エネルギー・フィールド
身を挺してロロだけを逃がしたカレンは寸前まで近寄って来た火の噴射で宙を音速で前進する鉄の塊を大剣を側面にして防ごうとしたが剣がそれに当たった瞬間、鉄の塊は破裂するに爆散し、火柱を立ててカレンごと周囲の物を爆風で吹き飛ばした。
「ッ! カレン!!」
「はっはっはっはっ! 木っ端微塵だぜ!!」
粉塵が舞ってカレンの姿は見えないがカレンの周り在った物は粉々になっており、タダで喰らったら一溜りも無い事は明らかで、ロロは自分だけを逃したカレンを叫んで呼び掛けるが顔は真っ青になっていて、それとは反対してスキンヘッドの盗賊は嘲笑うかのようにカレンが粉々になったと笑い飛ばしていた。
「「!!!」」
しかし、粉塵が次第に薄れていくとそこには一つの人影があり、その人影はカレンであった。
「な、なんだと!?」
目の前の光景に眼を疑うスキンヘッドの盗賊、それもそのはず、ミサイルの爆発をモロに喰らっていたはずカレンが立っていて、しかもそのカレンを守るように球状の山吹色の光がカレンの周りを包み込んでおり、当の本人は全くの無傷だった。
「カレン……おまえ……!!」
「ENERGY……FIELD?」
無事な姿でいたカレンにロロは安堵の表情を見せ、アイシャはカレンの周りを包み込んでいる山吹色の光に推測範囲ではあるがその正体の名前を言い当てる。
「これは………!?」
爆発の瞬間、眼の瞑ってしまったカレンは今の状況が掴めず、何が何だが分からない状態で自分の周りを包み込んでいる光に眼を奪われるがその光は次第に薄れていって、やがて消滅するように消えていった。
「…………」
自分の体を見て怪我が一切無いと確認するカレン。
どうやらあの光はミサイルが爆発する前に現れて、カレンを爆風から完全に守っていたようだ。
「!」
するとカレンの魔装器でもある大剣の剣格部分に在る碧い水晶のような珠からまた文字が浮かび上がった。
「ENERGY・FIELD?」
『水底の洞窟』での時と同じ、この浮かび上がった名前がカレンを包み込んで守ったあの光の名称らしく、カレンはまた新しい魔装器の力に助けられたが、ここで少しの疑問がカレンの頭の中に生まれた。
それはカレンが『ビーム・カノン』の時とは違い、この新しい力をどうやって出すのかが分からないのであった。
「しぶとい野郎だ………お前ら! あのボウズに集中攻撃だ!!」
負けん気とスキンヘッドの盗賊はバトル・マシーン全機で集中攻撃の指示を出し、10体のバトル・マシーンが両腕を前に出して、右手の『6mmバルカン』と左手の『ランチャー・ミサイル』をカレンに向けて標準を合わせる。
「ッ!!」
「や、やべっ! カレン、逃げろ!!!」
「(だめ! 此処では逃げ場が無い!!)
逃げろと叫ぶロロであったがアイシャが思っている通りにカレン達が戦っている所、宿屋の片隅は大人数で戦うには大分狭く、しかもカレン達は宿屋の壁を背にしている為、距離を空けて避ける事も後ろに下がって避ける事も出来ない状態であるのであった。
「(このままじゃ………やられる!!)」
今にも盗賊達の攻撃が火を噴きそうで、カレンは焦りながら頭の中で打開策を考えようとした……その時
「(………念じるんだ!)」
「!」
頭の中で前にも聞いた事がある声が響いた。
「(これは………あの時の同じ!?)」
「(念じるんだ……そうすれば、さっきと同じように光がお前を守ってくれる)」
これもまたカレンが『水底の洞窟』で聞こえた謎に包まれた声であり、そして同時にこの声はカレンが『水底の洞窟』を脱け出すのに魔装器の力の秘密を教えてくれた声でもあった。
「(強くイメージして念じるんだ……さすれば魔装器はお前に応えてくれる。そして……また新たな力を解放する!)」
「(強く念じる………?)」
以前、謎の声のアドバイスにより助けられたカレンは、今回もそのアドバイスに耳を貸し、素直に話しを聞き、念じるという言葉に強く反応する。
「(お前の心の力次第で、魔装器は更なる力を発揮する! 今言った事は決して……忘れるな)」
「(……!)」
言いたい事だけ言って、頭の中で語っていた謎の声は急に途切れ、カレンは謎の声を聞いている中、まるで時が止まっていたかのような感覚に陥っていて、盗賊達がバトル・マシーンで攻撃を開始する所で我を取り戻した。
「野郎共、撃ちかましてやれーーーーーー!!!」
掛け声と共に10体のバトル・マシーンが火を噴き、カレンに向けて銃弾とミサイルの雨を乱射した。
「強く……念じる!!」
頭の中で語った謎の声の言う通りにカレンはさっき自分を守ってくれた山吹色の光を強くイメージして、そして光が自分を包み込むように強く念じた。
「カレン!!」
「!!」
発射された銃弾とミサイルの雨は瞬く間にカレンに直撃し、前の爆発と爆風とは比べ物にならない程の爆発と爆風が起こり、この『レイチィム』全体に響き渡る程の莫大な爆音が鳴り響いた。
「はっはっはっはっ! 今度こそ、こっぱ……」
圧倒的な火力で撃ちこみ、今度こそカレンが木っ端微塵になったと思ったスキンヘッドの盗賊は言い終わる前に眼に信じられない物が飛び込んで来て、言葉を失う。
「………!」
それは舞う粉塵の中でバトル・マシーン10体の攻撃を喰らいながら、その場に人の姿を保って立っているカレンの姿が在ったからだ。
「カレン……お前って不死身かよ!!?」
バトル・マシーン10体の攻撃に生きてはいないと思っていたロロは2度無事な姿で生きているカレンに、感動を通り超えて逆に突っ込んでしまった。
「(やっぱりあれは、『エネルギー・フィールド』!)」
「(出来た! 念じたら、本当に出来た!!)」
粉塵が薄れていくとカレンの周りをまた球状の山吹色の光が包み込んでおり、今度はカレンの自身の意思で呼びだしたようで、体も2度目の攻撃でも全くの無傷であり、アイシャも2度目の同じ光景にカレンを包み込んでいる光の正体を確信した。
「ど、ど、どうなってんだ!? 一体何なんだありゃ!??」
またしても無傷のカレンに、コクピット越しに一汗の焦りを見せるスキンヘッドの盗賊と驚きを隠せない盗賊達。カレンはその戸惑った隙を見逃さず、球状の光を瞬時に解き、大剣の剣先を最初にビームで射抜いたバトル・マシーンに向け、トリガーを3回押す。
「ビーム・カノン!!」
取っ手部分に在るトリガーを3回押して為、中央から別れた剣の刃と刃の隙間から光の矢が3本も飛び出し、真っ直ぐ伸び、光速の速さで狙いのバトル・マシーンに飛んで行く。
「!!」
3本の光の矢はバトル・マシーンの左手と両脚にそれぞれを溶かし射抜き、左手は爆散し、両脚を無くした機体は崩れるように脆くも地面に仰向けに倒れ込む。
「ひ、ひっ!!」
破壊された箇所から火が燃え上がり、怖気づいてバトル・マシーンのコクピットから慌てて脱出する一人の盗賊。
「な、何やってんだ! もう一度撃てーーーー!!」
とうとう一機がやられて、焦ったスキンヘッドの盗賊は再びカレンを撃てと指示を出し、バトル・マシーン達はもう一度カレンに攻撃を開始する。
「!」
しかし、カレンはもう焦る事無く大剣を前に構え、強く念じ、それに応えるように魔装器である大剣の全身から山吹色の光が漏れ出し、カレンの周りを再び包み込む光が球状の形を作り出す。
「ち、畜生!! 何で効かねぇんだ!!?」
バトル・マシーン9体が放つ、銃弾とミサイルの雨はカレンを守る球状の光もとい『エネルギー・フィールド』によって、ことごとく弾き返され、かすり傷も付けられない事にスキンヘッドの盗賊は、更に焦りを強くし、そして顔に焦りと不安の色を出す。
「これ以上は、やらせっかよ!!」
このまま只見ていては駄目だと思ったロロは例え相手の攻撃を防いでいても反撃できないカレンを援護する為に、ロロは弓を構えてまだ攻撃を続けているバトル・マシーンの1体に矢を放った。
「ん?」
しかし、飛んで行った矢は、バトル・マシーンのコクピットの中に入る為の扉でもあるガラスに少しヒビが入る程度に浅く刺さっただけであり、中に乗っている盗賊はガラスに矢が刺さっていると遅れて気付く。
「強化ガラス!? ちっ、コクピットの防御も万全かよ!」
「………」
剣も槍も通用しないバトル・マシーンに装甲を狙わずにコクピットのガラスの扉を狙って矢を放ったロロであったが、鋼鉄には及ばないがガラスとは思えない強度のガラスに矢が通じず、舌打ちをするがロロに対して、アイシャは何も問題が無いみたいに銃を構え、別の1体のバトル・マシーンに銃口を向ける。
「SONIC・BREST!!」
そう言って銃の引き金を引いたアイシャの銃は、発砲時に銃弾が爆発したかのように衝撃波と共に発射され、まるで風を纏ったように風の塊が銃弾を包み、ソニック・ブームを起こして、狙ったバトル・マシーンに一直線に伸びて飛んで行く。
「!!」
「え……!?」
風を纏った銃弾はバトル・マシーンの右腕の肘に当たる部分に直撃し、右腕は銃弾一発に射抜かれたと言うより砕かれたように破壊される。
「じゅ、銃弾一発で、どうやってあの装甲を!?」
バトル・マシーンの装甲に頭を悩ませていた時に隣で別のバトル・マシーンを被弾させたアイシャにロロは一体どうやったのか疑問に思うと。アイシャはその事を予知したのか聞かれる前に答え出す。
「あのバトル・マシーンの装甲は硬いけど、関節部分は極端に脆い! そこを狙えば完全に破壊する事は出来なくても戦闘不能には出来る筈だよ!」
「関節部分を? ……よし、分かった!」
意外な弱点が判明し、ロロはアイシャの有り難い助言に感謝しながら、もう一度弓を構え、矢の刃に『マナ』を流し込み、『マナ』は赤いオーラと成って刃に纏い、ロロはその赤いオーラを纏った矢をさっき狙った放ったバトル・マシーンに再び標準を合わせる。
「彗星!!」
赤いオーラを刃に纏った矢をバトル・マシーンに放つロロ、矢は通常の放つ矢と3倍以上の速度で赤いオーラが線を作るように空中を進み、バトル・マシーンの足の膝に当たる部分に食い込むように刺さる。
「!!!」
膝に刺さった赤いオーラの矢は、刺さった直後、赤いオーラが膨れ上がるように眩い赤い光を放ち、突如爆発する。
「よっしゃ! どんなもんだ!!」
爆発の所為でバトル・マシーンは両脚を破壊され、立つ事が出来なくなってしまい、木が切り下ろされるようにうつぶせに倒れ込む。
「よくも!!」
右腕を破壊され、仕返しに左手の『ランチャー・ミサイル』でアイシャに攻撃しようとバトル・マシーンの一機が左腕を上げた。
「!」
「あ、あぶねぇ!!」
向けられた凶器の左手にアイシャは、避けようと体を動かそうとした時、ロロはアイシャの危険を反応して、手際の良い速さで弓をバトル・マシーンに向けて矢を放ち、まるで吸い込まれるように矢はバトル・マシーンの左手に飛んで行く。
「!!?」
針の穴に糸を通すように、矢はバトル・マシーンの左手のミサイルの発射口の中に入って行って、矢が中に在る発射される前のミサイルに刺さり、ミサイルは中で起爆してしまい、左手はおろか、左腕ごと破壊してしまい、更にミサイルの爆発で発生した爆風で地面に沈むように倒れ込んでしまう。
「は……入っちまった………」
「………」
「「お、お助けーーーーーー!!」」
偶然なのか狙ってやったのか真意は分からないが、ロロは自分が極めて難しいと思える芸当をやり遂げた事に自ら唖然とし、アイシャもロロの芸当に驚きの眼差しを向け、そしてバトル・マシーンを破壊された盗賊の二人は、バトル・マシーンから捨てるように脱出し、恐れをなして、助けを呼びながら逃げて行った。
「「「「「ちょ、調子に乗るな! 貴様等!!」」」」
「「!」」
怯んで攻撃を躊躇していた突撃係の盗賊達は状況が変わって来たと不安になって、負ける訳にはいかないと思い。最初の方の攻撃で仲間の半数以上が戦闘不能になってしまったが、残りの人数でカレン達を倒そうとまずはアイシャとロロに突撃を再開した。
「(! アイシャ! ロロ!)」
「こ、こっちに来やがった!」
「けど、間合いは十分有る!」
自身に降り掛って来るバトル・マシーンの攻撃に防いで動けないカレンは攻撃の最中、二人が自分の動けない隙に盗賊達に狙われていると気付き、ロロは自分達の所に突進して来る盗賊達を向かい撃とうと矢を大量に鞄から出そうとするが、アイシャはそれよりも早く弾を即座に補充し、銃口に狙いを定める。
「TRICK・BREST!!」
さっきとは違う名前で盗賊達に狙いを定めて発砲した銃口とは裏腹に、放たれた複数の銃弾は本来向けられた方向に進まず、まるで自由自在に空を飛ぶ鳥のように銃弾はあらゆる方向に向きを変えながら進み飛び、それぞれ銃弾は盗賊達の手足に直撃する。
「!!!」
自分には銃口を向けられていないと思っていたそれぞれの盗賊達は急に手足に激痛が走り、何故銃弾が自分の手足に当たったんだと、心の中で叫びながら、痛みで走る事を停止させられ、体が傾き、地面に転がり込んで倒れてしまう。
「た、弾が軌道を変えた!?」
「「「うおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」」」
「!」
まるで手品みたいに銃弾の軌道を変えて盗賊達をまた倒したアイシャに驚くロロであったが、盗賊達は仲間がやられても今度は立ち止まらず、決死の覚悟で走り抜いた3人だけがアイシャに襲い掛かると剣を振り上げる。
至近距離まで来た盗賊達にアイシャは冷静にすかさず腰の辺りに掛けていた大きめのナイフを取り出し、脚を一歩前に駆け出した。