尉と室内に居る兵士全員が盗賊達の地上への逃亡を悟った。

「これで、盗賊団にも逃げられたか……」

「「「「「「………」」」」」」

三人組に続いて盗賊達に逃げられた事実に大佐は恥じる事無く呟き、兵士全員は掛ける言葉が見つからず、室内は暫しの間、沈黙が支配した。

「だが、まだこれで、終わった訳じゃない!」

静まり返った周囲に喝を入れるように大佐は、声を上げる。

「君! 逃亡した三人組を目撃した住民から目撃情報を元に似顔絵付きの手配書を作成し、出来次第、『レイチィム』及び各周辺の村町に配布させよと情報管理部の報道兵達に伝えてくれ!」

「あっ、はっはい! 了解しました!」

「それと君! 懲罰部隊に盗賊団が逃げ込んだ西側地下水道で、奴等の生体反応が在った反応地点に向かわせ、奴等が使ったと思われる隠し通路を見つけ出せと連絡してくれ!」

「は、はっ! 分かりました!」

大佐は追跡をまだ諦めた訳では無く、二人の通信兵にカレン達と盗賊達の両方に追跡の施しを伝える。

「中尉! 今から君は私と共に兵舎に向かい、地上に逃亡したと思われる盗賊団及び、三人組に対しての追跡部隊と調査部隊の編成を行なう! 付いて来てくれ!」

「ハッ!」

追跡部隊と調査部隊の派遣の為に大佐は中尉に兵舎の同行を命じ、中尉は凛々しく敬礼して命令を了承し、二人は司令室を後にしようとした。

「そういえば中尉、〝例の客人〟はどうした?」

すると大佐はドアの前で、ある人物の事を思い出し、その人物が今、どうしているのか中尉に尋ねた。

「客人でしたら、随分前にこの都市からお帰りになられました」

「何時頃だ?」

「宿屋『カルテル』の片隅で、三人組と盗賊達が懲罰部隊から逃げだした直後です」

「そうか……見苦しい所を見られずに済んだと言う事か」

余程その客人は、身分が高い人物なのか、或いは国のお偉いさんなのか、どちらにしてもこんな時にその人物が自分達の失態を知られなくて良かったと大佐は溜息と一緒に呟いた。

「諸君、都市内の住民に対する避難勧告を一時解除するように通信塔に居る兵士達に伝えてといてくれ! 私達は兵舎に向かう、何か変化があったら知らしてくれ!」

「「「「ハッ!」」」」

室内に兵士全員は一斉に立ち上がり、一斉に敬礼を行ない、大佐の命令を了承し、そして大佐と中尉は敬礼を見届けた後、司令室を後にした。

「「………」」

司令室に出て直ぐ、二人は兵舎に続いている廊下を歩き始めたが、何処か二人にはカレン達や盗賊達の事が頭の中で引っ掛かっているようで、お互い無言の状態で肩を並べて歩いていた。

「しかし、本当にとんでもない連中でしたね? 大佐」

「……あの少年少女の三人組の事か?」

この気まずい空気をどうにかしようと思ったのか、兵舎に向かう為の廊下で中尉は大佐にカレン達の話を持ち掛けた。

「ええ、監視カメラが壊わされて素顔を撮る事や拝見するも出来ず、赤外線カメラで姿形を捉える事しか出来ませんでしたが、それでも彼らの戦闘力は十分に拝見出来ましたね」

「ああ、私から見て三人の内、二人はかなりの手馴れと見た」

「でしょうね、『〝ヒューマン〟』の4倍近くの硬度を持つ、『〝タイラント〟』の装甲を貫くなんて、思いもしませんでした」

大佐と中尉は『タイプ=〝タイラント〟』の赤外線カメラを通して、カレン達の戦いぶりと実力を見極めていたようで、大佐はカレン達三人の内、誰かは分からないが二人は相当な強者だと語る。

「それにしても若かったなぁ、あの三人組は」

「分かるのですか、大佐?」

「カメラ越しに若さを感じた……三人組は、十代後半と見て良いだろう」

ついでに大佐は、自分が戦っていた訳でも無いのに、直感的な勘で的確にカレン達の年齢を言い当てた。

「それは……長年の経験で分かる物なのですか?」

「この歳になるまで戦っていれば、自然に身に着く物さ」

中尉がまだ得ていない物は、追い追い年を取れば、気付かない内に身に着いていると大佐は、自身の経験談を述べた。

「だったら、私がそうなるには、まだまだ先の話しですね」

「いや、中尉の実力なら、私よりもモット早く身に着くかもしれんな」

「まさか、私が大佐よりも早くそれを身に着けるなんて、とてもそうは思えませんよ」

大佐と中尉はお互いに苦笑いを浮かべながら、自分が思った感想を言い合う。

「まぁ、この話はまた今度にして、今はこれから追跡部隊と調査部隊に派遣させる為のメンバー選びと構築を兵舎に向かいながら話す事にしよう、中尉」

「……了解しました!」

二人はお互い話している内にさっきまでのカレン達や盗賊達に対する失態で出来た心の中の憂いが少し晴れたようで、大佐は追跡部隊と調査部隊の人選選びと構造の配慮を持ち掛け、中尉は快さそうに了承した。

「私が推薦するに――――」

中尉が早速話を進める中、大佐は話を聞きながら頭の中の片隅で、ある事を考えていた。

「(三人組の内のあの一人の……あの構え、あの技、あの戦い方……そして中尉に報告で聞いた人物の特徴を照らし合わせても、間違い無い!)」

大佐はカレン達が『タイプ=〝タイラント〟』と戦っている中で、自分が知っている人物がカレン達、三人の中に一人居ると赤外線カメラを通して確信していた。

「(……あいつは、一体何をしているんだ?)」

誰にも聞こえない心の中でそう呟いた大佐は中尉と意見を交わしながら共に兵舎へと向かって行った。


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