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ユニヴァース  作者: クモガミ
始まりの一日
20/125

銀髪の少女と金髪の………

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


その頃カレン達は通路でバッタリ会った男達が盗賊だという事がわかり、おまけに自分達が目標の獲物である事がバレてしまい、今その盗賊達から逃げる為に更にもっと上の階に逃げ込んでいた。

「上の階に行ったぞ! 逃がすな!!」

下の階段からカレン達を追い掛けて来た盗賊達の声が響く、カレン達は盗賊達から逃げようと上の階の長くて広い通路を全速力で走っていた。

「どうするの、ロロ?」

「と、とにかく! こうなっちまったらもう四の五の言ってられねぇ!」

走りながら対策を練るカレンとロロ。

「いいか? 1、2の3! って言ったらお互いそれぞれ違う反対同士の部屋に飛び込むんだ!」

「反対同士のそれぞれ違う部屋? どうして?」

「こうゆう時、二人一遍に捕まったら、助かる術が無い! もしお前か俺のどちらかが捕まった時に、捕まっていない方が捕まった方を助けに行けるからだ!」

例えどちらかが捕まっても、捕まっていない方が助けに行ける、もしくは誰かに助けを呼ぶ事が出来るからと、ロロは振り絞った知恵でこれが最善策とカレンに説明した。

「成る程……………わかった!」

「よし! じゃあ早速行くぞ! 1、2の……」

理由を理解したカレンはロロと一緒に走りながら部屋に飛び込むタイミングを計って、指示通りのカウントダウンが始まり、最後の合図を心の中で待ち。そして。

「3!!!」

「!!」

最後の合図が出され、左右に在る部屋のドアにお互いそれぞれに体当たりをする。タイミング係のロロが一番早くドアに体当たりして、その部屋に入り込み、一方カレンは一歩遅かったが、ロロより奥の反対側のドアに体当たりして無事に部屋に入り込んだ。

「ふぅ………ん?」

何事も無く部屋の中に入り込めたと思ったカレンであったが今カレンが居るリビングと思われる所に人の気配を感じ、その気配がする方向に目を向けると。

「………」

そこには風呂上がりだったのか、バスタオルを体に巻いて小さなタオルで頭を拭いている、潤いた銀髪の少女が居た。

「……」

まさか部屋の中に人が居るとは思いもしなかったカレンはまるで悪事を見られたかのように身体を硬直していまい、少女のバスタオル姿に思わず唖然とする。

「!」

突然の不法侵入と思ってしまう程の訪問に少女も少し唖然としたが素早く我を取り戻し、タオルを投げ飛ばして近くの低い棚の上に置いて在った手と同じ位の大きさの銃を取り出す。

「動かないで!」

「!」

眼つきが鋭く変わって、取り出した銃をカレンに一瞬と思えるくらいの速さで向け、撃つ構えを取る少女。

「あ……」

そして、少女が銃をカレンに向けた瞬間、体に巻き付けていたバスタオルが勢い良く銃を構えた所為で、外れてしまい、重力に従ってゆっくりと落ちて行った。

「「………」」

全身の大半を隠していた一枚肌のバスタオルが取れてしまって、少女は文字通り、全裸になってしまい、カレンはモロに少女のスラッとした細くて奇麗な手足とたわわに実った二つの果実を宿した豊満な裸体をモロ拝めてしまい、つい見惚れてしまうが直ぐに顔を背けた。

一方少女は自分が全裸になっても、男のカレンに見られてもまったく動じず、頬も赤く染まらず無表情のまま、銃をカレンに向けて構え続けた。

「両手を上げて、両膝を床に着いて………」

目を鋭くしたまま声を尖らせ、冷静な態度でカレンに自分の指示を要請させる少女。カレンは少女の言われた通りに無言のまま両手を挙げ、両膝を床に付けた。

カレンはこの後どうなるのか今はそんな気持ちで一杯だった……一方ロロの方では。

「(無事に入り込めたな………カレンの方も多分大丈夫だろう)」

ドアを背後して部屋のドアを閉め、自分とカレンが何事も無く入り込めたと思い込んだロロは部屋のリビングに足を運ぶ。

「さて……問題はこの後―――――」

溜息を吐いて、次はどうするべきか口に出して考えようとしたロロであったが、リビングの奥の方から扉を開けたような物音が聞こえた。

「(! や、やべ! だ、誰かいるのか!?)」

物音に驚いたロロは部屋の中に誰か居るのかと警戒する、物音がする方に目を向けると『バスルーム』と書かれたドアが在り、その扉がゆっくり開き始めた。

「……」

生唾を飲んで誰が出てくるのか胸の鼓動が昂る中、その扉から長くて綺麗な金髪をした人物がバスタオルを巻いて出て来た。

「(ま……まさか…!?)

湯気が舞って良く姿が見えないがロロはバスルームから出て来た人物がカレンの探している長くて綺麗な金髪の少女かと心の中でそう思ってしまう。だが。

「あら? ボウヤ、何の用かしら?」

「………」

出て来たのはバスタオルを身体に巻いた長くて綺麗な金髪と、ムキムキと筋肉が膨れ上がった肉体や体毛が濃いのが特徴の、唇に真っ赤な口紅をした中年の男性でその姿を見た途端、ロロは体が真っ白く硬直して顔から生気を無くし、開いた口が塞がらない長い唖然を体験した。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


そして、数分の時が流れ、ロロは部屋に居た金髪の男性に事情を話し、事情を理解してくれた男性は快くロロを部屋に匿ってくれる事になった。

「エライ目にあったわね~~~ボウヤ、私はクレオ・トッピ―、クレオって呼んだね♪」

「ろ……ロロ・グライヴィーです……」

着替えが終えたクレオという金髪の男性は如何にも、一見筋肉質で逞しい体をしている背の高い巨漢に見えるが体をクネクネさせて、裏声のような高い声を出し、まったく普通の男性としてでも捉える事が出来ないロロであった。

「(部屋に匿ってくれたのは嬉しいけど……何故か身の危険を感じる!)」

騒がれる事も無く、部屋に匿ってくれたクレオに自身も自己紹介するロロであったが、相手の外見が全く当て嵌まらないクレオの態度とオカマ口調に、引き気味というかもう完全に引いているロロは相手クレオの顔から目を背けていた。

「でも~~~~盗賊に追われている理由は分かったけど、ロロちゃんともう一人のボウヤは何で此処レイチィムに来たの~~~~~?」

もう馴れ馴れしく人をちゃん付けで呼んで来るクレオは、興味本位なのかロロとカレンが此処レイチィムに来た理由を尋ねて来た。

「お……俺は『カム―シャ』に向かう為の大橋が直るまで、この宿屋に泊まりに来ただけで……あと連れは此処に来たと思う、金髪の女の子を探しに来たんです」

連れと言うのはカレンの事を指しているらしく、ロロは目を背けながらも自分達の目的を素直に、クレオに話す。

「金髪の女の子? どうゆう女の子なの?」

金髪の女の子という言葉に反応したクレオは、首を傾げて聞き返す。ロロは特に話してはいけない理由も無く、匿ってくれた恩もあり、これも素直に話そうとする。

「えっと……長くて綺麗な金髪に、蒼く透き通った瞳と、それに見合った整った顔の美少女っていう外見だったような………?」

その少女の特徴を妹のイミナの証言を思い出しながら、口に出すロロ。

「それだけ? 他にはもっと特徴は無いの?」

「あと他には………」

今の話した特徴では掴めないらしく、クレオはもっと他の特徴を尋ね、ロロもイミナが言っていた証言を更に思い出す。

「メイド服とドレスを2で割ったような見慣れない服を着ていて、あとは………」

思い出そうとロロは頭の片隅にうろ覚えな記憶、今日の朝、妹のイミナとの会話を掘り起こそうとした。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


これは今日の昼になる前のロロの記憶。

「はい! お兄ちゃん、お店の差し入れだよ!」

お店の休み時間を利用して、家に戻って来たイミナは自分の働いている食糧屋の雇い主からいつも良く働いているご褒美という理由で、お店の食糧を少しであるが有り難く分けて貰い、ようやく起きた兄のロロの為に、貰った食糧を朝食として差出す。

「ああ…ありがとうな……イミナ」

昨日徹夜でお手製爆弾を作っていたロロは、眠たそうでもわざわざ朝食を持って来たイミナの為に重い腰を上げて欠伸を掻きながら家の食卓テーブルの所まで起きて歩いて来た。

「あっ、お兄ちゃん聞いて! 今日朝早くお店に、外から来たお客さんが訪ねて来たんだよ!」

「へぇ……そいつは珍しいな」

『カム―シャ』では余所の所から来る人は珍しく、イミナは今日朝早く出会った人物についてロロに話し、ロロはイミナが出会ったその人物について少し興味が湧き、食卓テーブルの椅子に座って、眠たそうだが妹の話の続きを聞く。

「その人、すごく綺麗な人でね! 同じ女の私でも惚れ惚れしちゃうくらい綺麗な女の人なんだ!」

「ほう……それで?」

「それで、長くて綺麗な金髪で、蒼くて透き通った様な瞳で、顔はそれに以上に綺麗なお肌で、とっても美しくて可愛い顔なの!!」

少し興奮しているのか、特徴の表現が大袈裟に感じるロロであったが、特に気にする事も指摘する事も無く、妹の話を淡々と聞き続ける。

「あと、見た事の無い服を着ていたわ……まるでメイド服とドレスを足して2で割ったような青と白の服を………」

「なんだそれ?」

我が妹ながらよく分からない服の表現をして、突っ込みを入れるロロ。

「あっ! あと確か……頭に――――」

この後のイミナの発言にロロはある事を思い出す。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


そして、掘り起こされた記憶にある事を思い出したロロは、それを腹から昇って口に吐き出すようにクレオに話す。

「確か………右耳の上の辺りに碧い円状の髪留めを付けていったって…………」

この最後の特徴が決め手だったのか、これに反応したクレオは何か心当たりがあるようかのように思い出して、ハッと目を見開く。

「そのいう子……私、見掛けたわよ!」

「えっ!?」

やっと思い出した特徴に、応えるかのように見覚えがあるとクレオはロロに告白する。

「ど、何処で見掛けたんですか?」

恐る恐る低姿勢でロロはクレオにその心当たりがある人物を尋ねる。

「あれは……今日の朝が来て、大分経った後の事だったかしら、この『レイチィム』に入る為の門の出入り口で入れ替わるように会ったわ……」

遠い過去を思い出すように目を細くして遠くを目詰めるクレオ。

「私よりも綺麗な金髪だったから、よく覚えているわ……確かに見た事の無い、メイド服のようなドレスのような服を着て、右耳の上に宝石のような碧い円状の髪留めをしていたわ……」

羨むようにその少女の見掛けた時の事を語るクレオの目はまるで憧れを見るような少女の目であったが、クレオは実際、男であるからそんな似やわない目をロロは見て、吐きそう気持ちを必死に心の中で抑えた。

「で……で、何処に向かったか、分かりますか?」

込み上げる気持ち悪い気分を必死に隠しながらロロは、少女の行方を尋ねる。

「そうね…あの先は多分、『白霧山脈ホワイト・マウンテン』だったわね」

「ほ、『白霧山脈ホワイト・マウンテン」!?」

その言葉を耳にした瞬間、ロロは顔をギョッとさせた。

「そ、それは間違いないんすか!?」

「ええ、あの先に在るのはそれしか無いわ」

聞き間違いだと淡い願いが崩れたように愕然として両手と両膝を床に着いてしまうロロであったが、直後に頭の中で過去を振り返って見ると在る事に気付く。

「あっ……そうだ! その女を追い掛けているのは、俺様じゃなくて、カレンの方だった! 何だ、別に俺が気に悩む事じゃ無かったんだ!!」

少女を追い掛けているのは自分じゃなくて、カレンの方だと思い出したロロは安堵の表情を見せ、後ろの在ったベッドの上に座り込む。

「お役に立てたかしら?」

自分の見た少女が探している人物で、お役に立てたかをロロに聴くクレオ。

「えっ? あ、ああ……も、もちろんです! ありがとうございます!」

証言の外見が一致した事にその少女がカレンの探している人物で在る可能性が高い為、情報をくれたクレオにカレンの代わりに頭を下げて感謝をするロロ。

「あらん♪ お役に立てて、よかったわん~~~……そ・れ・で~~~~ロロちゃん~~~~~~♪」

気分が良くなったのか、急に声を高くして、甘い声とは違い、奇声なような気味の悪い声でロロの名前を呼び、一歩近づくクレオ。

「は……はい?」

一歩こちらに近付いてきたクレオに、何故か背筋がゾッと凍りつくみたいな寒気を感じるロロ。

「一目見た時から……ずっと思っていたけど……」

内股で体をクネクネさせながらまた一歩、更にもう一歩、そしてまたもう一歩とどんどん近付いて来るクレオ。

「な……な……何でしょうか?」

近寄って来るクレオに猛烈に引きたいロロであったが、ベッドに座っている状態なので引く事が出来ず、全身の毛が反り立つような感覚に襲われ、ロロは身の危険という物を肌で今日2回も感じる。

「あなたって……私の………好みなのよねっ!!」

「っ!!!」

嫌な予感が的中したように突然上着を脱ぎ出したクレオに絶句するロロ。クレオは露出した上半身のまま腕を大きく広げ、ロロに抱き着こうとした。

「し、し、失礼しましたっ!!!」

至近距離に近付いて来たクレオをスレスレに掻い潜って避け、出口の扉に一直線に走りだし、勢い良く体当たりをして部屋の外に転び上がりながら脱出し、ロロは通路に戻って、振り掛って来た身の危険を回避した………が


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