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ユニヴァース  作者: クモガミ
始まりの一日
15/125

巨大魔物戦

『カムーシャ』の住民たちの一軒家やよりも大きい、白い鱗を纏ったザリガニのような魔物は怯えて地面に伏せている盗賊の大男を叩き潰そうと容赦なくハサミを大男に叩きつけた。

「!!」

「ぐぅぅぅ!!!」

だが、振り下ろされた巨大なハサミは獲物に届く寸前に駆けつけて来たカレンに受け止めれ、カレンは魔物の攻撃から大男を守った。

「お、おまえ……」

「ぐっ……!!!」

魔物の攻撃を受け止めたカレンであったが、力押しでは魔物の方が圧倒的な上で、徐々に体が押されていき、カレンを支えている両足首が少しずつ屈んでいった。

「おい!! 何やってんだよ!! 俺達も逃げるんだよ!!!」

魔物の力押しに必死に耐えているカレンの耳にロロの声が響く。

「そんな化け物に勝てる訳無いだろ!! 早く逃げろ!!!」

この状況でこの巨大な魔物に勝てるとは思ってもみなければ、戦う事も考えてはいないロロは一目散に逃げる事をカレンに必死に叫んで伝えたがカレンはロロの方に顔を向け、首を横に振る。

「でも……此処で逃げたら、この人達は殺されちゃうよ!!」

魔物の攻撃で地面に横たわっている盗賊達に目を向けながら、今でも魔物の押し潰されそうな力に両足が折れそうなカレンは声が大にしてロロに伝える。

「な、何を言って………」

「僕は……!!」

言葉を遮るようにカレンはロロの言い分を跳ね除けて、心の底から湧き上がってくる気持ちを籠めて、口に出す。

「僕は……命を守る!!!」

眼つきが変わって、目の前の命を見捨てないと叫んだカレンは頭上に在る大剣で受け止めている魔物の巨大なハサミを受け流し、ハサミはカレンの体を横に通り過ぎ、地面を叩き割る。

「!!」

「せいやっ!!」

受け流して、すかさず攻撃に転じたカレンは自分の横を通り過ぎたハサミの腕に大剣を縦に振り下ろす。

「っ!?」

振り下ろされた大剣は魔物の腕に直撃するが魔物の白いウロコは鉄のように硬いようで、剣はその硬いウロコに守れらた腕に何のダメージも与えられず、あっさりと弾き返される。

「プルルル!!!」

「!」

これはお返しだと言わんばかりに魔物はもう一方の鋭く巨大なハサミを開いて、カレンを挟み込もうとした。

「よ、避けろーーーー!!」

「くっ!!」

ロロの叫びも虚しく、カレンは避けきれず、そのまま鋭いハサミに挟み込まれる。

「!」

「あ……!」

しかし、カレンは体が挟み込まれる前に自分より横幅が広い大剣を利用し、それを自分の体の前に剣背が前になるように構え、鋭いハサミの刃と刃の間に隙間を作り、何とか体を切断されずに済んだ。

大男は魔物の攻撃を二回とも防いだカレンに驚く。

「ぐっ……うう!!」

だが、カレンが魔物のハサミを剣で挟み止め、体を挟まれないようにする状態はそう長く続かないようで、ハサミの挟み込む力はとても強く、カレンはその力に耐え切れずにいた。

「プルルルル………!」

剣の剣背を縦にすれば体は挟み込まれてしまうし、剣を離してハサミから逃げても武器を失ってしまうため、カレンは動く事が出来なかった。

そして、カレンの剣を支えている力が限界に達しようとしていた。

「ああ、もう!!」

見てられなかったロロはカレンの元に駆け出し、走りながら弓を構えて一本の矢に『マナ』を流し込み、矢の刃に赤いオーラが宿り、カレンを挟んでいるハサミに狙いを定めた。

彗星すいせい!!」

放たれた赤いオーラを宿した矢は魔物のハサミの根元部分に浅く刺さり、矢は刺さった直後赤いオーラの『マナ』は赤くて眩しい光を放って爆発した。

「!!!」

「うわっ!!」

空間内に響き渡る爆音、ハサミの先の方に挟まっていたカレンは爆発したハサミの根元部分から少し離れたいたおかげで爆発に巻き込まれずに済み。

更に爆発の衝撃で魔物はハサミの力を緩めてしまい、カレンを離してしまう。

「よし!!」

「プルルルルルルル!!」

ハサミから解放されたカレンであったが魔物のハサミは爆発したのにただ焦げただけで、その焦げたハサミを振りまわす魔物の姿に、まだまだ元気に使えるように見えた。

「う、うそ!!?」

たったそれだけで済んだ事に驚くロロを置いて、魔物は邪魔をされた事に頭が来たようで、今度はロロに目を付け、その巨大な体をロロの方に向け、触覚のような眼の下に口と思われる三角形状に開いた穴が現れた。

「プルーーーーーーーッ!!!」

三角形の口から洪水でも起こったかのような怒涛の勢いの大量の水が噴き出し、ロロに向かって一直線に伸びて突進する。

「ええっ!!」

予想外の攻撃だったが距離があった御かげで、紙一重で避けられたロロであったが放たれた大量の水は、行き止まりの壁を当たり、水は壁を削り取るように砕いて破壊し、その攻撃の破壊力を物語っていた。

「はぁぁぁぁぁぁ!!!」

魔物がロロに体を向けた為、カレンは魔物の背後を取る事ができ、その巨体な体の腰から上に飛び上がり、背中の部分と思われる所に十字斬りを放った。

「がっ………!!」

しかし、カレンの攻撃はあの硬くて白いウロコのせいでまた弾かれ、魔物の体はビクともせず、何も堪えてなかった。

魔物はカレンが襲ってきた事には目も繰れず、引き続きにロロを狙い続けた。

「ぐっ!」

何の成果も無く、虚しく着地したカレンの顔に焦りが浮かぶ。元々カレンの大剣のような形をした魔装器まそうぎは、剣の形をしていても剣のように刃はそれ程鋭く訳では無く、まるで剣に鞘を被せたように刃の部分は滑らかな円状で、斬るというより叩くという鈍器のような攻撃しか出来ない。

「この………喰らえ!!」

魔物はカレンが襲ってきた事には目も繰れず、引き続きにロロを狙い続け、ロロも自分の有利な距離を保ちながら応戦する。

十点矢じゅってんや!!」

構えた弓に矢を十本揃え、その十本を器用に一斉に放つなどという離れ技を見せるロロ。

「!」

全ての矢は魔物の体の至る所に刺さる。体が大きい為、当てるのはそう難しくは無かった様だか、刺さった矢は白いウロコに浅く刺さっただけで、魔物には何のダメージも与える事はできなかった。

「プルルルルル!」

「くそ! なんて頑丈なんだよ!!」

攻撃がまったく効かない相手にロロも焦りを強くしていく。そして、魔物は両手のハサミを高速回転をし始めた。

「? 何だ?」

「………ドリル?」

ドリルと見抜いたロロの観察力に応えるようにその両方のハサミを地面に当て、まるでドリルのように岩の地面をみるみると削っていき、空間内を強く揺らしながらあっという間に地面の中に潜っていった。

「消えた………」

「ありかよ………あんなの!」

地面の下に消えて行った魔物に唖然とするロロとカレン。

「(どうやら………あのドリルみたいな物で、この洞窟内を削って、道を作っていたみたいだな?)」

魔物が地面に作った大きな穴を見ながら、魔物の洞窟内での移動方法を憶測だが理解したロロであったが、その直後に空間内がまた激しい揺れに襲われる。

「チッ! またかよ!」

繰り返される揺れに苛立ちと焦りを抱きながら、魔物が何処から現れるのかを警戒しながら探すロロにカレンは直感的に魔物が何処から来るのか予測がついた。

「に……逃げて!!」

「え………?」

気付いて叫び呼んだ時にはもう遅かった、ロロの地面の所だけ一番激しく揺れ、やがて地面にヒビが入り、何かを削り取るような音が下から聞こえた瞬間、ロロの足元の近くから巨大なハサミが地面から飛び出した。

「がっぁぁぁぁぁああ!!」

「っ! ロロ!!!」

ドリルみたい高速回転したハサミ自体には当たらなかったが、突然、ロロの下から飛び出して来た魔物の巨大な体に吹き飛ばされ、受身を取れずロロは地面に叩きつけられる。

「プルルルルル………」

「う…うう……」

当たり所が悪かったのか、すぐには立ち上がれずいたロロに、魔物は倒れて身動きできないロロにゆっくりと大きな足音を起たせながら近づいて行く。

「や、やめろ!!」

剣を腹の横に持ちながら構え、ロロを助ける為に魔物の方に刃を向け、突進しようとしたカレンに。

「(取っ手の上の方にあるトリガ―を押せ!)」

「えっ!?」

また聞こえた謎の声に驚くカレンにあったが、何故か言われた通りに取っ手の上の方にあるというトリガーという物を急いで探して見ると、剣格の前の辺りに四角形状に凸みたいな部分があり、カレンはそれを親指で押してみる。

「!」

凸部分を押すと、突如刃先の中央が別れ、その刃と刃の隙間からピンク色の光の矢が飛び出す。

「!!!」

光の矢は魔物の腹の横に直撃し、白いウロコは黒く濃く焦げ、魔物は悲痛な悲鳴を叫ぶ。

「こ、これは……?」

「び……ビーム……?」

カレンの魔装器まそうぎから出た光の矢をビームだと推測したロロはボソッと呟く。一方カレンは何が起こったか分からず困惑するが、それを助けるかの如く、大剣の剣格部分に在る碧い珠から文字が浮かび出て、カレンはそれに驚きつつその文字を読みが挙げる。

BEAMビームCANONカノン…………?」

首を傾げながら呟いたカレンはこの名前が何なのか。

また、聞こえた謎の声はなんなのかとか、頭の中で思い浮かんだそんな疑問を後回しにして、今は戦う事が最優先だと割り切り、刃先を魔物に向き直し、凸部分みたいなトリガ―を再び押す。

押すと光の矢がまた飛出し、魔物に身体に直撃する。

「プ、プルルルルルルルルル!!!!」

「(効いている……!)」

魔物の悲痛な叫びにカレンは攻撃が効いていると確信し、トリガーを連打する。

トリガ―を引く度に刃と刃の隙間から光の矢が目にも止まらぬ速さで発射され、魔物はその光の矢を喰らう度、身が焦げる程の熱さと痛烈な痛みが体を走り、悲鳴を上げ、足を後退させロロから離れて行き、ハサミで体を庇いながら怯んでいった。

しかし、剣先から次々と発射させる光の矢に、魔物は持ち前の忍耐力で何とか耐えていたが、流石に我慢の限界が来て怒りが最頂点に達したのか、一発の光の矢をハサミで薙ぎ払い。

標的をカレンに変えて、次の光の来る前に三角形状の口を開き。

「プルーーーーーーー!!」

「!!」

三角形状の口をカレンに向けて、口から大量の水を放射し始めた。

「くっ!」

前から怒涛の勢いで迫り来る大量の水をカレンは慌てて避けるが、放射されている水は止む事は無く、魔物は追い掛けるように水をカレンの方へ走らせ、カレンも今度は横から迫り来る鉄砲水から逃げるために走り出した。

「ま……まずい!」

まだ地面に叩きつけられたダメージで動けない状態のロロは、迫り来る大量の水から逃げているカレンを見て、このままではまずいと思い、腰に掛けてある鞄に手を伸ばした。

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